スピン波を用いた物理リザバー計算機の高性能化の条件を理論的に解明

省エネルギーなAIハードウェア開発に新しい視点

産総研

 

【発表のポイント】

・ スピン波を用いた物理リザバー計算機において、高い学習性能を実現するための波の速度と素子サイズとの関係を数理的に解明しました。

・ 少ない入出力ノード数でも従来の最高性能に匹敵する性能を引き出せることを物理シミュレーションと理論計算によって実証しました。

・ 磁気素子を用いたAIハードウェアの開発に新しい視点を与える成果です。

 


【概要】 

近年社会におけるAI技術を用いた情報処理の需要は急速に増加しています。現在は、ニューラルネットワークによる情報処理の計算を、電子計算機上で膨大な数のCPU(中央演算処理装置)やGPU(画像処理装置)を用いることによって行っているため、高い消費電力が問題となっています。一方、人間は低消費電力で情報処理を行っていることから、リザバー計算や量子計算技術など、従来とは異なる概念に基づいた科学技術による情報処理の研究が世界各国で進んでいます。

 

東北大学材料科学高等研究所(WPI-AIMR)兼産業技術総合研究所 産総研・東北大 数理先端材料モデリングオープンイノベーションラボラトリ 副ラボ長の義永那津人准教授は、同大学学際科学フロンティア研究所の飯浜賢志助教、WPI-AIMR兼同大学先端スピントロニクス研究開発センターの水上成美教授、同大学大学院工学研究科の小池雄也大学院生(研究当時)とともに、強磁性体薄膜中のスピン波を用いて従来のリザバー計算機よりも低消費電力で高い学習性能が期待される物理リザバー計算を実行できる装置を実現するための機構を解明しました。

 

スピン波を情報の担体とするAIハードウェアの研究が世界的に進展しており、ナノメートル、ギガヘルツかつ高エネルギー効率で高い学習性能を実現することは重要な課題の一つです。本研究グループでは、金属ナノ薄膜の強磁性体中を伝わるスピン波を研究しました。時系列データに比例した大きさで磁性体の入力ノードの位置を励起することでスピン波を発生させ、伝播したスピン波を出力ノードの位置で読み出すことで、短期記憶と非線形変換能力を持った学習やカオス時系列の予測が可能であることを示しました。また、数理的な解析によって学習性能を最適にするスピン波の速度と素子のサイズとの関係を明らかにしました。本結果は、磁気ナノテクノロジーを用いた低消費電力な情報処理素子の開発に新しい視点を与えるものです。

 

本研究は3月1日(英国時間)に、スピントロニクス分野の専門誌npj Spintronicsの電子版に掲載されました。

 

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https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2024/pr20240304/pr20240304.html

 

 

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  • エリア
    東京都
  • キーワード
    研究開発、スピン波、リザバー計算、AI、ガードウェア、磁気、強磁性体、低消費電力、省エネルギー
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