<日本歯内療法学会 ニュースレターvol.12>11月8日はいい歯の日、歯の神経の治療意向調査

歯の神経の治療、1年以内の再治療は22.2%も 再治療割合について「思っているよりも多い」と感じる方は5割

2023/11/07

 

 一般社団法人 日本歯内療法学会(所在地:東京都豊島区、理事長:佐久間克哉)は、歯の神経の治療(以下、根管治療)意向について20~60代の一般生活者800名にアンケート調査を実施いたしました。

 当学会が9月に実施した「根管治療後の歯は何年もつかについてのアンケート調査」では、22.2%の方が根管治療後1年以内に再治療を経験していることが明らかになりました。また、根管治療時に海外で広く導入されている最新機器や材料は日本では保険導入が限られており、採算面などの理由から、均一的な導入が実現できていないといった課題もあります。

 そこで、今回の調査では、これらの現状を踏まえ一般生活者に意見を伺いました。再治療22.2%という結果に対しては半数以上の方が思っているよりも多いと感じていることがわかりました。また、海外で導入されている最新治療機器や材料が、日本では保険適用が限られている状況を踏まえ、より精度の高い根管治療を受けたいと回答した方が33.5%おり、一方でわからないと回答した方は42.9%となり、根管治療に関しての理解度に課題がみられました。また、6割の方が根管治療の技術向上を目指す日本歯内療法学会の会員歯科医師や専門医の情報を調べてから治療を受けたい、検討したいと感じており、根管治療への知見が深い歯科医師への期待の高さが見受けられました。

 

根管治療後、22.2%の方が1年以内に再治療となる状況について、思っていたよりも多いと感じる方は半数以上

・根管治療後、1年以内に再治療を経験した方は22.2% 

・再治療割合について、思っていたよりも多いと回答した方は53.8%

 

精度の高い根管治療を受けたい方は33.5%、わからないと回答した方は42.9%

・根管治療において重要とされている、歯の状態をより細かに観察するマイクロスコープや汚染された根管をきれいにするニッケルチタンロータリーファイルを含む最新治療機器や材料を使用した精度の高い治療を受けたい方は33.5%

・一方でわからないと回答した方は42.9%おり、根管治療で必要とされる精密さや技術についての理解度に課題が残った

・精度の高い治療を希望する方で保険適用内での治療を希望する方は82.8%

・精度の高い治療を希望する方の治療費の許容範囲は「1万円未満」が50.4%、「1万円以上~3万円未満」が25.0%、「3万円以上~5万円未満」が15.7%と1万円未満が半数を占めた

・精度の高い治療を希望する方のうち、1箇所の治療における通院回数の許容範囲は「3~4回」が52.2%、「1~2回」が36.6%と短期間の治療を希望

 

一方で根管治療の技術向上を目指す日本歯内療法学会の会員歯科医師や専門医の情報を調べてから治療を受けたい、検討したいと感じている方は6割

・根管治療の技術向上を目指す歯科医師や専門医の情報を、根管治療時に調べてから治療を受けたい/検討したいと回答した方は64.3%おり、根管治療への知見が深い歯科医師への期待の高さが伺えた

・医師情報の公表場所の希望は「日本歯内療法学会ホームページ」52.8%、「歯科医院の口コミサイト」36.9%が上位

・歯科医師や政府に期待することは「歯科医自身の治療技術の向上」34.0%、「均一的な最新治療機器の保険導入」31.5%

 

 

歯の神経の治療意向調査

■根管治療後、22.2%の方が1年以内に再治療となる状況について、思っていたよりも多いと感じる方は半数以上

【根管治療後の歯は何年もつかについてのアンケート調査結果】 

※本年9月調査実施・発表済

https://kyodonewsprwire.jp/release/202309199819

 

 


 

根管治療で重要とされる最新の治療機器や材料を使用した精度の高い根管治療を受けたい方は33.5%、わからないと回答した方は42.9%

 

 

 


 


 

一方で根管治療の技術向上を目指す日本歯内療法学会の会員歯科医師や専門医の情報を調べてから治療を受けたい、検討したいと感じている方は6割


 

 

 

 

【調査概要】

調査主体 : 一般社団法人 日本歯内療法学会 

調査対象 : 20~60代800名(20代、30代、40代、50代、60代を男女に分け、それぞれ80名を調査

(「医薬品、健康食品、薬品、化学、石油化学」「市場調査」「医療、福祉」「出版、印刷」                    「メディア・マスコミ・広告業」にお勤めの方は除く)

調査方法 : WEBアンケート                                 

調査時期 : 2023年10月27日(金)~10月30日(月)

 

 

歯内療法とは

■多くの人が治療を受けたことがある「歯内療法」

 


「歯内療法」とは、自分の歯をできるだけ抜かずに治療することを目的とした治療の総称で、「歯の根の治療」「神経を抜く」と言われる治療も歯内療法の範囲です。特に歯の根の深くにアプローチする治療を「根管治療」と言います。

「歯内療法」は多くの方が受けたことのある基本的かつ身近な治療法ですが、根管の径は1ミリメートル以下の細い管で、形態は様々で非常に複雑なため、歯内療法には高度な技術が要求されます。

 

■アメリカでは歯内療法が専門領域として確立

アメリカ歯内療法学会(AAE)の「ガイドライン2017年版」によると、「過去20年間にわたり、技術、材料、歯内治療手順が大幅に進歩してきた」としてミリ単位の根管治療で使用する歯科用顕微鏡(マイクロスコープ)、汚染された根管をきれいにするNi-Tiロータリーファイル、振動を加えながら細かい汚れを除去する超音波装置など新しい治療法が定着しつつあります。一方で、複雑な解剖学的形態を持つ歯の治療を行う歯内療法の専門医と、一般歯科医によって提供される治療では質の格差を生んでおり、専門性を持つ歯科医師の役割についても議論されています。日本国内においてはこうした最新治療は保険適用外となっており、専門医の位置づけに関する議論はほとんど行われておりません。

 

また、歯内療法が専門領域として確立されているアメリカと比較すると、日本の歯内療法の治療費は低く定められています。

この傾向はアジア諸国との比較においても同じ傾向にあります。海外の歯科治療は自費診療や民間の保険会社から支給される治療費で対応しています。一方、日本は多くの場合、公的な医療保険制度の診療報酬で対応している点が海外と大きく異なります。歯内療法を専門領域の治療として認識している国と、そうでない日本において治療費に差が出ている状況です。

 

■「歯内療法」は滅菌消毒が生命線、様々な器具、器材で対応

虫歯は細菌の感染が原因で発生します。歯の内部を治療する歯内療法では治療時における滅菌消毒が生命線と言っても過言ではありません。日本歯内療法学会が推奨する標準的かつ適切な治療(無菌的処置)を行えば、感染リスクを極めて小さくすることができます。無菌的処置は、①術者の手指消毒、②手術野(歯の周囲)の消毒、③器具材料の滅菌・消毒を指し、この3点を完全に施すことが「歯内療法」において重要です。無菌的処置を徹底するために、以下の器具器材の使用が必要です。しかし、各歯科医院では歯の治療以外にこうした環境維持が重要となっておりますが、ラバーダムは2008年診療報酬改定にて、保険点数が初、再診料に包括された関係で、保険外で提供する歯科医院も増えています。

 

< ラバーダム防湿 >

ラバーダム防湿は治療対象の歯のみを口腔内から隔離、また、

手術野を消毒することで、だ液の侵入を防ぐことができます。

無菌に近い状態で歯科治療を行う有益な方法です。

 

< 口腔外バキューム >

切削時の飛沫を吸引し、口腔内のだ液や

血液を含んだ飛沫が室内に浮遊するのを防ぎます。診療室内の空気汚染防止に有効。

 

< タービン >

歯を切削する道具で、先端にダイヤモンドが

付いたポイントや刃のついたカーバイト製バーを

差し込み、圧縮エアーで駆動。患者さんごとに滅菌しパックに入れて保管します。

 

< 滅菌装置(左)/小型滅菌装置(右)>

歯科医療機器の滅菌を行う装置。

小型のものは、タービンなど頻繁に滅菌するための装置。

 

歯内療法治療について:https://jea-endo.or.jp/materials/basic-skills.html

           https://jea-endo.or.jp/materials/advanced-skills.html

 

 

日本歯内療法学会からのメッセージ

今回の調査結果では、22.2%の方が根管治療後1年以内に再治療を経験しているという注目すべき結果となりました。根管の治療が不完全であったり、新たな感染や損傷が起こった場合は、再治療が必要となります。根管は直径1mm以下と非常に細く、しかも硬くなった部分や、わん曲しているものがあります。根管治療ではこれら根管に対して、小さな器具を完全に通過させ清掃し、形態を整える非常に高度な作業が行われます。治療で神経がなくなった歯は、痛みを感じにくいためむし歯の発見が遅れる傾向にあります。このように、治療を繰り返すことは、歯を失うリスクを高めることに繋がります。

歯髄を守る対策は日々歯のケアを怠らないこと、定期的な歯科健診で歯の状態をチェックすること、また普段の生活で歯に痛みを感じたら、放置せず早期に歯科医師へ相談し、必要に応じて治療を行うことです。

日本歯内療法学会会員の歯科医師たちは、こうした“無症状だが悪化している”状態を早期に発見し成功率の高い高度な治療をご提供いたします。

また当学会はさらなる研鑽を積み、症例審査、筆記試験、並びに口頭試問を通過した会員に「専門医」の資格を与え、国民が「専門医」を受診し易いように学会のホームページにその名簿を公開しております。  

日本歯内療法学会HP(http://www.jea.gr.jp/ippan/index-6.shtml

 

日本歯内療法学会国内渉外委員会委員長 金丸順策

 

 

日本歯内療法学会 概要

■名 称      :  一般社団法人日本歯内療法学会(Japan Endodontic Association)

■理事長      :  佐久間克哉

■所在地      :  〒170-0003 東京都豊島区駒込1-43-9 駒込TSビル

 

【設立経緯】

1960~70年代は世界的に歯科医学の研究教育ともに画期的に飛躍をとげた時代と思われる。日本の歯科大学においても教育内容の充実に目覚ましいものがあった。しかしながら、開業医の臨床の実態はかなりかけ離れているのが実情であった。

当時日系二世の歯科医W.T.Wakaiが歯内療法専門医としてハワイにおいて開業していた。彼はのちにアメリカ歯科医師会の副会長にノミネートされた指導的人物であった。彼は母国日本の実態を理解していたので、日本も世界の水準に遅れないように歯内療法学会を設立しなければならないと、識者に呼び掛けていた。この時期に大谷歯内療法研究会の存在が彼の目にとまった。この研究会が学会設立の中枢になりうるものと考え強くこれを要請した。かくして日本国内外にも学会設立の気運が高まり、学会設立の呼び掛けに応じた臨床医グループがこれに加わり、多数の大学の歯科保存学の関係者の賛同を得て1980年(昭和55年)1月に日本歯内療法協会が設立され発足した。(学会名称は昭和55年1月26日より平成5年6月12日までは日本歯内療法協会、平成5年6月12日より平成14年7月20日までは日本臨床歯内療法学会、以後日本歯内療法学会と改称した)

現在では、大学の先生方の参加が増え開業医主体であった会も研究者の発言、指導が取り入れられ、臨学一体となった当初の理念に近づいている。特に学術大会、セミナー、学会誌等は大学の教室単位の協力を得て充実して行われている。

 

【学会設立の趣旨】

歯内療法の基礎と臨床を研究し、正しい歯内療法を実践することにより国民の福祉と健康に貢献する。

 

【学会設立以降の主な活動】

1.会員制度の確立(一般会員、準会員)

2.年一回の総会ならびに学術大会開催

3.平成6年以降、専門医セミナー秋期1回開催

4.学会認定専門医、指導医制度の制定

5.協力団体設立支援

本プレスリリースは発表元が入力した原稿をそのまま掲載しております。また、プレスリリースへのお問い合わせは発表元に直接お願いいたします。

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  • テーマ
    調査・アンケート
  • エリア
    東京都
  • キーワード
    歯医者、歯科、歯内療法、虫歯、むし歯、歯の神経、国民皆歯科検診、歯の痛み、根管治療、保険適用、歯科健診

このプレスリリースを配信した企業・団体

  • 名称 一般社団法人日本歯内療法学会
  • 所在地 東京都
  • 業種 医療サービス
  • URL https://jea-endo.or.jp/
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