VHF帯におけるソフトウェア無線技術を用いた超広域小型自営系(プライベート)5Gシステムの開発に成功

2024年7月16日

京都大学 原田博司研究室

国立大学法人 京都大学大学院情報学研究科の原田博司教授の研究グループ(以下 京都大学)は、VHF帯における移動体対応高周波技術およびオープンソースを用いたソフトウェア無線技術を利用し、10kmを超える通信エリアを実現するVHF帯を用いた超広域小型自営系(プライベート)5Gシステム(基地局、端末)開発に成功しました。

 

現在、携帯電話として運用が行われている5Gシステムの次世代の通信システムとしてBeyond 5Gおよび6Gシステムという呼称で研究開発が行われています。このBeyond 5Gおよび6Gシステムで要求される項目として、できるだけ広いエリアを確保する超カバレッジ無線通信技術の研究開発が行われています。

 

京都大学においては、通常の5Gが用いられている周波数帯(3、4GHz帯)よりも10倍以上波長が長く、長距離伝送が期待できるVHF帯(200MHz帯)を用いたブロードバンド移動通信システムの研究・開発・標準化・商用化を行ってきました。特に、直交周波数分割多元接続方式(OFDMA)を用い、1チャネルあたり5MHzを用いて、最大9Mbps程度を伝送する移動体通信にも利用可能な広域系無線地域ネットワーク(Wireless Regional Area Network: Wi-RAN)の無線機を開発し、このWi-RANは現在、VHF帯において公共ブロードバンドシステムとして国際標準化、商用化され、災害現場における映像伝送、情報伝達の手段として利活用されています。しかし、Wi-RANと5Gシステムは同じOFDMA方式を使って伝送を行っているため、VHF帯においても5Gシステムの利用したい要望がありました。

 

詳細には下記の3点について研究開発しました。

 

1. 5G NRを実現するオープンソースを利用し、13cm x 13cm x 5.6cm程度の大きさの小型PC内にそれぞれ5G NRの基地局(5GではgNBと呼ぶ)のベースバンド処理機能(5GではCU、DU機能と呼ぶ)と端末機能(5GではUE機能と呼ぶ)をソフトウェアで搭載。

2. 5G NRの基地局機能および端末機能が搭載された小型PCそれぞれにソフトウェア無線機を接続することによりVHF帯において5G NR変調、復調が可能となり、さらにWi-RANで培われた小型のVHF帯高周波部に接続し、送信出力5Wを実現し、受信側においては2ブランチのダイバーシチを実現。

3.移動通信に必要となる送信側の自動送信電力制御機能(Automatic Power Control:APC)機能、および受信側において移動において受信電力が変動した場合においても自動で追尾し、一定の受信電力を受信側に提供する自動利得制御(Automatic Gain Control:AGC)機能を新規に開発し、ソフトウェア無線機に搭載し、この機能をもとにVHF帯高周波部を制御することにより端末が高速に移動しても高品質な送受信を達成。

 

なお5G-NRの仮想無線機の開発には京都大学が国内の大学として最初に正式加入しているOAI(OpenAirInterface) software Allianceが供給するオープンソースを利用し、VHF帯に適した無線パラメータで5G-NRを運用しています。

 

今回の成果により、数kmから10km程度の限定された範囲内においてセンサー、メーター、モニターが必要なさまざまなアプリケーションや災害時の仮設的な情報伝達、映像伝送手段として、簡易に5Gシステムを提供することが可能になります。

 

詳しくは

https://www.dco.cce.i.kyoto-u.ac.jp/ja/PL/PL_2024_06.html

をご覧ください。

 

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