残業が多い人のストレスを左右するのは「仕事の満足度」や「ポジティブ感」
残業時間とストレスの関係をストレスチェック結果から分析
2024年3月7日
株式会社ドクタートラスト
株式会社ドクタートラスト(本社:東京都渋谷区、代表取締役:高橋雅彦、以下「ドクタートラスト」)のストレスチェック研究所では、ストレスチェックサービスを利用した累計受検者200万人超のデータを活用し、さまざまな分析を行っています。
今回は、2022年度にストレスチェックサービスを利用した受検者のうち、月の残業時間についての回答が得られた48,802人のデータをもとに、残業時間とストレス度合の関係性を調査しました。
YouTubeで解説動画公開中
残業が多くても“低ストレスかつ仕事に満足している人”とは⁉ 48,802人を対象に調査した結果明らかになった、ストレスチェックと残業時間の関係(解説:ストレスチェック研究所 コンサルタント 千葉晶子)
調査結果のポイント
・ 残業時間「10時間未満/月」の群が、全体の過半数を占める
・ 高ストレス者率が最も高いのは、残業時間「30時間以上/月」の群(18.9%)
・ 高ストレス者率が最も低いのは、残業時間「10時間未満/月」の群(12.9%)
・ 残業時間「30時間以上/月」の群の中で、ストレスの高い群と低い群で最も差が出た設問は「仕事に満足だ」
はじめに
ストレスチェック制度は、従業員のメンタル不調の予防やその気付きを促すこと、また、ストレスが高い人の状況把握やケアを通して職場環境改善に取り組むことを目的として制定され、2015年12月以降、従業員数50名以上の事業場で年1回の実施が義務づけられています。
ドクタートラストの提供するストレスチェックサービスでは、4つの分析区分(テレワーク・勤続年数・残業時間・職種)の中うち、2区分を無料で分析しています。今回は、このうち「残業時間」※について、「高ストレス者率」や「各設問の回答」との関係を調査しました。
※ ①10時間未満/月、②10時間以上30時間未満/月、③30時間以上/月、の3択形式
残業時間の割合
図1
図1は、調査対象48,802人の「残業時間」への回答内訳です。最も多かったのは、「10時間未満/月」、以下「10時間以上30時間未満/月」、「30時間以上/月」でした。また、残業時間「10時間未満/月」の群が、全体の過半数を占める結果となりました。
なお、「月30時間の残業」とは、週5勤務の場合、1日平均1時間20分程度の残業時間です。
調査結果
1. 高ストレス者率が最も高いのは残業時間「30時間以上/月」、最も低いのは「10時間未満/月」
高ストレス者率とは、実際に受検をした人の中で、高ストレスと判定された人がどれくらいいるかを示した割合です。
<高ストレス者とは>
・ ストレスの自覚症状が高い人
・ ストレスの自覚症状が一定程度あり、かつ仕事の負担と周囲のサポート状況が著しく悪いと判定された人
図2
図2は、月の残業時間別の高ストレス者率です。「30時間以上/月」の群における高ストレス者率は、18.9%と最も高く、次に「10時間以上30時間未満/月」の群で15.5%、最も低かったのが「10時間未満/月」の群で、12.9%という結果となりました。
2. 残業時間「30時間以上/月」で、ストレスの高い群と低い群を比較して最も差が出た設問は「仕事に満足だ」
ドクタートラストのストレスチェックは、個人のストレスレベルを5段階(A~E)で評価しています。Aはストレスが最も低く、Eが最も高いとされます。
図3
図3は、残業時間別に、各ストレスレベルの割合を示しています。
図4
図4は、最も高ストレス者率が高い「30時間以上/月」の群のうち、ストレスレベルが低い群(A、B)と高い群(D、E)を比較し、差が大きい設問をランキング化したものです。1位は「仕事に満足だ」、2位「仕事をしていると活力がみなぎるように感じる」、3位「ひどく疲れた」、以下「仕事でエネルギーをもらうことで、自分の生活がさらに充実している」、「だるい」の順にランクインしました。
これは、30時間以上/月残業していても、ストレスが低い人と高い人では、仕事の満足度やポジティブ感、疲労の感じ方などに大きな差が生まれていることを表しています。
さいごに
今回の調査で、残業時間の割合を調査したところ、「10時間未満/月」の群が全体の過半数を占めました。また、残業時間「30時間以上/月」の群は高ストレス者率が最も高く、逆に「10時間未満/月」の群が最も低い結果となりました。
さらに、高ストレス者の最も多い「30時間以上/月」の群をストレスレベル別(A、BとD、E)で比較したところ、仕事の満足度や活力、疲労の感じ方などに大きな差があることがわかりました。
残業時間が月に30時間を超えていても、仕事への満足度が高い人がいることから、必ずしも残業が悪いとは言いきれません。ただし、残業時間は、労働基準法にて原則「⽉45時間・年360時間」までと定められており、労働時間が長くなると脳血管疾患および虚血性心疾患などの発症リスクを高めます。
また、残業時間が長くなれば睡眠時間が短くなり※1、その結果として高ストレス者率が高くなる傾向があります。※2
そのため、会社として従業員の残業時間を把握し、必要であれば業務の割り振りを見直すなどのサポートをしていきましょう。
※1 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023(案)(PDF)」(2023年)
※2 ドクタートラスト「『健康リスク』『ストレス過多な人』は “睡眠5時間未満”に集中」(2023年)
調査対象
調査期間:2022年4月1日~2023年3月31日
調査対象:ドクタートラスト・ストレスチェック実施サービス2022年度契約企業・団体
有効受検者数:48,802人
ドクタートラストについて
株式会社ドクタートラスト https://doctor-trust.co.jp/
株式会社ドクタートラスト(本社:東京都渋谷区、代表取締役:高橋雅彦)は企業ではたらく人の健康管理を専門に受託している会社です。産業医(国内第1位※)や保健師などの医療資格者が企業を訪問の上、健康診断結果に基づく健康指導、過重労働者面談を行います。また、160万人超のビッグデータに基づく職場環境改善コンサル「STELLA」や、 外部相談窓口サービス[アンリ]、健康管理システム「エールプラス」もご好評いただいております。その他 ストレスチェック、健康経営セミナー、 衛生委員会のアドバイスなど、さまざまな業務を実施します。※帝国データバンク調べ
ストレスチェック研究所 https://www.stresscheck-dt.jp/stella/
ストレスチェック研究所は、ドクタートラスト内に設置された研究機関です。ストレスチェックで得られた膨大なデータの分析を行うとともに、ストレス耐性が高く組織の強みである人材を「STELLA(ステラ)」と名づけ、これら人材を活用した強固な組織作りを目指す職場環境改善コンサル業務を行っています。
ストレスチェックサービスに関するお問合せ
株式会社ドクタートラスト 健康経営推進本部 担当:田野、宇和野
TEL:03-3464-4000(代表)
企業さま用お問合せフォーム:https://www.stresscheck-dt.jp/sc_form/
<参考>100名あたり6万円~(専門コンサルタントによる集団分析結果フィードバックなども、料金内でご提供いたします)
本プレスリリースは発表元が入力した原稿をそのまま掲載しております。また、プレスリリースへのお問い合わせは発表元に直接お願いいたします。
プレスリリース添付動画
このプレスリリースには、報道機関向けの情報があります。
プレス会員登録を行うと、広報担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など、報道機関だけに公開する情報が閲覧できるようになります。
このプレスリリースを配信した企業・団体
- 名称 株式会社ドクタートラスト
- 所在地 東京都
- 業種 医療サービス
- URL https://doctor-trust.co.jp/
過去に配信したプレスリリース
STELLA人材が最多の業種は「公務」、最小は「宿泊業・飲食サービス業」
12/19 14:05
STELLA人材は、疲労感や憂うつ感が少ない
12/17 14:05
「第3回職場環境優良法人」を発表&受賞法人インタビュー公開
10/10 14:35
健康リスクが高いのは「運輸業、郵便業」、「宿泊業、飲食サービス業」、「医療、福祉」
8/20 13:45
2023年度、累計211万人超のストレスチェックデータを分析
7/25 14:10
ドクタートラスト×TANPAC 共同プロジェクト始動
7/19 14:00
職場の悩みで最も多いのは「上司・先輩との関係」
6/11 14:15
およそ6割の企業がストレスチェックを利用した職場環境改善を実施
4/16 13:35
ストレスが低い人は「睡眠7~9時間」に集中
4/2 13:40
男性のストレスは38歳をピークに55歳まで高水準が続く
3/19 13:45
働く女性のストレスは32歳と37歳がピークとなる
3/14 13:45
健康経営優良法人2024「ブライト500」、通算3度目の認定
3/11 15:15