第38回「中堅企業経営者『景況感』意識調査」~世界29カ国同時調査~を発表

全調査対象国平均で12ポイント増、コロナ禍前の水準を超える

2020年8月2日

太陽グラントソントンは、 2021年5~6月実施の2021年上半期(1~6月期)の非上場企業を中心とする中堅企業経営者の意識調査の結果を公表した。この調査は、グラントソントン主要加盟国が年に2回実施する世界同時調査の一環である。

 

・世界29カ国の平均景況感(2021年1~6月期)はコロナ禍前の水準を超え69%に

・調査対象国のうち24カ国の景況感が改善し、うち14カ国が前回調査比2桁ポイント増

・日本の景況感は微増の17%、引き続き調査対象国中最低水準

 

全調査対象国平均で12ポイント増、コロナ禍前の水準を超える

世界29カ国の中堅企業経営者に対して行った自国経済の今後一年の見通しに関する2021年上半期の調査結果では、全調査対象国の平均景況感は、顕著な回復をみせた2020年下半期(7~12月期)調査に続き、12ポイント増の69%を記録し、回復傾向が継続している。これは本調査直近10年のうち、最も高い水準であった2018年1月~3月期調査の全調査対象国平均71%に次ぐ高水準である。

さらに、前回調査では、多くの国が新型コロナウイルス感染拡大前の水準への回復途中にあるとみられたが、今回調査では、全調査対象国平均が感染拡大前の水準を上回った。未だ多くの国で厳しい経済的影響を受けながらも、各国で普及が進む新型コロナウイルスワクチンや移動制限の段階的な解除などによる経済回復への兆しが見え始めたことが伺える結果となった。

 

中国がさらに伸び86%を記録、引き続き調査対象国中最高レベルに

日本・中国・米国・英国の4カ国をみると、前回調査で景況感が最も高かった中国がさらに上昇して86%を記録し、引き続きトップとなった。米国においても、前回調査に引き続き顕著な上昇を達成し、14ポイント増の83%となり、第2位となった。前回調査で伸び悩んだ英国は、29ポイント増の68%と大幅に上昇し、さらに過去5年のうち自国最高レベルの景況感に達し、コロナ禍前の水準を超えた。日本においては、わずか2ポイント増と伸び悩み、調査対象国中最低水準の17%に留まった。

 

今回の結果について、太陽グラントソントンパートナー 美谷昇一郎は次のように述べている。

「新型コロナウィルスのワクチン接種が進み、国内消費を中心に経済活動が回復する中国、米国、英国などの景況感が高水準なのに比べ、日本は調査対象国中最低の17%となった。しかし、感染拡大が続くマレーシア、タイ、ベトナムなどの景況感が日本より高く、前回比も増加しているのを見ると、日本の低さは、国民性によるものだけでなく、日本経済の構造的なデフレという問題点をコロナ禍で改めて露呈したことの表れと言えるだろう。コロナ禍による景況感は年末にかけて回復するとの見通しもあるが、政府による経済構造の改革への取り組みは待ったなしであり、経営者も抜本的な経営改革を推進する必要がある。」

 

 


約半数の国で二桁ポイント増の景況感を記録

今回の調査では、地域や経済規模に関わらず多くの国で景況感が改善した。全調査対象国29カ国の景況感の平均は前回比12ポイント増の69%となり、過去最低レベルの落ち込みから大幅な上昇を記録した前回調査結果と同等の上昇を維持した。全体のうち、8割超の24カ国が回復し、そのうち14カ国が2桁ポイント増を記録した。

 

調査対象国のうち18カ国が、新型コロナウイルスの影響による世界的な経済的打撃が生じる前に実施した2019年下半期( 7~12月期)調査の水準を超え、またその上昇幅も平均17ポイント増と大きかった。

 

ランキング上位では、前回に引き続き中国がトップを維持し(前回比3ポイント増)、ついで2桁ポイント増の米国(前回比14ポイント増、前回4位)、本調査で常時安定して高い水準を保持するインドネシア(前回比1ポイント減、前回2位)が並んだ。

 

ランキング下位では、景況感がわずか17%と調査対象国中唯一の10%台を記録した日本が最下位となった(前回比2ポイント増)。28位はロシア(前回比7ポイント増)、27位はアルゼンチン(前回比17ポイント減)であった。

 

国ごとの上昇幅をみると、トップにスウェーデン(前回比44ポイント増)、スペイン(前回比31ポイント増)、フランス(前回比30ポイント増)、英国(前回比29ポイント増)、ドイツ(前回比26ポイント増)、トルコ(前回比22ポイント増)、韓国(前回比21ポイント増)と、複数の国で前回以上に上昇幅が拡大した。さらに、韓国(前回28位)、スペイン(前回26位) 、スウェーデン(前回25位)、フランス(前回24位)、英国(前回20位)など、近年低水準で推移していた国の伸びが目立った。

 

対照的に、景況感の悪化を示した国は、アルゼンチン(17ポイント減)、ナイジェリア(12ポイント減)、シンガポール(4ポイント減)、メキシコ(2ポイント減)、インドネシア(1ポイント減)の5ヵ国のみであり、アルゼンチンおよびナイジェリアを除き、減少幅は小さかった。

<調査実施期間>

2021年上半期:2021年5月~6月(29カ国)

2020年下半期:2020年10月~12月(29カ国)

2020年上半期:2020年5月~6月(29カ国)

2019年下半期:2019年10月~11月(32カ国)

※景況感(%)が同じ国は、小数点以下の数値で順位付けしている。

 

日本の中堅企業が直面する新型コロナウイルスによる影響

長引くコロナ禍でレジリエンスを保ち、収益を回復傾向に

 

日本の中堅企業に、新型コロナウイルスが自社の経営に与えた影響(前年同期比)を尋ねたところ、売上高については、減少すると回答した企業の割合は前回比23ポイント減の44%となった一方で、増加すると回答した企業の割合は14ポイント増の21%と改善した。(図3)

 

営業利益についても同様に、減少すると回答した企業の割合は前回比22ポイント減の40%、増加すると回答した企業は14ポイント増の25%となり、ビジネスが回復傾向にあることがわかった。(図4)

 

コストについては、過去2回の調査で増加・減少ともにほぼ横ばいで推移してきたところ、今回の調査結果では、減少すると回答企業が前回比12ポイント増の26%を占めた。対照的に、増加すると回答した企業は10ポイント減の23%にとどまった。 (図5)

 

自社の経営について、現時点で主に影響を受けている点について尋ねたところ、「渡航および移動による出張や営業活動への影響」との回答が52%となり、前回より引き続き最も多かった。3つの回答項目においてポイントの減少が見られ、「営業活動や製造の停止による売上高および受注減少」においては、2020上半期の調査から16ポイント減の31%まで低下した。(図6)

 

今後の自社の経営に対する影響について尋ねると、「人材採用および確保の厳しさ」との回答が45%と最も多かった。前回の調査で突出して多かった「国内消費の低迷」は、13ポイント減の41%であった。(図7)

 

今後政府に期待する対応に関しては、前回同様「減税や補助金などの景気対策」を求める声が最も多かったものの、その割合は8ポイント減の50%となった。これまで比較的回答率が低い項目であった「医療機関と公衆衛生の充実」が、2番目に多い回答となった。(図8)

 

 

 

世界各国における新型コロナウイルスによる影響

企業の収益見込みは世界的に改善傾向に

調査対象国29カ国の中堅企業に、新型コロナウイルスによる影響を考慮したときの自社の収益について尋ねた。調査対象国平均では、増収を見込む企業の割合は前回調査時の36%から16ポイント増の52%であった一方で、減収を見込む企業の割合は前回調査時の44%から14ポイント低下の30%となり、増収企業の割合が減収企業の割合を上回った。

日本においては、前回調査では増収を見込む企業の割合は調査対象国のうち最低水準であったが、今回の調査では増収を見込む企業の割合は23ポイント増の35%に、減収を見込む企業の割合は29ポイント減の41%まで改善した。

米国では、増収を見込む企業の割合が調査対象国中トップの66%、減収を見込む企業の割合は18%となり、前回に引き続き各国を引き離して高い水準を維持した。

前回調査で米国とともに高水準をリードしていた中国に関しては、今回の調査では増収を見込む企業の割合は56%、減収を見込む企業の割合は30%となった。

英国については、増収を見込む企業の割合が前回比28ポイント増の58%と大きく改善した。減収を見込む企業の割合は20ポイント減の28%と、概ね調査対象国平均と同等程度となった。(図9)

 


今後の市場回復に備えた計画について尋ねたところ、調査対象国平均では前回同様「組織の復旧に向けたテクノロジーの活用」を挙げる声が41%と最も多く、米国ではこの項目を選択した企業の割合は過半数に達した。そのほかの項目では、「優先する製品およびサービスの選定」が37%、ついで「優先顧客および市場の選定」が36%となり、長期化するコロナ禍における選択と集中による収益性向上への狙いがうかがえる結果となった。(図10)

 


参考資料:調査対象国の景況感の推移(%)

 

 

【注】上半期:1月~6月、下半期:7月~12月、第1四半期:1月~3月、第2四半期:4月~6月、第3四半期:7月~9月、第4四半期:10月~12月

 

以上

 

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