ギリアド、HIV陽性者の治療において、ビクタルビの使用を補強するリアルワールドエビデンスを発表

2022年11月9日

ギリアド・サイエンシズ株式会社

 

ギリアド、さまざまな併存疾患を有するHIV陽性者の治療において ビクタルビの使用を補強するリアルワールドエビデンスを発表

BICSTaR試験における新たな臨床結果が、
HIV
陽性者に対するビクタルビの持続的効果を示す―
1489試験と1490試験における5年間のデータにより、 ビクタルビの確固たる持続的有効性および安全性プロファイルを確認―

 

ギリアド・サイエンシズ(本社:米カリフォルニア州フォスターシティ、ナスダック:GILD、以下「ギリアド」)は10月24日、ビクタルビ(R)(ビクテグラビル50 mg/エムトリシタビン200 mg/テノホビルアラフェナミド25 mg錠(B/F/TAF))が、HIV陽性者の治療歴や併存疾患に関わらず、一般的に忍容性が高く有効なレジメンであることを補強するBICSTaR試験におけるリアルワールドの結果を発表しました。また、2つの第III相試験(1489試験および1490試験)に関する最新の5年間のデータでは、ドルテグラビル含有レジメンから切り替えた患者さんにおけるビクタルビの長期安全性および有効性プロファイルのエビデンスを提供しています。このデータは、第30回国際HIV感染症薬物療法会議(HIV Glasgow 2022)で発表されました。

 

9カ国における実臨床でのビクタルビの有効性および安全性を評価した24カ月間のBICSTaR試験フォローアップ解析から、新たな実臨床データが発表されました。解析には、 COVID-19流行時の追跡調査が含まれ、集団における年齢、人種、性別、アドヒアランスおよび診断遅延が考慮されました。ビクタルビの投与を開始した被験者では、高いウイルス抑制率(HIV-1 RNA < 50 copies/mL)が認められました。全体では、未治療患者さんの97%(104/107例)と治療歴のある患者さんの95%(497/521例)が、24カ月時にウイルス抑制を達成しました(欠測は除外)。治療により発現した耐性は報告されませんでした。投与中止は低く(全体で14%)、薬剤と関連のある有害事象(AE)(薬剤関連有害事象:DRAE)によりビクタルビの投与を中止した被験者は少数でした(7%)。薬剤に関連する主な有害事象は、体重変化(3%)および抑うつ(1%)でした。これらのデータは、多くの併存疾患を有するHIV陽性者に対するビクタルビの安全性および持続性を裏付けています。

 

カナダ・モントリオールのClinique de Médecine Urbaine du Quartier Latinの医師・研究責任者であるブノワ・トロッティエ(Benoit Trottier, MD)は次のように述べています。「これらの最新データは、いかにイノベーションとHIVの治療選択肢の改善が、HIV陽性者とその臨床医との間で長期的な治療をサポートするHIV治療を特定することに役立つかを示唆しています。加齢や併存疾患などは、長期的な健康に関する重要な要素です。BICSTaR試験は、さまざまな併存疾患を有する集団全体に対するビクタルビの実臨床における有効性を強調するものであり、その結果は、ビクタルビによる治療の無作為化臨床試験で得られたエビデンスと一貫性を示しています」

 

HIV Glasgow 2022で発表された1489試験と1490試験のデータから、治療を切り替えた陽性者に対してビクタルビが高い有効性と持続的な安全性を示すとともに、耐性に対する高い障壁を維持することも認められました。これらの報告結果は、盲検下でドルテグラビルおよび2種類の核酸系逆転写酵素阻害薬(NRTIs)を144週間投与された後、非盲検下でビクタルビに切り替え、96週間投与された後の被験者のデータです。240週時では、1489試験(217/218例;欠測は除外)および1490試験(232/234例;欠測は除外)の被験者の99%超においてウイルス抑制が達成されました。さらに、240週目までの各来院時におけるビクタルビへの切り替え後の有効性が96%を上回り(欠測は除外)、治療切り替え後も、ビクタルビがHIV陽性者に対して持続的にウイルスを抑制する可能性があることが認められました。ビクタルビの忍容性は概して良好で、非盲検実薬継続投与期に投与中止に至るAEが発現したのは、両試験の切り替え被験者の0.4%(2/519例)でした。腎機能に関連した投与中止はありませんでした。非盲検実薬継続投与期に最も多く報告された有害事象は、下痢(0.6%)および体重変化(0.6%)でした。

 

2022年10月14日、米国食品医薬品局(FDA)は、ビクタルビの添付文書改訂を承認し、治療を開始した成人HIV陽性者を対象とした1489試験および1490試験における、144週時の有効性データおよび240週時の安全性データを添付文書に追加しました。

 

ギリアドのHIV臨床開発部バイスプレジデントのジャレッド・バーテン(Jared Baeten, MD, PhD)は、次のように述べています。「私たちは、HIVの終息を目的に、科学的革新を推進するため、全てのHIV陽性者の個々のニーズに対応する治療研究プログラムに取り組んでいます。ギリアドが現在実施している人を中心とした研究は、HIVとともに生きる人々の変化するニーズや嗜好に焦点を当てています。HIV Glasgow 2022で発表されたこれらの最新データは、ビクタルビのような革新的な医薬品の臨床使用が、併存疾患の重さに関係なく、幅広いHIV陽性者の助けとなることを示しています」

 

ビクタルビの米国での適応および枠組み警告を含む重要な安全性情報については、以下をご参照ください。

 

HIVまたはAIDSを治癒する方法は現在のところ存在しません。

 

BICSTaR試験について

Bictegravir Single Tablet Regimen(BICSTaR)試験は、未治療および治療歴のあるHIV陽性者を対象に、ビクタルビによる治療の有効性、安全性、忍容性、および患者報告アウトカムを評価する、現在進行中の国際共同、観察、単群、非比較、実臨床コホート試験です。BICSTaR試験に登録されているHIV陽性者は、ベースライン時に高い併存疾患の有病率を有しています。

 

1489試験および1490試験について

1489試験および1490試験は、第III相、無作為化、二重盲検、実薬対照試験です。未治療の患者さんは、ビクタルビ(634例)またはドルテグラビル含有3剤併用療法(640例)のいずれかを盲検下で144週間投与されました。主要評価項目は、FDAのスナップショットアルゴリズムによる投与48週目のHIV-1 RNA量が50 copies/mL未満であった成人の割合でした。副次評価項目は、96週および144週までの有効性、安全性および忍容性でした。144週目以降、被験者は最長96週間の非盲検実薬継続投与期にビクタルビを投与するオプションが与えられました。

 

ビクタルビについて

ビクタルビは、3種類の強力な薬剤の組み合わせで、インテグラーゼ阻害剤(INSTI)をベースとした1日1回1錠レジメン(STR)においては3成分を含有する最小のHIV製剤です。また、食事の有無にかかわらず服薬でき、薬物相互作用の可能性が低く、耐性へのバリアが高い薬剤です。ビクタルビは、ブースターを必要としない新しいINSTIのビクテグラビルとデシコビ(R)(エムトリシタビン200 mg/テノホビルアラフェナミド25 mg錠、F/TAF)をバックボーンとする配合剤です。ビクタルビは完全なSTRで、他のHIV治療薬と併用しないでください。

 

米国でのビクタルビの適応症

ビクタルビの適応症は、抗レトロウイルス未治療の成人および体重14 kg以上の小児患者さんに対するヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)感染治療、あるいは安定した抗レトロウイルス療法によりウイルス学的に抑制された患者さん(HIV-1 RNAは1 mLあたり50 copies未満、治療失敗歴なし、ビクタルビの個々の成分に対する耐性に対して既知の変異なし)に対する現在の抗レトロウイルス療法に代わる治療となります。

 

米国におけるビクタルビに関する重要な安全性情報

枠組み警告:投与後のB型肝炎の急性増悪

・B型肝炎の重度の急性増悪は、HIV-1HBVに同時感染し、エムトリシタビン(FTC)および/またはフマル酸テノホビルジソプロキシル(TDF)を含む製品を中止した患者で報告されており、ビクタルビの投与中止に伴い生じる可能性があります。HIV-1HBVに同時感染し、ビクタルビの投与を中止した患者では、少なくとも数カ月間、臨床と検査の両面で経過観察し、肝機能を注意深くモニタリングしてください。該当する場合、B型肝炎治療が必要になる可能性があります。

 

禁忌

・併用投与:ビクタルビをドフェチリドまたはリファンピンと併用しないでください。

 

警告および注意

・薬物相互作用:「禁忌」および「薬物相互作用」の項をご参照ください。ビクタルビの投与前と投与中に薬物相互作用が生じる可能性を考慮し、副作用をモニタリングします。

・発現までの期間が変わりやすい自己免疫疾患の発現を含む免疫再構築症候群が報告されています。

・腎機能障害の新規発現または悪化:急性腎不全、近位腎尿細管症(PRT)、ファンコニ症候群などの腎機能障害に関する市販後症例が、テノホビルアラフェナミド(TAF)含有製品で報告されています。推定クレアチニンクリアランス(CrCl)30 mL/分未満の場合、ビクタルビの投与を開始しないでください。ただし、慢性血液透析を受けてウイルス学的に抑制された15 mL/分未満の成人を除きます。腎機能障害のある患者および/または腎毒性物質(NSAIDなど)を服用している患者においては、腎関連の副作用リスクが高まります。臨床的に重大な腎機能低下またはファンコニ症候群のエビデンスが認められた場合、ビクタルビの投与を中止します。

腎モニタリング:ビクタルビの投与開始前/投与開始時/投与中には、臨床的に適切となるよう、全ての患者で血清クレアチニン、CrCl、尿糖、および尿蛋白を評価します。慢性腎臓病の患者では、血清リンを評価します。

・乳酸アシドーシスおよび脂肪症を伴う重度の肝腫大:FTCとTDFなどのヌクレオシド類似体使用による死亡症例が報告されています。乳酸アシドーシスまたは顕著な肝毒性を示唆する臨床所見や検査所見が発生した場合には、ビクタルビの投与を中止します。この所見には、顕著なトランスアミナーゼ上昇がない中での肝腫大および脂肪症があります。

副作用

・144週までの臨床試験最もよくみられた副作用(全てのグレードで5%以上)は、下痢(6%)、悪心(6%)および頭痛(5%)でした。

 

薬物相互作用

・処方情報:禁忌、警告、および臨床コメントを含む潜在的に重要な薬物相互作用の詳細については、ビクタルビの全処方情報をご参照ください。

・酵素/トランスポーター:P-gpを誘導する、またはCYP3AとUGT1A1の両方を誘導する薬剤は、ビクタルビの成分濃度を大幅に低下させる可能性があります。P-gpとBCRPを阻害する薬剤、またはCYP3AとUGT1A1の両方を阻害する薬剤は、ビクタルビの成分濃度を大幅に上昇させる可能性があります。ビクタルビは、OCT2またはMATE1を基質とする薬剤の濃度を上昇させる可能性があります。

・腎機能に影響を与える薬剤:腎機能を低下させる薬剤または能動的尿細管分泌で競合する薬剤とビクタルビとの併用は、FTCとテノホビルの濃度および副作用リスクを高める可能性があります。

 

用法および用量

・投与量:成人および体重25 kg以上の小児の場合:50 mgのビクテグラビル(BIC)、200 mgのエムトリシタビン(FTC)および25 mgのテノホビルアラフェナミド(TAF)を含む1錠を食事の有無にかかわらず1日1回服用します。体重14 kg以上25 kg未満の小児の場合:30 mgのBIC、120 mgのFTCおよび15 mgのTAFを含む1錠を食事の有無にかかわらず1日1回服用します。錠剤を丸ごと飲み込めない小児については、錠剤の全ての部分が約10分以内に摂取される限り、錠剤を分割して各部分を別々に服用することができます。

・腎機能障害:体重25 kg以上の場合、CrClが15 mL/分以上30 mL/分未満の患者、15 mL/分未満で慢性血液透析を受けていない患者、または15 mL/分未満で慢性血液透析を受けており抗レトロウイルス治療歴のない患者には投与を推奨しません。体重14 kg以上25 kg未満の場合、CrClが30 mL/分未満の患者には投与を推奨しません。

・肝機能障害:重度の肝機能障害のある患者には投与を推奨しません。

・投与開始前/投与開始時:HBV感染の検査を行います。

・投与開始前/投与開始時/投与中:臨床的に適切となるよう、全ての患者で血清クレアチニン、CrCl、尿糖、尿蛋白を評価します。慢性腎臓病の患者では、血清リンを評価します。

 

妊婦および授乳婦への投与

・妊婦:妊娠中におけるビクタルビの使用に関するヒトを対象としたデータが不足しています。別のインテグラーゼ阻害剤であるドルテグラビルは、神経管欠損に関連しています。妊娠中および受胎中にビクタルビを使用することのベネフィットとリスクについて話し合いをしてください。抗レトロウイルス妊婦レジストリ(Antiretroviral Pregnancy Registry、APR)は確立されています。APRから入手できたFTCに関するデータが、先天性欠損症の割合について米国の準拠集団と差がないことを示しています。

・授乳婦:HIV-1に感染した女性はHIV-1を伝播する可能性があるため、授乳をしないように指示してください。

 

ギリアド・サイエンシズについて

ギリアド・サイエンシズは、全ての人々にとって、より健康な世界の実現を目指し、30年以上にわたり医療の革新を追求し、飛躍的な進歩を遂げてきたバイオ医薬品企業です。当社はHIV、ウイルス性肝炎、がんなどの生命を脅かす疾患の予防と治療のため、革新的な医薬品の開発に取り組んでいます。

 

ギリアドは35年にわたり、HIV分野におけるリーダーであり、革新者として治療、予防および治癒に関する研究の進歩を推進してきました。HIV感染症治療を目的とした初めての1日1回1錠レジメンや、HIV感染症の発症リスクを低減させるための曝露前予防(PrEP)を目的とした初めての抗レトロウイルス薬など、ギリアドの研究者らはHIV治療薬を12種類開発しました。こうした医学研究の進歩により、何百万人もの人々にとってHIVは予防可能な慢性疾患となりました。

 

ギリアドは、世界中のHIV感染者の進化するニーズに対する解決策を提供するため、継続的な科学的イノベーションに取り組んでいます。パートナーシップと協力を通じて、当社は教育を発展させ、アクセスを拡大し、ケアに対する障壁に対処することも目指しながら、世界におけるHIVの流行を終息させることを目標としています。またギリアドは、Funders Concerned About AIDSが発表した報告書において、HIV関連プログラムの慈善資金提供者として第1位に認定されました。

 

当社は、カリフォルニア州フォスターシティに本社を置き、世界35カ国以上で事業を行っています。

 

将来予測に関する記述

本プレスリリースは、1995 年米国民事証券訴訟改革法(Private Securities Litigation Reform Act of 1995)で定義される「将来予測に関する記述」に該当し、いくつかのリスクや不確定要素などの要因を含む場合があり、具体的には以下がそれに当たります:
ギリアドが現在見込まれる日程内にビクタルビに関するものを含む臨床試験を開始、進行、完了する能力、またはそれらが全くできない可能性、ギリアドがビクタルビの適応拡大に関するFDAおよびその他規制当局の承認を得る能力、承認された場合にその使用が著しく制限されるリスク、医師がビクタルビ処方に利点を感じないリスク、および上述のいずれかの背景となる前提。これらのリスクやその他のリスク、不確定要素や要因については、米国証券取引委員会に提出している、2022年6月30日を期末とするギリアド社四半期報告書(フォーム10-Q)において詳細に説明しています。これらのリスク、不確定要素、その他の要因により、実際の結果が「将来予測に関する記述」と著しく異なったものとなる可能性があります。歴史的事実以外の全ての記述は、「将来予測に関する記述」とみなしてください。このような「将来予測に関する記述」は将来の業績を保証するものではありませんので、これに過度に依拠しないようご注意ください。「将来予測に関する記述」は全て、ギリアドが現在入手できる情報に基づいており、ギリアドでは「将来予測に関する記述」を更新する義務を負うことはなく、更新する意向もありません。

 

本プレスリリースは発表元が入力した原稿をそのまま掲載しております。また、プレスリリースへのお問い合わせは発表元に直接お願いいたします。

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