再生医療等製品「ビズノバ®」の製造販売承認取得について

世界初、水疱性角膜症を対象とするドナー角膜組織由来の培養ヒト角膜内皮細胞

 

NEWS RELEASE

2023年3月23日

各位

 

 

合同会社オーリオンバイオテック・ジャパン

 

再生医療等製品「ビズノバ®」の製造販売承認取得について

 

合同会社オーリオンバイオテック・ジャパン(本社:東京都千代田区、代表社員:オーリオンバイオテック・インク、職務執行者:長谷川秀二)は、2023年3月17日に再生医療等製品、培養ヒト角膜内皮細胞「ビズノバ®」の製造販売承認を取得しましたのでお知らせいたします。

 

ビズノバ®(Vyznova®、一般的名称:ネルテペンドセル(neltependocel))は、「水疱性角膜症*1」を効能、効果又は性能とし世界で初めて製造販売承認を取得した、ドナー角膜組織由来の培養ヒト角膜内皮細胞を含む細胞懸濁液の再生医療等製品です。水疱性角膜症患者の前房内(角膜と虹彩と水晶体に囲まれた部分)に移植することで、障害された角膜内皮組織を再建し、角膜の透明性を回復させることを目的として使用されます。角膜内皮細胞は生体内では再生しないため、水疱性角膜症の治療としては従来ドナー角膜組織を用いた角膜移植術(角膜内皮移植等の部分移植を含む)が行われてきました。しかしながら、ドナー角膜の供給は慢性的に不足しています。1名分のドナー角膜から複数患者分のビズノバ®を製造できるため、ビズノバ®はドナー角膜不足に対する解決の糸口になることが期待されています。さらに角膜移植術自体にも課題が多く残されており、ビズノバ®はそれらを克服する新たな治療選択肢となり得ます。なお、ビズノバ®は、2022年2月28日に厚生労働省より水疱性角膜症を対象疾患とした希少疾病用再生医療等製品の指定*2を受けております。

 

開発の歴史

 

京都府公立大学法人京都府立医科大学は、角膜移植に代わる新規治療法としてドナー由来の角膜内皮細胞を生体外で培養拡大後、高機能な培養ヒト角膜内皮細胞の懸濁液を水疱性角膜症患者の前房内に移植する革新的な再生医療技術である培養ヒト角膜内皮細胞移植を開発してきました。2013年12月10日に京都府立医科大学附属病院で水疱性角膜症に対する培養ヒト角膜内皮細胞移植の臨床研究を世界で初めて開始し、2年間の観察期間を終了した最初の11例の成果をまとめた論文がThe New England Journal of Medicine(2018年3月15日版)にOriginal Articleとして掲載されました。

 

2017年から京都府立医科大学附属病院、京都大学医学部附属病院と国立長寿医療研究センター病院の3施設で水疱性角膜症に対する培養ヒト角膜内皮細胞移植の多施設共同医師主導治験を実施し、その有効性と安全性を確認しました。京都府立医科大学感覚器未来医療学(木下茂教授)、同学視覚機能再生外科学(外園千恵教授、上野盛夫講師)などを中心とした成果です。

 

本技術開発は日本医療研究開発機構「再生医療実現拠点ネットワークプログラム(再生医療の実現化ハイウェイ、技術開発個別課題)」、「再生医療の産業化に向けた評価基盤技術開発事業」「再生医療実用化研究事業」の支援を受けて実施しました。

 

オーリオン・バイオテックは、2020年に京都府立医科大学 特任講座 感覚器未来医療学 木下茂教授などから本製品の基本技術に関わるライセンスを取得し、ビズノバ®として製品化することを開始しました。2020年10月8日に本製品の製造販売承認を目標とした契約を住友ファーマ株式会社と締結しました。2021年4月1日にS-RACMO株式会社に本製品の製造を委託しました。弊社は2022年6月21日に再生医療等製品として、厚生労働省へビズノバ®の製造販売承認申請を行い、2023年3月17日に製造販売承認を取得しました。

 

Aurion Biotech, Inc.および合同会社オーリオンバイオテック・ジャパン(Aurion Biotech, Inc.の100%子会社)は著しい視力低下から失明のおそれのある患者に新しい治療法をお届けできるよう、眼科領域の再生医療の研究開発を通じ日本のみならずグローバルで臨床試験の実施や実用化に取り組んでまいります。

 

 

*1:水疱性角膜症について

角膜は5つの層で構成されています。最も内側にある角膜内皮細胞層には、角膜内の水分を常に一定に保つ働きがあります。角膜内皮疾患や手術的な外傷などにより角膜内皮の細胞密度が極端に減少すると、角膜から水分を排出する機能が損なわれ、浮腫や水疱が生じ、角膜の透明性を維持することが困難になります。初期には異物感や眩明、やがて視力低下、眼痛を自覚するに至り、手術等の治療を行わなければ、症状は進行し光覚程度の視力となり失明するおそれがあります。このような症状を水疱性角膜症と呼びます。既存の治療法は、ドナー角膜を用いた角膜移植術(角膜内皮移植を含む)のみとなります。

 

*2:希少疾病用再生医療等製品指定について

希少疾病用再生医療等製品(指定番号:(R4再)第22号)。薬生機審発 0228第1号 令和4年2月28日「希少疾病用再生医療等製品の指定について」をご参照ください。

https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T220301I0020.pdf

 

 

 

製造販売承認の概要

承認番号

30500FZX00002000

承認年月日

2023年3月17日

一般的名称

ネルテペンドセル

販売名

ビズノバ®

効能、効果又は性能

水疱性角膜症

承認条件

1. 水疱性角膜症に関連する十分な知識及び経験を有する医師が、本品の使用方法に関する技能や手技に伴う合併症等の知識を十分に習得した上で、水疱性角膜症の治療に係る体制が整った医療機関において「効能、効果又は性能」並びに「用法及び用量又は使用方法」を遵守して本品を用いるよう、関連学会との協力により作成された適正使用指針の周知、講習の実施等、必要な措置を講ずること。

 

2. 治験症例が極めて限られていることから、製造販売後、一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は、全症例を対象に使用の成績に関する調査を実施することにより、本品使用患者の背景情報を把握するとともに、本品の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本品の適正使用に必要な措置を講ずること。

 

培養ヒト角膜内皮細胞移植概念図

出典:医学のあゆみ vol.274 no.13 p.1305

 

 

■Aurion Biotech, Inc. (オーリオン・バイオテック)について

Aurion Biotech, Inc.は、米国ワシントン州シアトル市(本社)、マサチューセッツ州ケンブリッジ市、東京都千代田区および京都市に拠点を置く眼科領域において革新的な再生医療技術により視力の低下で悩む患者の視力回復を目指すバイオテック企業です。当社は、京都府立医科大学 特任講座 感覚器未来医療学 木下茂教授などから培養ヒト角膜内皮細胞の再生医療製品の基本技術に関わるライセンスを取得しており、100%子会社である合同会社オーリオンバイオテック・ジャパンの日本での製造販売承認取得に続き、米国でも臨床試験の準備を進めています。当社は、Deerfield、Alcon、Petrichor、Flying L Partners、Falcon Vision / KKR、Visionary Venturesなどから出資を受けています。Aurion Biotech, Inc.は2022年にPrix Galien Award for Best Start-up in Biotech / Pharma (ガリアン賞:画期的な 医薬品 を開発した者に贈られる賞)を受賞しています。

詳しは https://www.aurionbiotech.com をご覧ください。

 

■S-RACMO株式会社について

S-RACMO株式会社は、住友化学株式会社と住友ファーマ株式会社により、2020年9月に設立された合弁会社です。再生医療、細胞治療の早期普及および産業化に貢献すべく、再生・細胞医薬分野の製法開発、製造などの受託(Contract Development and Manufacturing Organization)事業に取り組んでいます。S-RACMOは住友化学が有するiPS/ES細胞の基盤技術や医薬品の受託製造に関するノウハウと、住友ファーマ株式会社が再生・細胞医薬事業における複数のプロジェクトで培った高度な製法開発や製剤開発などのノウハウを生かす考えで設立されています。

詳しくは https://www.s-racmo.co.jp をご覧ください。

 

以上

 

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