雷レポート2025 Vol.1

2025年6月の雷は例年より少ないが、北海道・本州では前年より大幅に増加 夏本番は雷への備えを

日本気象協会

2025723

一般財団法人 日本気象協会

 雷レポート2025 Vol.1  20256月の雷は例年より少ないが、北海道・本州では前年より大幅に増加 夏本番は雷への備えを

 

日本気象協会では、以前よりさまざまな業種の事業者さま向けに雷の実況監視・予測サービスを展開しています。これまでの長年の経験と気象に関する専門知識をもとに、2025年6月の落雷を分析した「雷レポート」を発信します。雷の発生が増えてくる夏本番に向けて、落雷対策の検討にご活用ください。

 

1.20256月の雷は例年の半分程度!

気象庁の雷監視システム(LIDEN※1)による観測データに基づき、2025年6月の落雷(対地放電※2)の発生状況を分析しました。図1は、日本付近を10kmメッシュで区切り、各メッシュ内の1カ月間の落雷発生数を集計し、色分けしたものです。全国各地で落雷が発生していた状況がわかります。特に、栃木県~埼玉県、岐阜県、大分県、宮崎県・鹿児島県~九州の南海上などでは集中した雷が観測されました。6月中旬以降は、全国的に真夏日や猛暑日となった地点が多く、夏季特有の大気の状態が不安定なことによる落雷(熱雷※3)の発生もみられました。北海道では、6月11日および27日に上空の寒気の影響を受け、局地的に落雷が集中する事例も確認されました。


図1 2025年6月の落雷数

※1 LIghtning DEtection Network systemの略称で、気象庁の雷監視システムのこと。雷の種類、位置、発生時刻を観測する。

※2 雷雲と大地の間の放電で、落雷ともいう。

※3 強い日射で地表付近が加熱され、発生した上昇気流に伴い発達した積乱雲による雷。

 

図2は、同じくLIDENによる観測データをもとに、日本全域(図1のエリア)の月ごとの落雷数について、例年※4の値と2025年度(6月まで)の集計値を比較したものです。

例年(グレー)の棒グラフから、毎年、6月頃から全国的に落雷数が増加し、8月にピークを迎える傾向がみられます。これは、夏季特有の熱雷や、台風の接近・通過に伴って発生する雷が大きく影響しています。しかし、2025年6月の落雷数は、沖縄地域(海上含む)での落雷発生が例年の6分の1程度と少なかったため、日本全域でみると例年の半分程度となりました。

 

※4 過去7年(2018~2024年度)の月ごとの平均値

 

図2 日本全域の月ごとの落雷数(例年・2025年度)

 

2.地域別では、北海道・本州で前年よりも「かなり多い~やや多い」傾向

次に、地域別の落雷傾向を見てみましょう。表1は、2025年6月の日本全域および地域別の落雷傾向を示したものです。

例年と比較すると、2025年6月の落雷数は、北海道エリアを除く地域で例年より少ない結果となりました。通常6月は、梅雨前線の影響で九州・沖縄から本州にかけて落雷が多く発生します。しかし、2025年は全国的に梅雨入りが遅れた影響で、梅雨前線に伴う落雷の発生が少なくなり、これが6月の落雷数の少なさにつながったと考えられます。

一方、前年の2024年6月と比較すると、日本全域エリアとしては少ないものの、九州、沖縄・奄美を除くすべての地域で前年を上回る落雷数が観測されました。2024年6月は、中旬までは梅雨前線が南西諸島付近や日本の南で停滞していたことに伴い沖縄地域(海上含む)での落雷が極端に多く、それ以外の地域での落雷が少ないことが特徴的な年でした。そのため、2024年6月と比較すると相対的に2025年6月は「かなり多い」地域が多くなりました。体感として「今年は前年より雷が多い」と感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、それでも例年と比べると雷が「少ない」6月だったと言えます。

 

表1 2025年6月の落雷数


 

3.20257月~9月は平年より高温の見通し。台風に伴う雷に注意

気象庁が発表した3か月予報※5によると、2025年7月~9月の平均気温は、全国的に平年※6を上回る見通しです。また、当協会が発表した2025年の台風の見通し※7では、2025年の台風の発生数は平年並みと予想しているものの、日本列島への接近数は平年並みか多い見込みです。

今後は高温傾向に加え、台風に伴う積乱雲の発達が活発になることが予想され、雷の発生が増加する可能性があります。7月以降も引き続き、落雷への警戒が必要です。

 

※5向こう3か月の天候の見通し 全国 (7月~9月)(2025年6月24日 気象庁発表)

※6 30年間(1991~2020年)の平均値

※7 防災レポート2025 Vol.1 2025年の台風傾向 日本への接近数は8月から「平年より多い」 8月以降の台風は発生から接近まで短い可能性(2025年5月29日 日本気象協会発表)

 https://www.jwa.or.jp/news/2025/05/27216/

 

 

4.本格的な雷シーズンに向けて万全の備えを

これから夏本番、本格的な雷シーズンを迎えます。工場や建設現場、再生可能エネルギー施設、イベント会場などでは、効率的な態勢判断や設備管理、作業の安全確保のため、雷への適切な備えが必要です。日本気象協会では、これらの現場で活用できる雷サービスとして、「雷アラートWeb」「オンライン気象情報サービスMICOS」「雷メール通知サービス」「エネルギー事業者向けAPIサービス ENeAPI」など、さまざまな事業者さまの用途に応じた雷監視・予測サービスを提供しています。お気軽にお問合せください。

 

エネルギー事業者向け雷監視・予測サービス

https://www.jwa.or.jp/service/weather-risk-management/lightning-protection-01/

 

 

本レポートでのエリア区分

 

 

 

 

本レポートの落雷数の比較に関する用語

 かなり多い :例年(前年)の200%以上

 多い    :例年(前年)の150%以上~200%未満

 やや多い  :例年(前年)の110%以上~150%未満

 同程度   :例年(前年)の90%以上~110%未満

 やや少ない :例年(前年)の60%以上~90%未満

 少ない   :例年(前年)の30%以上~60%未満

 かなり少ない:例年(前年)の30%未満

 

 

 

 

 

一般財団法人 日本気象協会

環境・エネルギー本部 エネルギー事業部

予測システム課

永松 慎平(ながまつ しんぺい)

 

岡山大学大学院(地球科学専攻)修士課程修了。

システム担当としてエネルギー事業者向けに気象情報提供を行う一方、気象情報提供分野の統括として、雷サービスの企画・開発を行っている。

 

 

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プレスリリース添付画像

図 1 2025 年 6 月の落雷数

図 2 日本全域の月ごとの落雷数(例年・2025 年度)

表1_2025年6月の落雷数

本レポートでのエリア区分

一般財団法人 日本気象協会 永松慎平

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