月桂冠総合研究所 麹菌が作る成分に皮膚バリア改善・保湿機能発見

デフェリフェリクリシンによるフィラグリンの生産促進

月桂冠

2021年3月18日

月桂冠株式会社

 


月桂冠総合研究所は、麹菌が生産し米麹や日本酒、酒粕などに含まれるペプチド「デフェリフェリクリシン」(以下Dfcy)が、ヒトの肌のバリア機能や保湿に重要な働きをする「フィラグリン」と呼ぶ成分を増加させる働きを持つことを確認しました。この発見により、Dfcyの化粧品素材としての応用が期待できます。今回の研究成果は、「麹菌が産生する環状ペプチドデフェリフェリクリシンによる抗炎症・美白作用のマイクロアレイ解析および皮膚バリア機能の解明」と題して、「2021年度日本農芸化学会大会」(3月18日~21日、オンライン)で発表するとともに、月桂冠総合研究所のホームページで、3月18日から、研究成果の詳細を公開しました。

 

肌のバリア機能を担う「フィラグリン」

フィラグリンは、肌の内側で作られるタンパク質です。肌の骨格となるケラチン繊維を凝集させることで肌のバリア機能を強固にする働きを持っています。このバリア機能が低下すると、アトピー性皮膚炎を発症する原因になると言われています。またフィラグリンは、皮膚の代謝に伴い肌の中で分解され、皮膚の保湿因子として機能します。

 


Dfcyが皮膚細胞内のフィラグリンを増加させる

月桂冠総合研究所では、これまでにDfcyが抗炎症、美白など肌に関連する機能を持つことを見出しています。今回は皮膚バリア機能に着目し、Dfcyがフィラグリンの生産性に与える効果について検証しました。正常ヒト表皮細胞を用いて、Dfcy添加が皮膚細胞内のフィラグリン量に与える影響を調べた結果、極めて低濃度のDfcyの添加(0.0004%)でもフィラグリンが有意に増加することを初めて確認しました(下図)。


また、正常ヒト表皮細胞を用いた遺伝子発現解析実験でも、Dfcyの添加(0.01%)により、フィラグリンの遺伝子発現量が増加することを確認しました(下図)。これらの結果から、Dfcyは、フィラグリンの遺伝子発現量を上昇させることで、肌のフィラグリン量を増加させる機能を有することがわかりました。この成果は、Dfcyを皮膚バリア化粧品やアトピー性皮膚炎治療薬などとして開発できる可能性を示す画期的なものです。


研究コンテンツ「デフェリフェリクリシンによる皮膚バリア機能の改善」

https://www.gekkeikan.co.jp/RD/health/health09/

 

●学会での発表

学会名:2021年度日本農芸化学会大会

発表日時:2021年3月18日 午前9時~21日午後6時(オンデマンド配信)

会場:オンラインにて発表

演題:麹菌が産生する環状ペプチドデフェリフェリクリシンによる抗炎症・美白作用のマイクロアレイ解析および皮膚バリア機能の解明

発表者:○戸所 健彦,石田 博樹(○印は演者)

 

●Dfcy

Dfcyは、麹菌が生産するペプチドです。アミノ酸が6つ環状に繋がった構造をしており、日本酒醸造で用いる米麹はもちろん日本酒や酒粕にも含まれています。Dfcyは鉄と結合して赤褐色の着色成分「フェリクリシン」(以下Fcy)となるため、無色透明であることが求められる日本酒にとっては不要な物質でした。業界では着色原因となるFcyとDfcyを減少させる研究が進められ、現在では、それらの物質を作らせない技術が開発されています。月桂冠では、逆転の発想によりFcyとDfcyの有効活用を検討するために、大量生産技術に関する研究を進めるとともに、鉄分吸収促進や抗酸化作用、尿酸値低減、抗炎症作用、美白作用といった機能性を解明してきました。

 


●月桂冠総合研究所

1909(明治42)年、11代目の当主・大倉恒吉が、酒造りに科学技術を導入する必要性から業界に先駆けて設立した「大倉酒造研究所」が前身。1990(平成2)年、名称を「月桂冠総合研究所」とし、現在では、酒造り全般の基礎研究、製品開発、バイオテクノロジーによる新規技術の開発まで、幅広い研究に取り組んでいます。(所長=石田博樹、所在地=〒612-8385 京都市伏見区下鳥羽小柳町101番地)

本プレスリリースは発表元が入力した原稿をそのまま掲載しております。また、プレスリリースへのお問い合わせは発表元に直接お願いいたします。

プレスリリース添付画像

月桂冠_麹づくり

月桂冠_図-フィラグリンによる肌バリア機能の概要

月桂冠_グラフ1フィラグリン量

月桂冠_グラフ2フィラグリン遺伝子量

月桂冠_Dfcy Fcyの機能

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