「2024年問題」影響の緩和をめざし、エレベーター据付作業を半自動化し、工期を短縮する新技術を開発

2024年3月7日

株式会社日立製作所

株式会社日立ビルシステム


「据付位置調整装置」のイメージ
(左:「レール位置調整装置」、右:「シル位置調整装置」)

 

 株式会社日立製作所(以下、日立)と株式会社日立ビルシステム(以下、日立ビルシステム)は、このたび、エレベーターの据付作業の工期を短縮する新技術として、「据付位置調整装置」を開発し、最新の標準型エレベーター「アーバンエース HF Plus(エイチエフ プラス)」*1の据付作業において運用を開始しました。これにより、建設業界における慢性的な人手不足や、2024年4月1日から建設業界において適用される時間外労働の上限規制に伴って工期の長期化などが懸念されている「2024年問題」の影響の緩和をめざします。

 今回開発した「据付位置調整装置」は、エレベーターのスムーズな上下移動に欠かせないガイドレールの設置時の位置調整作業を半自動化する「レール位置調整装置」と、エレベーターの乗場のシル(敷居)*2を建屋の床の高さに水平に設置する作業を半自動化する「シル位置調整装置」で構成されます。本装置の適用により、経験の浅い技術者でも早く正確に作業を行うことが可能となり、当該作業の作業時間を従来比で約30%低減*3します。

*1 2023年4月17日付ニュースリリース「先進のデザインとレジリエンス・デジタル機能を、より多くの建物へ 標準型エレベーターの新シリーズ『アーバンエース HF Plus』を販売開始」
https://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2023/04/0417.html

*2 シル(敷居):エレベーターの乗場およびかごのドア開閉用の溝。

*3 平均的な高さのビル(6階建て)での作業における比較。

 

 日立と日立ビルシステムは、今後も作業の効率性や品質の向上に向けて、新技術開発やDXに取り組んでいきます。

 

■「据付位置調整装置」開発の背景

 建設業界においては、人手不足が慢性的な課題となっていることに加えて、2024年4月から時間外労働の上限規制が適用される「2024年問題」に伴い、建設現場の閉所日の増加、技術者の不足などによる工期の長期化が懸念されています。

 日立と日立ビルシステムは、建設会社が管理する現場において、エレベーターなどのビル設備の施工作業を協力会社の技術者と共に行っています。エレベーターの据付は、工場で製作されたエレベーターを構成する機器・部材を建物内のエレベーター昇降路や乗場に取り付けて、製品として完成させていく作業ですが、高度な技術や経験が求められる作業や、工数のかかる作業が多くあります。慢性的に技術者が不足している状況が、「2024年問題」に伴ってさらに深刻化することが見込まれています。

 このような背景の下、施工能力強化に向けて、作業現場で組み立てていた機器・部材の工場での組み立てへの切り替えや、製品構造の見直しによる施工工数低減、デジタル技術活用による業務効率化など、さまざまな取り組みを推進しており、今回新たにガイドレールとシルの「据付位置調整装置」を開発し、運用を開始しました。

 

■「据付位置調整装置」の詳細

1.「レール位置調整装置」

 ガイドレールの据付は、まず、昇降路の天井からピアノ線を垂直に下し、そのピアノ線に沿ってガイドレールを昇降路内の梁に仮止めした後、従来の作業手順では、技術者がピアノ線とガイドレールの距離を物差しで測り、ハンマーで叩いて前後左右の位置を調整していましたが、「レール位置調整装置」を適用することで、同作業を半自動化することができます。具体的には、光センサーによって、ピアノ線を検出し、そのデータを元に四つのアクチュエーターを制御して、昇降路内の梁に仮止めしたガイドレールの前後左右方向の位置を半自動調整します。

「レール位置調整装置」の概要図

 

2.「シル位置調整装置」

 各階の出入口にシルを取り付ける作業では、まず、建屋の床材が置かれる高さにシルを持ち上げ*4、前後左右の位置を合わせ、上下前後左右の6軸で水平度の調整と建屋床面との高さ合わせを行う難易度の高い調整が必要となります。従来の作業手順では、技術者がシルの上に水平器を置き、ハンマーで細かく叩くことによって傾きを調整していましたが、「シル位置調整装置」を適用することで、同作業を半自動化することができます。具体的には、傾斜センサーでシルの水平度のデータを取得し、そのデータを元にアクチュエーターを制御して、シルが床面と水平になるように半自動調整します。

*4 エレベーターの据付工事時点では、建屋の床材は施工されておらず、床の高さを割り出して、シルを設置する位置(高さ)を決める作業を行います。

「シル位置調整装置」の概要図

 

■日立ビルシステムのWebサイト

https://www.hbs.co.jp/

 

■日立ビルシステムブランドチャンネル

https://www.youtube.com/channel/UCfOgxcLRk3NHm2WrqHeQ6MA

 

■日立製作所について

 日立は、データとテクノロジーでサステナブルな社会を実現する社会イノベーション事業を推進しています。お客さまのDXを支援する「デジタルシステム&サービス」、エネルギーや鉄道で脱炭素社会の実現に貢献する「グリーンエナジー&モビリティ」、幅広い産業でプロダクトをデジタルでつなぎソリューションを提供する「コネクティブインダストリーズ」の事業体制のもと、ITやOT(制御・運用技術)、プロダクトを活用するLumadaソリューションを通じてお客さまや社会の課題を解決します。デジタル、グリーン、イノベーションを原動力に、お客さまとの協創で成長をめざします。2022年度(2023年3月期)の連結売上収益は10兆8,811億円、2023年3月末時点で連結子会社は696社、全世界で約32万人の従業員を擁しています。

詳しくは、日立のウェブサイト(https://www.hitachi.co.jp/)をご覧ください。

 

■お問い合わせ先

株式会社日立ビルシステム カスタマーサポートセンター

TEL:0120-7838-99(フリーダイヤル)

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プレスリリース添付画像

レール位置調整装置のイメージ

シル位置調整装置のイメージ

レール位置調整装置の概要図

シル位置調整装置の概要図

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  • 所在地 東京都
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