タカラトミーがJAXA等と共同開発した超小型の変形型月面ロボットが「SLIM」に搭載。名前は「SORA-Q」
おもちゃの発想が宇宙探査で活躍!「SORA-Q」の挙動を公開!
2022年3月15日
株式会社タカラトミー
おもちゃの発想が宇宙探査で活躍!
タカラトミーがJAXA等と共同開発した超小型の変形型月面ロボットが
JAXAの小型月着陸実証機「SLIM(スリム)」に搭載されます
変形型月面ロボットの名前は「SORA-Q (ソラキュー)」、挙動を公開!
株式会社タカラトミー(代表取締役社長:小島一洋/所在地:東京都葛飾区)が、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(以下「JAXA」)等と共同開発した超小型の変形型月面ロボットは、JAXAの小型月着陸実証機「SLIM(スリム)」に搭載され月面でのデータ取得を行う計画です。これにより、株式会社ispace(アイスペース)の月着陸機「HAKUTO-R」による月面輸送(※1)と合わせて計2回の月面探査を行うことになる予定です。おもちゃのアイデアが盛り込まれる事で、世界でも珍しい球体から変形する探査ロボットが誕生しました。
また、共同研究チームは、この変形型月面ロボットLunar Excursion Vehicle 2(LEV-2)の愛称を「SORA-Q(ソラキュー)」と決定しました。「SORA-Q」が変形して走行する様子は、本日2022年3月15日(火)から、タカラトミーの公式ウェブサイトwww.takaratomy.co.jp/products/sora-qにて公開いたします。
(※1参照元:JAXAプレスリリース)有人与圧ローバの実現に向けた変形型月面ロボットによる月面データ取得の実施決定について (2021年(令和3年)5月27日)
変形型月面ロボット「SORA-Q」
(左)変形前 (右)変形後
リソース
質量:本体約250g サイズ:直径約80mm(変形前)
通信:LEV-1とLEV-2(SORA-Q)間の通信機能(Bluetooth)
カメラ:前後2つのカメラでSLIM探査機及び周辺環境を撮像可能
クレジット:JAXA/タカラトミー/ソニー/同志社大学
手のひらサイズの変形型月面ロボット「SORA-Q」
「SORA-Q」は、直径約80mm、質量約250gの超小型の変形型月面ロボットです。月面に着陸後、瞬時に球体が左右に拡張変形し、月面を走行します。そして搭載された前後2つのカメラで撮影した画像を別の探査機を経由して地球に送信する計画です。開発にはタカラトミーの玩具作りにおいて培われた小型化、軽量化の知見と、変形機構に関わる技術が活用されました。JAXAの「宇宙探査イノベーションハブ」共同研究提案公募の枠組みの下(※2)、2016年からJAXAおよびタカラトミーが筐体の共同研究を開始し、その後、2019年にソニーグループ株式会社が、2021年に同志社大学が加わり、4者で共同開発を進めているものです。
(※2)JAXAが国立研究開発法人科学技術振興機構から受託した「イノベーションハブ構築支援事業」(太陽系フロンティア開拓による人類の生存圏・活動領域拡大に向けたオープンイノベーションハブ)において、「小型ロボット技術 制御技術」を共同で行う契約を2016年に締結。
【SORA-Qのミッション】
「SORA-Q」の使命は、月面の低重力環境下における超小型ロボットの探査技術を実証することです。5つのポイントでミッションに挑みます。①月面に到達すること ②SLIM探査機から分離して月面に着陸すること ③月面のレゴリス上を走行し、動作ログを取得、保存すること ④着陸機周辺を撮影し、画像を保存すること ⑤撮影した画像データ、走行ログ、ステータスをSLIM探査機とは独立した通信系で地上に送信すること
月面は、地球と比べて重力が6分の1であり、またレゴリス(月の表面を覆う砂)に覆われた路面等、地上とは異なる特殊な環境です。将来の月面における有人自動運転技術および走行技術等の検討に向けて必要な月面データを取得してくることを取得することを目指しています。
「SORA-Q」月面着陸イメージ©JAXA © TOMY
【JAXAの小型月着陸実証機「SLIM(スリム)」について】
“重力天体への高精度着陸技術を小型探査機で実証する”
小型月着陸実証機SLIM (Smart Lander for Investigating Moon) は、将来の月惑星探査に必要な重力天体への高精度着陸技術を、小型探査機で実証する計画です。この技術の実証、獲得により、我々人類が進める重力天体探査は、従来の「降りやすいところに降りる」探査ではなく、「降りたいところに降りる」探査へと非常に大きな転換を果たすことになります。またSLIMには、月の形成と進化の謎を解く鍵を手に入れるため、クレータ近傍のマントル由来物質をマルチバンド分光カメラによって詳しく組成調査します。加えて、2機の小型探査ロボット(LEV-1、SORA-Q)を搭載し、惑星表面移動探査の新たな可能性を追求します。
【SLIMプロジェクトにおけるSORA-Qの挙動】
「SORA-Q」は小型月着陸実証機「SLIM(スリム)」 (Smart Lander for Investigating Moon)に搭載されて月へ打ち上げられます。(「SLIM」は2機の小型探査機(LEV-1、LEV-2(SORA-Q))を搭載し月へ到着後にSLIM探査機がメインエンジンを停止した後にLEV-1を分離。同時にLEV-2も分離されます)
月面へ放出されて球体のまま着地した「SORA-Q」は、球体が左右に展開すると同時に、頭部が立ち上がり、また、尻尾のようなスタビライザーを伸ばした状態へと変形(拡張変形)します。その後、外殻を車輪として回転させて月面を移動します。自在に動く両輪は回転軸が偏心していることで、「バタフライ走行」と「クロール走行」の2種の走行モードで走行することができます。あらゆる方向に転倒しても正位値に復帰し、平地だけでなく傾斜地も走行可能です。頭部の前後にはカメラを搭載しており、前方のカメラ(FRONT CAMERA)で周囲の状況を、後方のカメラ(REAR CAMERA)では自らが月面を走行してできた跡、轍(わだち)などを撮影します。撮影した データはBluetooth通信でLEV-1に送信し、LEV-1を経由して地球へ送られます。なお、送信するデータは「SORA-Q」自身が画像を判断して選別します。「SORA-Q」が月面へ到着してから画像を送信するまでのミッション実行時間は約1~2時間程度を予定しています。(※一次電池を消費すると動作が停止し、そのまま月に残ります)
LEV…Lunar Excursion Vehicleの略。月面を跳躍しながら自由自在に探査するLEV-1と分離時撮像、二輪走行可能なSORA-Qで構成。
球体のまま着陸拡張変形
クロール走行中バタフライ走行中
【名前の由来】
「SORA-Q(ソラキュー)」という名前は、宇宙を意味する「宙(そら)」と、宇宙に対する「Question(問い)」 「Quest(探求)」、「球体」であること、横からのシルエットが「Q」に似ていることなどから名付けました。「宇宙ってなんだろう?」「月には一体何があるのだろう?」 人類が問い続けてきたこれらを探求するロボットとして、そして子どもたちがこれまで以上に自然科学領域に興味を持ち、宇宙の面白さを知ってもらうきっかけとなってくれるように、と想いを込めています。
【タカラトミーの小型駆動、変形機構を活用した商品例】
「SORA-Q」は、リアルムービングキット(組立式駆動玩具)「ZOIDS」シリーズ(1983年~)や、二足歩行ヒューマノイド型ロボット「Omnibot 17μ i-SOBOT」(2007年)、そして変形ロボット「トランスフォーマー」(1984年~)など、これまでの玩具開発において培われた知見が活かされています。
【開発エピソード】
おもちゃの開発において重要な要素に「柔軟な発想」「多くの人の手に届きやすい低価格の実現」などが挙げられます。それらは「小型化」「軽量化」「シンプルな設計」につながり、宇宙事業において求められる要素と合致しました。おもちゃ作りの発想と技術が宇宙探査に活かされるということは大変うれしいことです。また、HAKUTO-Rに引き続きSLIMにより短期間で2度の月面探査の機会を得ることができて大変光栄に思います。
企画のスタートは、玩具会社らしいユニークな探査機が作りたいという想いからでした。機械工学や宇宙工学などを学んだ社員等によって結成された開発チームは、それぞれの分野から意見を出し合い、そこに玩具の柔軟な発想を組み合わせていきました。こうして誕生したのが世界でも珍しい球体から変形する探査機です。
「SORA-Q」は、球体にする事で月面までの輸送時の容積を小さくし、着陸時の衝撃に強く、どの角度でも展開、駆動を開始する事を可能にしました。本体に車輪を付ける考えではなく、本体が変形して車輪の役目を担う事で小型化・軽量化を実現しています。
開発過程においては月面環境を想定したさまざまな課題に直面しましたが、JAXAの研究者の方々と多くの議論を重ねるなかで、登坂性能、変形機構、形状、サイズ、質量、モーター選定、メインボードなど試行錯誤を繰り返し、過去の玩具技術をヒントにするなど20回以上の機構試作を経て、ようやく「SORA-Q」は完成しました。
研究スタートから6年、ついに「SORA-Q」を月へ送り出すことになりました。「SORA-Q」が宇宙でのミッションを果たしてくれることを心から願っています。みなさんにも地球から「SORA-Q」を応援していただけたらうれしいです。
開発イメージ野球ボールとのサイズ比較
SORA-Q 開発メンバー(一部)
「ZOIDS(ゾイド)」シリーズ www.takaratomy.co.jp/products/zoids
「ZOIDS(ゾイド)」は、株式会社タカラトミーが1983年から玩具発のオリジナルIPとして展開する恐竜や動物をモチーフとした“メカ生命体”です。「ZOIDS(ゾイド)」というネーミングは“Zoic(動物の・生物の)”と“Android(人造人間)”という二つの言葉に由来します。その玩具であるリアルムービングキット(組立式駆動玩具)は、電動モーターもしくはゼンマイが付属し、組み立て完了後にまるで本物の生命体のように動き出すことが特徴です。「SORA-Q」の開発にもその小型駆動のノウハウが活かされています。
ZOIDS「シールドライガー」 1987年発売
当時価格1,980円 ※生産終了
© TOMY 「ZOIDS」は株式会社タカラトミーの登録商標です。
「Omnibot 17μ i-SOBOT」(オムニボット ワンセブンミュー アイソボット)(以下アイソボット)
二足歩行ヒューマノイド型ロボット「アイソボット」は、身長わずか16.5cm、体重350グラムという当時世界最小の二足歩行ヒューマノイド型ロボットです(※ギネスブックに「世界で最も小さな人型の量産ロボット」として登録)。超小型サーボを独自開発することにより、ハイスペックで低価格を実現しました。また、ジャイロセンサーを搭載することにより、自動的にバランスをとりながら多彩でスムーズなアクションを行うことを可能としました。 「SORA-Q」は、「アイソボット」の開発メンバーと共に、その小型化とバランス感覚、多彩なアクションのノウハウを活かして開発しました。
「Omnibot 17μ i-SOBOT」(アイソボット) 2007年10月発売
希望小売価格:31,290円(税込み) ※生産終了
© TOMY
「 TRANSFORMERS(トランスフォーマー)」シリーズ tf.takaratomy.co.jp
変形ロボット「トランスフォーマー」は株式会社タカラトミーが作り出した“日本の玩具発”コンテンツで、自由自在に変形することができる超ロボット生命体が宇宙を舞台に戦う壮大なストーリーと共に展開しています。
タカラトミーから発売していた「ミクロマン」、「ダイアクロン」を中心とした変形合体玩具を元に、1984年にアメリカで玩具発売、アニメやコミックが大ヒットし1985年に日本で逆輸入する形で玩具発売とアニメがスタート、2007年からはスティーヴン・スピルバーグとマイケル・ベイによりハリウッドで実写映画化され世界中で大ヒットしました。「トランスフォーマー」が乗り物からロボットへとあらゆる方法で変形する機構は、当社が1984年の商品誕生時からこれまで30年以上開発してきました。「SORA-Q」の開発にもその変形機構のノウハウが活かされています。
ロボットモードビークルモード
トランスフォーマー「PF SS-05 オプティマスプライム」
2022年7月下旬発売予定
希望小売価格:6,380円(税込み)
© TOMY © 2022 Paramount Pictures Corporation.
® and/or TM & © TOMY. All Rights Reserved. TM & ® denote Japan Trademarks.
「トランスフォーマー」、「TRANSFORMERS」は株式会社タカラトミーの登録商標です。
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このプレスリリースを配信した企業・団体
- 名称 株式会社タカラトミー
- 所在地 東京都
- 業種 その他製品
- URL http://www.takaratomy.co.jp/
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