ユーザーを意図的に誘導する「ダークパターン」、約7割が行動を控える結果に

-企業の信頼性への影響も明らかに

JIPDEC

2025年4月24日(木)

 

 「デジタル社会における消費者意識調査2025」結果公開

 

一般財団法人日本情報経済社会推進協会(所在地:東京都港区、会長:杉山 秀二、以下 JIPDEC)は、全国の18歳から70代の男女を対象に、個人情報やプライバシーに加え、生成AIやAIエージェント、ダークパターンなど、デジタル社会で注目されている課題への意識や実態を探るため「デジタル社会における消費者意識調査」を実施しました(有効回答数:1,449名)。

 

今回の調査結果のポイントは、次の6点が挙げられます。

 

1.個人情報の提供に抵抗を感じる人は70.6%(前年比3.5ポイント増)で、そのうち約半数が「個人情報の登録が必要なら利用しない」とサービスの利用をやめた経験がある。

2.生成AIの利用経験は前年比で10ポイント増加。特に男性や若年層での利用が目立つ一方、全年代で「ハルシネーション」や「ディープフェイク」などへの不安や懸念が引き続き見られる。

3.個人情報の漏えい事故が発生した際、企業の信頼回復には、情報開示のスピードやメディア対応よりも被害者や顧客への丁寧な対応と再発防止策の提示が特に重要視されている。

4.事業者によるプライバシーテック(プライバシー保護技術)の導入と、その活用方法などの丁寧な説明が、消費者のデータ利活用への安心感の向上につながる。

5.消費者を意図的に誘導するWebデザイン(いわゆる「ダークパターン」)により、7割以上のユーザーが行動を中断した。遭遇時の印象としては、企業やサービスに対してネガティブな印象を抱く傾向が見られ、企業は信頼低下のリスクが高まる可能性がある。

6.働き方の多様化が進む中でも出社を希望する人は6割近くにのぼり、企業の方針のみならず従業員側にもオフィス勤務への回帰傾向がみられる。

今回の調査項目と結果概要

今回実施した調査内容と、それぞれの結果概要は以下のとおりです。各設問の詳細結果、年代/性別分析結果等は、JIPDECサイトでご覧いただけます。

 

調査結果ポイント

 

1.個人情報提供に対する抵抗感(Webサービスやアプリ利用時)

70.6%が提供に抵抗を感じている
Webサービスやアプリを利用する際に、自分や家族の個人情報を提供することに抵抗を感じる人は70.6%にのぼりました。この割合は前年比3.5ポイント増となっており、プライバシーや個人情報保護への意識の高まりがうかがえます。


図1:Webサービス、アプリケーション利用時における個人情報提供への抵抗度合い

 

約半数がサービス利用をやめた経験がある
個人情報提供に抵抗を感じた人のうち、47.9%が実際にサービスの「利用をやめた」と回答しています。不安が現実の行動変化に直結していることが明らかとなりました。

 

 

2.生成AIAIエージェントに対する意識

プライベート利用が拡大、若年層男性で顕著に

前年比10ポイント増と、生成AI(例:文章生成AIや画像生成AI)のプライベートでの利用が増加しています。特に、18歳から20代の若年層の男性では、1年前と比べて利用経験が増加する傾向が見られました。

 

「役に立つ」「便利」といったポジティブな評価が上昇

生成AIに対する印象として、「役に立つ・使える」と回答した人は27.5%で、昨年より約5ポイント増加しました。「便利な」と回答した人も21.2%と、昨年から5.5ポイントの増加が見られ、全体としてポジティブなイメージが広がっています。

 

「ハルシネーション」「ディープフェイク」などリスクへの懸念も依然強く

生成AIのリスク面として、「ハルシネーション(事実と異なる情報の生成)」や「ディープフェイク(偽の映像や音声)」に対する不安や懸念も根強く残っています。JIPDEC/ITRが行った「企業IT利活用動向調査※」でも、同様の懸念が企業のIT担当者から報告されています。

「企業IT利活用動向調査」JIPDEC/ITR

 

 


図2:生成AIを利用したサービスに対する不安事項は?

 

3.情報漏えい時の企業対応で重視されるポイント

丁寧な事後対応が信頼回復の鍵

個人情報の漏えい事故発生時、企業に求められる対応として、「対応までのスピード」「開示情報の量と質」「被害者への丁寧な対応」が重視される傾向にあります。なかでも「丁寧な事後対応」は約6割が重要と回答しており、具体的な再発防止策を提示し、誠実に対応する姿勢が信頼回復に不可欠であることが示されています。

 

図3:情報漏えい時、企業の対応で重視するポイントは?

 

 

4.プライバシーテック(プライバシー保護技術)への期待

安心感向上につながる技術への期待

事業者がプライバシーテック(プライバシー保護技術)を導入することで、半数以上の消費者が「安心感が増す」と回答しました。個人情報の取り扱いに対する不安が根強い中、技術による保護への信頼が高まっていることがうかがえます。

 

5.ダークパターンへの対応と意識

7割が行動を中止、信頼・購買行動に大きく影響

無駄な情報入力の強要や定期購入への誘導、位置情報提供のポップアップ表示など、いわゆる「ダークパターン(ユーザーを意図的に誘導するデザイン)」に遭遇した際、約7割のユーザーが「購入・登録・問い合わせなどを中止した」と回答しました。不誠実な設計は短期的な成果につながっても、長期的には信頼の損失につながる可能性があります。

 

サービス・企業への印象にも影響

ダークパターンに対して、消費者の多くが「面倒」「信用できない」「不快」「疑問」などのネガティブな感情を抱いています。とくに「残り●●」といった希少性を強調する表示では、女性の多くが「焦る」「プレッシャーを感じる」と回答しました。一方、18〜20代男性は「親切」「購買意欲がわいた」とポジティブな印象を持つ傾向も見られ、反応の違いが浮き彫りになりました。

 

6.理想の働き方

柔軟な働き方が進む中でも、根強い出社志向

「テレワーク制度がなく出社のみ」は40.4%で最多。さらに「制度はあるが出社が中心」(18.9%)を合わせると、出社勤務を理想とする人は約6割にのぼります。一方、ハイブリッド勤務を望む人は29.4%、全面テレワーク希望は11.4%にとどまり、柔軟な働き方への期待はありつつも、出社を前提とした働き方が依然として根強い傾向が見られました。

 

図4:テレワーク、出社、ハイブリッド、理想の働き方は?

 

 

 

本調査について

1.調査期間:2025年2月25日(火)~2025年2月26日(水)

2.実施主体:一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)

3.調査方法:Webアンケート調査

4.調査対象:日本在住、18歳~79歳、1,449名(男性49.4%、女性50.6%)

 

JIPDECについて

JIPDECは、1967年よりわが国の情報化推進の一翼を担い、技術的・制度的課題の解決に向けたさまざまな活動を展開しています。特に、安心安全な情報利活用環境の構築を図るため、プライバシーマーク制度の運営や、メールのなりすまし対策や電子証明書を発行する認証局等の信頼性を評価するトラストサービス評価事業等、個人情報の取り扱いやプライバシーガバナンス等、情報の保護と活用に関する調査研究・政策提言等を行っています。

URL:https://www.jipdec.or.jp/

 

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プレスリリース添付画像

図1:Webサービス、アプリケーション利用時における個人情報提供への抵抗度合い

図2:生成AIを利用したサービスに対する不安事項は?

図3:情報漏えい時、企業の対応で重視するポイントは?

図4:テレワーク、出社、ハイブリッド、理想の働き方は?

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