~子どもの「食育」に関する意識・実態レポート~  野菜好きな子どもに育てる「ベジトレ」とは?

トレンド総研

生活者の意識・実態に関する調査をおこなうトレンド総研(東京都渋谷区)は、このたび、子どもを野菜好きにするためのトレーニング=「ベジトレ」をテーマにレポートします。

2018年5月16日

トレンド総研

~子どもの「食育」に関する意識・実態レポート~

小学校の現場で深刻化する「給食残し」問題を調査

子どもが残す給食、トップは「野菜メニュー」

学校だけでなく、家庭でのトレーニングがカギに!

専門家が指南! 野菜好きな子どもに育てる「ベジトレ」とは?

生活者の意識・実態に関する調査をおこなうトレンド総研(東京都渋谷区)は、このたび、子どもを野菜好きにするためのトレーニング=「ベジトレ」をテーマにレポートします。

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1:「ベジトレ」とは?

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近年、学校における給食の「残食率」の高さが問題になっています。こうした状況に対しては、提供する給食メニューの改善を求める声だけでなく、子どもたち自身の偏食が進んでいるという指摘も多くあがっているようです。中でも、子どもたちの多くが苦手とする「野菜」については、残食が目立つ食材であり、学校のみならず、家庭においても適切な食育が求められます。

こうした中で、現在注目を集めつつあるのが、子どもを野菜好きにするためのトレーニング=「ベジトレ」というキーワードです。特に、小学校入学前後の家庭における「ベジトレ」は、子どもの食事傾向、さらにはその後の人格形成にも大きな影響をおよぼすという見解もあります。

そこで今回トレンド総研では、この「ベジトレ」をテーマに、小学校教員および母親への調査を実施。また、子どもの食育事情に詳しい、栄養士・料理研究家・食コンサルタントの浜田陽子先生に、家庭における「ベジトレ」のポイントについてインタビューをおこないました。

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2:現役教員に聞く、小学校の「給食残し」事情

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はじめに、給食のある学校において担任・副担任を務める小学校教員300名を対象に、「給食残し」に関する調査を実施しました。

<調査概要>

・調査対象:20~60代 小学校教員300名 ※現在、給食のある学校において担任・副担任を務めている方

・調査期間:2018年4月20日~4月23日   

・調査方法:インターネット調査

◆10年前と比べて「偏食の児童が増えている」、ベテラン教員の約8割が回答

まず、「ご自身の学校やクラスで、給食の残食率が気になることはありますか?」と聞いたところ、86%と約9割もの教員が「ある」と回答。また、「現在クラスの中に偏食の児童はいますか?」という質問には、31%が「多数いる」、66%が「いる」と答えています。

グラフ1

さらに、教員歴が10年以上の教員からは、近年給食残しや偏食が加速しているという声も多くみられており、「10年前と比べて、給食の残食率は増えていると思う」と答えた人は66%と約7割、「10年前と比べて、偏食の児童は増えていると思う」と答えた人も79%と約8割にのぼっています。

グラフ2

◆給食において食べ残しが多い献立・食材は、「野菜メニュー」が1位

そこで、具体的に「学校給食において食べ残しが多い献立・食材」を質問したところ、「野菜のメニュー」が85%で最多に。続く「魚のメニュー」(46%)、「海藻のメニュー」(36%)、「牛乳」(19%)、「ごはん・パン・麺」(17%)などの回答を大きく上回りました。

グラフ3

また、教員たちに、「野菜が食べられない/苦手な児童の特性」を聞くと、「集中力が低い」(62%)、「忘れ物が多い」(52%)、「勉強が不得意である」(52%)などがあがり、偏食は生活態度や学習能力と関連している可能性も示唆されました。

なお、「野菜が食べられない/苦手な児童への対応」について質問すると、「給食に関する指導は現場に任されている」というケースが多く81%に。また、「頑張って残さず食べさせるように指導している」という教員も68%となりました。

しかし一方で、「近年は、家庭での食育が不足していると思う」(92%)、「小学校入学のタイミングで、野菜が嫌いな子どもは、その後の克服が難しいと思う」(74%)などの声も多くあがっており、学校だけではなく家庭でのトレーニングを望む教員の実態が浮き彫りとなりました。

グラフ4

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3:家庭における母親たちの「ベジトレ」事情

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<調査概要>

・調査対象:20~40代女性 300名 ※小学校入学前(3~5歳)の子どもがいる方

・調査期間:2018年4月20日~4月23日   

・調査方法:インターネット調査

それでは一方の母親たちは、家庭において子どもの野菜嫌いとどのように向き合っているのでしょうか。小学校入学前(3~5歳)の子どもがいる母親300名に調査をおこないました。

◆子どもの野菜嫌い克服に向けた、家庭での取り組みとは?

まず、「現在、お子様には嫌いな野菜がありますか?」と聞いたところ、全員が「ある」と回答。また、「小学校にあがる前までには、お子様に嫌いな野菜を克服してほしいと思いますか?」という質問では、92%の母親が「そう思う」と答えています。

そこで、家庭でどのようにして野菜嫌いの克服に取り組んでいるかを聞くと、「細かく刻んだり、ミキサーにかけたりする」(30歳)、「可愛い型でくり抜いて楽しく食べられるようにする」(29歳)、「苦手なものを食べたらご褒美のおやつをあげる」(41歳)などの回答が。調理によって野菜への抵抗感をなくしたり、子どもが野菜を食べるモチベーションをアップさせたりと、さまざまな工夫がなされているようです。

◆「何をすれば良いかわからない」の声も8割超え

しかし一方で、「小学校にあがる前に、子どもが嫌いな野菜を克服できそうだと思う」と答えた母親は半数未満(48%)にとどまり、「思わない」(52%)という回答が多数派に。また、「子どもの野菜嫌い克服のために、何をすれば良いかわからない」母親も83%となりました。

グラフ5

野菜嫌い克服に向けて、家庭での食育が重要であることは理解しつつも、具体的にどうすれば良いか悩んでいる人が多いと言えそうです。

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4:専門家に聞く、家庭における「ベジトレ」のポイント

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こうした背景をふまえて、今回は子どもの食育事情に詳しい、栄養士・料理研究家・食コンサルタントの浜田陽子先生に、家庭における「ベジトレ」のポイントについてお話をお伺いしました。

<専門家プロフィール>

浜田陽子先生

浜田陽子(はまだ・ようこ)/栄養士・料理研究家・食コンサルタント 

株式会社Studio coody(スタジオコーディー)代表取締役。「食育」「乳幼児栄養」「妊産婦栄養」「ダイエット」「生活習慣病」などを専門分野とし“心と体に美味しいレシピ”を提案している。

雑誌・新聞・WEBへのレシピ提供、連載コーナーも多数展開。テレビやラジオでは、出演だけでなく番組制作にも関わる。企業、病院、フィットネスクラブ、行政機関などにおいては、販促・催事の企画監修からイベント出演、コンペ出展プランニングなどを請け負いプランナーとしての活動も多い。そのほか、学校や幼稚園でのボランティア活動、セミナーや講演会にも力を入れており、大学にて栄養学の講師も務める。プライベートでは2人の子どもを持つ母親。「子どもと一緒に楽しく料理をつくれる魔法の声かけクッキング」(主婦の友社)をはじめ、著書も多数。

◆現代のパパ・ママ世代は「食育崩壊世代」!? 

先生も親も、子どもの好き嫌いには悩まされるものです。特に家庭においては、子どもの好き嫌いに大人のほうがひるんでしまい、偏食を許容しすぎているように思います。とはいえ、私自身も2人の子どもをシングルマザーとして育ててきた経験がありますので、子どもが言うことを聞かないときには、「注意するのが面倒」「平和に過ごしたい」という気持ちが先行して、好き嫌いや偏食をつい許容してしまいそうになる気持ちもわかります。

特に、現代のパパ・ママ世代は、共働き率も高く、時間的にも精神的にも余裕がないことが多いです。加えて、この世代は「食育崩壊世代」とも言えます。

これには、日本の「食」に関する歴史が深く関わっています。高度成長期からバブル期にかけて、日本では食の欧米化が進みました。“食べれば食べるほどよい”という風潮で、最もエネルギーを摂取した時期でもあります。この時代に育った子どもが大人になって、生活習慣病という社会問題も顕著になりました。その世代を親に持つ、或いは自身が親になったのが、今のパパママ世代です。こうした背景から、大人たち自身も「食育」について十分に考えられていないことが少なくありません。

しかし、そもそも「食事」とは子どもの心身を育てるためのものであり、その根底にあるのは、子どもたちを豊かに育てたいというシンプルな願い。目の前の好き嫌いに振り回されることなく、「子どもたちが健康で幸せになるために、我々大人はどういう食事を、どういうスタンスで提供すべきか」という視点に立ち戻って考えることが重要です。

◆家庭での「ベジトレ」を通じて、まずはチャレンジのきっかけをつくることが重要

今回の調査では、給食の残食率、中でも野菜メニューの食べ残しが多いという点がわかりました。実際に、学校現場で話を聞いていても、生徒たちが野菜メニュー、特に生野菜を残すことが多く、大量に残食で戻ってくるという話をよく耳にします。

残されている野菜は、ピーマンやニンジンなど昔から大きく変わってはいませんが、現代ならではの特徴と言えるのが、「食べてもいないものを嫌がる」子どもが多い点。見た目が気持ち悪いから、色が気に入らないからといった理由で、チャレンジすらしないというケースが目立ちます。ひどい場合は、前にピーマンがダメだったから他の緑の野菜も全部ダメ、という子どももいます。

こうした状況になると、親自身もあきらめてしまいがちですが、実はちょっとした声掛けがきっかけで食べられるようになることは多いもの。また、「昨日は食べられなかったけれど、今日は大丈夫だった」、「給食では食べられなかったけれど、家では食べられた」ということも珍しくありません。野菜を好きになるトレーニング=「ベジトレ」を通じて、まずはチャレンジのきっかけをつくることが重要です。

そして、この「チャレンジ」というステップを踏むことが非常に重要。こうしたスタンスは、食だけにとどまらず、その後の子どもの人格や考え方にも影響をおよぼし得ると思います。というのも、子どもは大きくなるにつれ、ひらがなが書けるようになったり、跳び箱が飛べるようになったりなど、チャレンジと成功体験を積みながらさまざまなことができるようになります。そして、1日に3回も機会がある食事は、他のことに比べて成功体験を積むチャンスがたくさんあるのです。野菜嫌いの克服という目先のことだけではなく、それを通じて、子どもが豊かで健やかで幸せな生涯をおくれるようにするのが、本当の食育だと思います。

◆苦手意識を持っているポイントの見極めとフォローが重要! 野菜ジュースを活用するという手段も

また、野菜嫌いの克服については、子どもが“美味しくない”と感じた要素がどこにあるのかを探すことも重要です。例えば、トマトが嫌いな子どもは、味そのものが嫌いというよりは、生トマトの食感が嫌いというケースが多いです。どこに苦手意識を持っているのかを見極めて、その要因となっているところをフォローしてあげることが大切だと思います。

生の野菜でうまくいかない場合は、野菜ジュースを使うのもおすすめです。野菜ジュースを飲ませたからおかずを一品減らそうという考え方はNGですが、「補助」としてはいろいろな使い方が可能です。おうちで作れば甘さが調整できますし、最近は市販の野菜ジュースも格段に飲みやすくなっています。もちろん生の野菜を食べられるようになるのが本当の克服ではありますが、「口に入れた」という実感を持たせるためのファーストステップとしては有効と言えるでしょう。

もし、野菜ジュースをそのまま飲むのも難しいようであれば、料理に使ってみるという手段もあります。煮詰めてソース風にする、トマト煮やラタトゥイユに使う、カレーやシチューの水分のかわりに使う、他のゆで野菜と一緒にミキシングしてポタージュにするなど、使い方もさまざまです。このときのポイントは、「この料理に野菜ジュースが入っていたんだよ」ときちんと子どもに教えること。子ども自身に「この料理には野菜ジュースが入っていて、自分の口に入った」ということを理解させることが、成功体験へとつながり、野菜嫌い克服への第一歩になります。

本プレスリリースは発表元が入力した原稿をそのまま掲載しております。また、プレスリリースへのお問い合わせは発表元に直接お願いいたします。

プレスリリース添付画像

グラフ1

グラフ2

グラフ3

グラフ4

グラフ5

浜田陽子先生

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