太陽光発電設備の管理システム NITE、「スマート保安技術カタログ第19号案件」を公開
~点検・メンテナンスのデジタル化~
独立行政法人 製品評価技術基盤機構 【NITE(ナイト)、理事長:長谷川 史彦、本所:東京都渋谷区西原】が事務局を務める「スマート保安プロモーション委員会」は、野原グループ株式会社が開発した『太陽光発電設備の保守メンテナンスの効率・的確化のための管理システム』を電力保安の現場作業を支援するスマート保安技術として承認しました。
本技術は、「スマート保安技術カタログ(電気保安)第16版」に掲載し、2024年11月1日よりNITEのホームページで公開しています。本技術が普及することで、太陽光発電設備の保守・メンテナンスの効率化や長期安定的な運用に資することが期待されます。
国内では、小規模の太陽光発電設備(10 kW以上50 kW未満)の数は数十万件にまで上り、保守保安の観点から適切な運用管理が必要です。
太陽光発電設備の長期安定的な運用のためには、多岐に渡るメンテナンスや多くの関係者間での連携が必要になる一方で、電子化が進んでおらず紙媒体による管理が主であり、業務管理が煩雑化し運用コストも高くなってしまうという課題がありました。
そういった課題を解決するべく野原グループ株式会社が開発した『太陽光発電設備の保守メンテナンスの効率・的確化のための管理システム』は、太陽光発電設備の運用における作業情報をデジタル化して一元管理することで、データの活用・保存と関係者間での情報共有を可能にした業務管理支援システムです。本技術は、太陽光発電設備の保守メンテナンス業務の効率化、長期安定的運用及び運用コストの低減に資するものになります。
図1 第19号案件概要(管理システムの構成と仕組み)
技術の概要
今回掲載された管理システムは、以下の(1)~(5)の機能を有しています。
(1) 携帯端末での入力による素早く確実な点検・計測結果の電子保存とインシデント管理
(2) 発電所や設備情報のデジタル化による一元管理、及び現場でのデータ活用
(3) O&M(Operation(運用)&Maintenance(保守))報告書をデジタル化することで多種多様な報告書類を自動作成・出力
(4) 点検・修理・設備データ等の登録・検索、及び作業履歴やスケジュールの共有化
(5) 通信が困難・不通な地域での利用を想定した運用
発電設備の配置図や設置機器、専門企業等の発電事業運営情報を登録し、タブレット端末等で点検や測定結果を入力することで、点検やメンテナンスの実施報告書を自動で作成することができます。また、通信環境に左右されず、たとえオフラインの現場であっても入力することができます。さらに、種々の添付書類の取込機能やインシデント情報の自動登録機能を活用することで、より詳細な報告書も作成できます。加えて、スケジュール管理・リペアマネジメント・インシデント管理等によって、点検の実施状況やプロセスを把握し、作業の遅延防止を図ったり、それらの情報について発電所の関係者と共有したりすることも可能です。
図2 システム画面例(インシデント管理画面とプロセス管理画面)
(参考)
スマート保安プロモーション委員会について
電気保安の現場では、需要設備の高経年劣化や電気保安人材の高齢化・人材不足、台風や自然災害など様々な課題を抱えています。こうした課題の解決に向け、NITEは経済産業省からの要請を受けて、スマート保安プロモーション委員会を立ち上げました。
当該委員会では、学識経験者等からなる委員が、申請のあった保安管理技術案件の代替性・実効性・経済性などを評価します。また、評価されたスマート保安技術の導入・普及を阻害する要因があれば、その対応策を検討し、国や業界団体への提言も行っています。
図3 スマート保安プロモーション委員会の位置づけ
※出典:「電気保安分野 スマート保安アクションプラン」(経済産業省)
https://www.meti.go.jp/shingikai/safety_security/smart_hoan/denryoku_anzen/20210430_action_plan.html
スマート保安プロモーション委員会 >>https://www.nite.go.jp/gcet/tso/smart_hoan_shiryo.html
スマート保安技術カタログについて
スマート保安プロモーション委員会による評価の結果、スマート保安技術として妥当と判断されたものは、スマート保安技術カタログに掲載し、NITEのホームページ上で公開しています。本カタログは、電気設備の設置者等が保安技術導入・促進を検討する際の参考資料として活用されることを目的としたもので、掲載されている技術は、スマート保安技術としての活用が可能又は期待されると評価された「基礎要素技術」と、スマート保安を導入する対象設備での実証試験により成果が評価された「保安技術モデル」に分類されています。
スマート保安技術カタログ >>https://www.nite.go.jp/gcet/tso/smart_hoan_catalog.pdf
※本技術は、「保安技術モデル」保技 00007-P1(資料1.1)~保技 00007-P12(資料3.2)に掲載
NITEにおける電気保安の課題解決に向けた取り組み
NITEでは、経済産業省からの要請を受け、電気保安行政(電気工作物の設計、維持、運用等における安全を確保するための行政活動)を技術面から支援するため、2020年5月に電力安全センターを新設しました。NITEがこれまで培ってきた知識や経験を活用し、経済産業省や関係団体と連携しながら、新しいスマート保安技術の普及啓発活動や規制見直し等の提言を行うなど、電気保安の維持・向上に資する様々な業務に取り組んでいます。
NITE電力安全センターの業務紹介 >>https://www.nite.go.jp/gcet/tso/index.html
用語解説
【スマート保安】:
IoTやAIなどの新技術を導入し、産業保安における安全性や効率性の向上を図っていく取り組みのことです。
スマート保安の説明 >>> https://nite-gov.note.jp/n/n91734ca4bbb3
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このプレスリリースを配信した企業・団体
- 名称 独立行政法人製品評価技術基盤機構
- 所在地 東京都
- 業種 政府・官公庁
- URL https://www.nite.go.jp/
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