ACHILLES LETTER Vol.2 世界を動かす半導体、それを支えるアキレス

過熱する半導体競争に、アキレスの技術で挑む
「半導体」という言葉は、ニュースでも頻繁に耳にするようになりました。しかし、それが自分たちの暮らしの中でどのように使われているのか、具体的にイメージできる人は意外と少ないのではないでしょうか。今号では、現代社会に欠かせない存在でありながら、その内側があまり知られていない「半導体」の世界を、アキレスの視点からひもときます。
もし世の中から半導体がなくなったら?
もし今日、世界から半導体が全てなくなったらどうなるでしょうか。まず皆さんに大きな影響を与えるのはインフラです。電気・ガス・水道の流量制御は全て電子部品で行われており、半導体なしでは機能しません。自動車や電車も動かず、信号機も止まり、交通は麻痺するでしょう。スマートフォン、パソコン、会社のシステムも使えなくなり、経済活動がほぼ止まります。病院の医療機器も動かなくなり、人命にも関わります。私たちの暮らしは、目には見えない半導体の上に成り立っているのです。
半導体市場は今、大きな転換点にある
生成AIの登場以降、高性能半導体への需要は爆発的に拡大しています。AIチャットや自動翻訳、画像生成はもちろん、自動運転やAIロボットなど、私たちの暮らしと産業のあらゆる場面で、半導体の重要性はさらに高まっています。
<半導体は“国家戦略”の時代へ>
半導体需要が世界規模で急拡大する中、日本政府も2024~2030年度の7年間で10兆円以上のAI・半導体支援を実施する方針を閣議決定しました1)。半導体産業の規模は圧倒的で、AIを動かすGPU・CPUなどのロジック半導体だけでも、2024年の世界市場はすでに約3,260億ドル(約49兆円)に達しています1)。これは、日本の国家予算(2025年度:約115兆円)の約4割に相当する規模であり、半導体が今や、国が総力を挙げて取り組む「国家戦略」の中心にある産業であることを物語っています。
半導体を支えるのは、半導体メーカーだけではない
半導体といえば、製造メーカーばかりがニュースでクローズアップされます。しかし半導体産業は自動車産業に匹敵するほど裾野が広く、製造メーカーの周囲には材料・装置・物流・ソフトウエアなど、数多くの企業が連なっています。
私たちアキレスも、その一社です。ウエハーの搬送から製造工程の中で使われる部材まで、半導体に関わるさまざまな場面で、縁の下から産業を支える技術を提供しています。「われわれの製品がなければ、半導体メーカーは出荷できない」。その思いを胸に、30年以上にわたってこの分野に取り組んできました。半導体業界において私たちは表舞台に立つ存在ではありませんが、なくてはならない役割を担っていると自負しています。
以降は、その技術と開発の舞台裏をご紹介します。
半導体を“守る”技術 ― ウエハー搬送システムの世界
スマートフォンやパソコンのメモリ、最先端のAIチップ——現代社会を支えるこれらの製品のもとになるのが「シリコンウエハー」です。アキレスは、ウエハーを世界中の工場へ安全に届けるための搬送資材から、製造工程の中で使われる部材まで、半導体の「現場」を幅広く支えています。
今回、その最前線を長年けん引してきた担当者に、アキレスの半導体関連事業の歩みと未来への展望を聞きました。


繊細な素材を壊さず、汚さず、世界へ届ける
Q. ウエハーとは、そもそもどんなものですか?
ウエハーとは、半導体の回路を書き込む薄い円形のシリコン板です。表面に碁盤の目のような微細な回路が刻まれ、それを切り出したものが私たちの身近な機器に使われるチップになります。
ウエハーの繊細さは、想像をはるかに超えます。目に見えないごく微量のホコリや静電気が触れるだけで、回路に不具合が生じることもあります。価格もそれに見合うもので、大型の12インチサイズになると、1ロット(25枚)で高級車1台分に匹敵するほどの価値を持ちます。
これほど高価で繊細な素材を、傷一つなく、静電気トラブルなく、世界中へ届けるために欠かせないのが、アキレスの「ウエハー搬送システム(プロトスシリーズ)」です。
Q.アキレスの搬送資材が、世界で選ばれる理由は何ですか?
ウエハーを安全に輸送するには、ウエハーを収める「ケース」、衝撃を吸収する「クッション材」、ウエハーの回路表面を保護する「スペーサー」の三つが必要です。これらを自社ブランドで一式提供できるメーカーは、世界でもアキレスだけです。各部材を全て一社で手がけるからこそ、トレーサビリティ(追跡可能性)に優れ、品質管理の精度も高い。その安心感が、世界中の半導体メーカーから信頼を得てきた理由の一つです。

プロトスキャリア 構成
開発STORY : 原点は、なんと床暖房の技術だった
Q.アキレスが半導体市場に参入したきっかけは?
アキレスが半導体市場に参入するきっかけとなったのは、長年培ってきた繊維への加工技術と、素材に電気を通す性質を持たせる導電化技術でした。その原点は、繊維にカーボンを染み込ませ、電気を流すことで面全体を発熱させる「面状発熱体」にあります。床暖房や家畜の保温、水道管の凍結対策など、暮らしや産業を支えるさまざまな用途で活用されてきた技術です。やがてアキレスは、この導電化技術をウレタンやフィルムなどの素材にも応用。静電気の影響を受けやすい半導体やプリント基板、電子機器向けの静電気対策製品を展開し、半導体の後工程向け製品で着実に実績を積み重ねていきました。
1994年には、より高度な技術が求められる前工程へ参入します。当時の傾向であったウエハーの大口径化に伴い、より安全な搬送へのニーズが高まることを見越した製品開発が動き出しました。カーボン充填樹脂を成型した容器・アキレス独自の導電材「STポリ」を使ったスペーサー・帯電防止性の樹脂を使ったクッションなど——社内技術の総力で各部材を開発し、業界最大手のメーカーへ幾度も提案を重ねた末に、採用を勝ち取りました。これを皮切りに国内市場でのシェアを急速に高めるとともに、海外独自の仕様に適合する製品を新開発することで国外市場への展開も進め、現在では関連売り上げの6割以上が海外への納入となるまでにグローバルな事業へと発展しています。
製品改良STORY :汚染物質を約1/10に。驚異のスピードで実現した品質改良
Q. 製品の品質改良で、特に印象に残っているエピソードはありますか?
ウエハーに直接触れるスペーサーは、見た目こそシンプルなフィルムですが、その中にはアキレスの技術が詰まっています。
品質改良のきっかけとなったのは、取引先の大手半導体メーカーから「ウエハーへの微細な汚染物質の付着が確認された」という指摘を受けたことでした。原因は、梱包材から移ったごく微量の不純物。年々ウエハーの精密化が進み、わずかな汚染でも不良につながりかねない時代において、これは搬送資材の品質そのものが問われる事実上の警告であり、早急な対応が求められました。
プロジェクトチームが取り組んだのは、フィルムの素材となる樹脂の配合を徹底的に見直すこと。添加物の種類や配合比率を変えながら試作を何度も繰り返し、不純物が外に染み出さない最適な配合を追い求めました。
そして、通常1〜2年はかかるような開発を、チームはわずか3カ月でやり遂げました。工場と研究開発本部が連携し、フィルム分野で培った配合設計・製膜技術の強みを最大限に活かすことで、短期間での課題解決を実現したのです。
完成した改良品では、ウエハーに付着する微細な汚染物質の数を従来品の約1/10にまで削減。現在ではこの改良品への全面切り替えを進めています 。
【 スペーサー改良比較データ 】
付着パーティクル(微細な汚染物質)個数
<届けた後も、アキレスの挑戦は続く―廃棄物削減へ、世界を巡るリユースの仕組み―>
半導体の後工程メーカーは台湾に集中しており、使用済みのウエハー搬送ケースもその地に大量に集まります。アキレスはこの実態に着目し、台湾に現地子会社を設置。廃棄されるケースの回収・洗浄・検査を行い、再び世界各地の半導体メーカーへ届ける仕組みを構築しました。
一つのケースは最大12回まで繰り返し使用でき、台湾だけで毎月約1万ケース以上がこの流れに乗っています。廃棄樹脂の削減量は毎月約15トン規模に上り、年間では数百トンの廃棄物削減に貢献しています。

半導体の未来を見据えて
AI時代の半導体に、アキレスが挑む
Q.現在はどのような開発を進めていますか?
生成AIの普及に伴い、回路面がセンシティブになり、非接触で運ばなければならない場面が増えており、従来のフィルム状のスペーサーでは対応が難しくなってきました。そこで開発を進めているのが「非接触リングスペーサー」です。ウエハーの縁わずか1ミリ程度にだけ接触し、回路面には一切触れない設計で、より繊細なウエハーを安全に運ぶことができます。8インチサイズはすでに販売を開始しており、12インチサイズの開発も現在進行中です。
さらに、ガラスなどを基板とした角形ウエハーの登場に対応した搬送ケースの開発にも着手しており、次世代の半導体を先読みしながら、新たな搬送技術の確立を目指しています。
半導体とともに進化し続ける——その姿勢が、アキレス製品が世界から選ばれ続ける理由です。
非接触リングスペーサー
<半導体製造の現場にも、アキレスの技術がある>
アキレスが半導体関連事業で手がけているのは、ウエハーの搬送だけではありません。半導体の製造工程(前工程)でも、アキレスの技術が活躍しています。
最近はウエハーが非常に薄くなっているため、割れを防ぐために「サポートガラス」で補強する工程が増えています。ところがガラスは電気を通さないため、静電気の力でウエハーをステージに固定する「静電チャック」が使えないという問題が生じます。
ここで役立つのが、アキレスの「ウエハー用導電性耐熱保護テープ(製品名:STチャックテープ)」です。このテープをガラスの上に貼ることで電気を通す層が生まれ、静電チャックが使用可能になります。製造工程では熱や強い薬液にもさらされるため、耐熱性・耐薬品性・導電性という三つの性能を兼ね備えた設計になっています。
変わり続ける現場のニーズに応えながら、アキレスの技術の歩みはこれからも続いていきます。
STチャックテープ
参考資料
経済産業省「半導体・デジタル産業戦略の今後の方向性」(令和7年)(https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/joho/conference/semicon_digital/0014/handeji14-4.pdf)
アキレス製品カタログ
静電気対策品総合カタログ:https://www.achilles.jp/product/catalog/esd/pdf/esd.pdf#view=Fit
「暮らしと現場をつなぐ ACHILLES LETTER」について
私たちが「現場」と呼ぶのは、製品が使われる場所だけではありません。新しい技術を生み出す開発の現場、製品をお届けする販売の現場、その全てが皆さまの「暮らし」につながっています。本レターでは、アキレスの製品・技術を紹介するとともに、事業領域の最新動向や開発者のこだわりもお届けします。
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このプレスリリースを配信した企業・団体
- 名称 アキレス株式会社
- 所在地 東京都
- 業種 化学
- URL https://www.achilles.jp/
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