日本GIFオンラインセミナー 「気候変動の最前線から見たCOP30 ―島嶼国の危機感とCOP31に向けた展望―」

1.5℃目標の維持、対策の実施フェーズへの移行と日本の役割

日本GIF

2026年3月11日

セミナーで使用されたスライドより(C)加藤真

 公益財団法人日本グローバル・インフラストラクチャー研究財団(所在地:東京都港区、理事長:中山幹康、略称:日本GIF)は、2026年1月30日(金)午後2時から、Zoomを利用したオンライン形式にて、一般社団法人海外環境協力センター(OECC)理事・業務部門長の加藤真氏を講師に、「気候変動の最前線から見たCOP30 ―島嶼国の危機感とCOP31に向けた展望―」と題したセミナーを開催しました。

 

開催趣旨

 「1.5℃の壁を超えれば、私たちの国は地図から消えてしまうかもしれない」――。海面上昇の影響を強く受ける太平洋島嶼国にとって、COPは外交交渉の場であると同時に、国家存亡をかけた交渉の場でもあります。本セミナーでは、長年にわたり国連気候変動交渉の最前線で交渉に携わってきたOECC理事の加藤真氏を講師に迎え、報道だけでは十分に伝わらない「COP30の深層」に迫りました。特に、当財団が研究フィールドとしているマーシャル諸島共和国をはじめとする島嶼国の、1.5℃目標の扱い、化石燃料からの脱却、適応資金の拡充、災害に負けない強靱な国づくり、国土の喪失を含む「損失と損害(Loss and Damage)」への正当な補償、「気候正義」といった論点について、島嶼国の交渉戦略と成果・課題を整理しました。また、彼らの訴えがどのように扱われたのか、何を勝ち取ったのか等の考察と、次回トルコで開催されるCOP31に向けての課題等も展望しました。

 

講演要旨

1.COP30に至るまでのながれ

・COP30は2025年11月、ブラジル・パラー州ベレンで開催

・2024年は、パリ協定の抑制目標である1.5℃を年間通して初めて上回り、温室効果ガス排出量も過去最大を更新

・中国やインド、ブラジルなど大規模排出国の排出拡大が大きな課題

・米国トランプ政権による国連気候変動枠組条約(UNFCCC)およびパリ協定からの離脱発表が、多国間主義および気候資金に大きな影響

・次期、2035年への温室効果ガス削減目標「NDC3.0」は、各国の提出の遅れが目立つ

・バヌアツ主導の国連決議に基づき、国際司法裁判所(ICJ)は国家の気候系保護義務に関する勧告的意見を出した。これは法的拘束力がないものの、島嶼国にとって道義的・法的後ろ盾となった

 

2.COP30交渉の結果

・COP30の主要成果は、「グローバル・ムチラオ決定」の採択で、連帯と国際協力の継続を確認

・緩和分野では「化石燃料からの脱却」を巡り対立が激化し、緩和ロードマップは見送り

・適応分野では「適応に関する世界全体の目標(GGA)」の指標リストを採択し、2カ年作業計画「ベレン–アディスビジョン」を設置

・資金面では適応資金を2035年までに3倍化する努力を呼びかけることを決定

・脱炭素化で誰も置き去りにしないよう、現場の声を聴いて進める「公正な移行」の定義に合意

 

3.COP30における島嶼国による交渉

・島嶼国にとって1.5℃目標は絶対的な条件である「非交渉事項(レッドライン)」

・産油国や一部主要排出国が1.5℃言及削除を主張する中、島嶼国は強く反発し、目標維持を強く訴え

・緩和対策強化として、島嶼国は世界の温室効果ガス削減目標の引き上げを要求、適応対策強化として、適応財政の3倍拡充、「損失と損害基金(ロスダメ基金)」の迅速な資金供与を求めた

 

4.島嶼国国内や地域における取り組みの加速化―計画的移住の基盤整備―

・ツバルとオーストラリア間の「ファレピリ・ユニオン条約」は、海面上昇後も国家存続と主権を法的に保証し、ツバル国民のオーストラリアへの「尊厳ある移動」を制度化した世界初の枠組み

・フィジーは国内の「計画的移住ガイドライン」および「標準作業手順書(SOP)」を策定。独自の信託基金を設立するなど「スローオンセット(緩徐に進行する事象)」へ長期的に対応

 

5.今後の交渉と実施―COP31に向けて―

・国際交渉は、理念的な目標設定から、具体的な「実施」のフェーズへと移行している

・島嶼国は大排出国である途上国グループと一線を画し、日本やオーストラリア、EU等の先進国と協調して交渉に臨む場面が増加

・2026年のCOP31はトルコが開催議長国、ただしオーストラリアが交渉に関する議長を務めるという異例の体制。オーストラリアは、太平洋でのプレCOP開催等を通じて島嶼国と連携を継続

・日本には、資金拠出にとどまらず、現場の協力支援を通じて得た知見を国際交渉の場へフィードバックし、島嶼国と共に新しい国際協力の形を構築していくことが期待されている

 

 講演後の質疑応答では、ツバルとオーストラリアの条約の含意、COP31議長国トルコの交渉上の立ち位置、島嶼国のプロジェクト実施能力やキャパシティなど、多岐にわたる議論が行われました。

 セミナー終了後のアンケートでは、「COP30における島嶼国による交渉」、「島嶼国国内や地域における取り組みの加速化」パートへの関心が特に高く、気候変動交渉の実態への関心の高さがうかがえました。

 

セミナー概要

主  催: 公益財団法人日本グローバル・インフラストラクチャー研究財団(日本GIF)

日  時: 2026年1月30日(金)14:00~15:30

名  称: オンラインセミナー「気候変動の最前線から見たCOP30

     ―島嶼国の危機感とCOP31に向けた展望―」

開催形式: Zoomを利用したオンライン形式(ウェビナー)

講  演  者: 加藤 真(一般社団法人 海外環境協力センター(OECC)理事/業務部門長)

司  会  者: 中山 幹康(日本GIF理事長)

参  加  費: 無料

動  画: https://gif.or.jp/seminar_youtube/cop30-2/

 

講師略歴

加藤 真

国連アジア太平洋経済社会委員会(UNESCAP)コンサルタントを経て、2003年より一般社団法人海外環境協力センター(OECC)にて、気候変動分野の国際協力に取り組む。途上国における気候変動計画(緩和・適応)の策定・実施・モニタリング評価、関連制度構築、資金アクセス向上等に関する技術協力に従事。代表的な実績として、「JICAバンコク都気候変動マスタープランプロジェクト」、「環境省途上国におけるパリ協定に基づく透明性向上支援(PaSTI)委託業務」等。2004年(COP10)から国連気候変動交渉日本政府代表団に参加。パリ協定のドラフティングでは、議題「途上国キャパシティ・ビルディング」(12条)のリードネゴシエータを担当。また、2007年より慶應義塾大学政策・メディア研究科環境イノベータコース非常勤講師として気候変動政策について教鞭をとる。


セミナーで使用されたスライドより(C)加藤 真

 

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加藤 真

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  • 名称 公益財団法人日本グローバル・インフラストラクチャー研究財団
  • 所在地 東京都
  • 業種 各種団体
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