静岡市立芹沢銈介美術館 開館40周年記念展「春」編 「のれんときもの」開催

静岡市生まれの染色家・芹沢銈介(人間国宝)作品から「のれん」と「着物」を特集(6月20日まで)

静岡市

2021年4月22日

静岡市

 静岡市生まれの染色家・芹沢銈介(人間国宝)が寄贈した作品やコレクションなど、約5,800点を所蔵する静岡市立芹沢銈介美術館(静岡市駿河区登呂5-10-5)は、今年開館40周年を迎えます。これを記念して、2021年度は、芹沢銈介が愛した「春」「夏」「秋」「冬」になぞらえた4回の展覧会を開催します。

 つきましては、「春」編として、6月20日(日)まで、芹沢作品の中でも特に人気がある「のれん」と「着物」を特集する展覧会「のれんときもの」を、開催いたします。概要は以下の通りです。

 

童児文のれん(1970年)沖縄笠団扇文部屋着(1960年)

本展の見どころ

1.静岡市立芹沢銈介美術館開館40周年記念展として開催

 1981年に開館した静岡市立芹沢銈介美術館は今年、開館40周年を迎えます。これを記念して、 芹沢銈介が愛した「春」「夏」「秋」「冬」になぞらえた年4回の記念展覧会を開催します。

本展はその中の「春」編となります。

 

2.芹沢作品の中でも特に人気があるのれん33点、着物13点を一挙公開

 本展では、芹沢作品の中でも特に人気がある「のれん」と「着物」を特集します。

 「童児文のれん」や「苗代川文着物」など、のれん33点、着物13点を一挙公開。芹沢の豊かな発想と、華やかな色彩をお楽しみください。

 

3.芹沢銈介が集めた貴重な世界の民族衣装74点も展示

 後半の展示室3室には、芹沢銈介が集めた貴重な世界の民族衣装74点を展示します。各国の衣装で、世界旅行をお楽しみください。

 

開催概要

タイトル:静岡市立芹沢銈介美術館開館40周年記念展-春編-

     「のれんときもの」

会  期:2021年4月6日(火)~ 6月20日(日)

     ※休館日 毎週月曜日(5月3日は開館)、5月6日(木)

開館時間:9:00~16:30

会  場:静岡市立芹沢銈介美術館(〒422-8033 静岡県静岡市駿河区登呂五丁目10-5)

アクセス:JR「静岡駅」南口より、しずてつジャストライン「登呂遺跡」行き乗車、

     終点「登呂遺跡」にて下車、徒歩約4分。

観 覧 料  :一般420(370)円、高校生・大学生260円(200)円、小学生・中学生100(80)円

     ※( )内は30名以上の団体料金

     ※静岡市内在住の70歳以上の方、小中学生(通学含む)、未就学児無料。

     ※障がい者手帳等の提示により、本人及び同伴者1名は無料。

問い合わせ:静岡市立芹沢銈介美術館 054-282-5522

WEBサイト:https://www.seribi.jp/

公式twitter:静岡市立芹沢銈介美術館(@seribi_shizuoka)

 

笹文のれん(1972年)芭蕉文着物(1961年)

主な作品と解説

天の字のれん(1965年)

 芹沢銈介ののれんの中には、文字をモチーフにしたものが多いが、「天の字のれん」は、なかでも独創性の強い作品である。

 濃い紺地の中にひるがえる一枚の白い布によって「天」の字を表している。布は、まるで地上から吹き上げられたかのようであり、ねじれながら空中に投げ出されている。その瞬間をとらえたような表現が、見る人に不思議な印象を与える。

 

天の字のれん(1965年)

 

童児文のれん(1970年)

 鼠地ののれんの中に、両手でのれんを分けて、立ちはだかる着物姿の童児がいる。芹沢作品の中でもとりわけ楽しい作品として人気がある。

芹沢の板絵に、のれんを分けてたちはだかる男の図があり、その周囲に「入るや出ずるや」と書き込まれている。「入るや出ずるや」とは、柳宗悦の『心偈』 の一つで、「扉アリ入ルヤ出ヅルヤ」(「心偈」五三)からとった言葉である。「扉がある 入るのか 出るのか」という意味だが、柳の解説には、「見れば扉に一枚の札がかかっている。記して云う。『入るや、出づるや』と。 果てしもない公案である。」と書かれている。そうしてみると、この童児は小坊主で、こののれんをくぐろうと する人に、「入るや出づるや」、つまり「こののれんを『入る』というのか、それとも『出る』というのか」と禅問答を仕掛けているということなのだろう。

 

童児文のれん(1970年)

 

沖縄笠団扇文部屋着(1960年)

 芹沢は沖縄関連の作品を多く制作したが、戦前の沖縄で得た模様を除くと、ほとんどは物や植物など、なにか具体的な「物」に焦点を絞ったものが多い。本資料は昭和35(1960)年に制作された作品で、沖縄のクバの葉で作られた笠と団扇、麦わらでつくった「むんじゅる笠」をモチーフにした着物である。

 

沖縄笠団扇文部屋着(1960年)

 

片身替り梅竹文のれん(1953年)

 片身替りとは、着物の背縫いを軸として、左右の文様が切り替わる構成のことをいう。こののれんも、仕立てによって赤と緑による片身替りになっている。「歳寒の三友」といわれる松竹梅のうち、竹と梅をとり上げ、赤と緑という配色で、年初のおめでたい雰囲気を表現している。

 

片身替り梅竹文のれん(1953年)

 

富士の日の出文のれん(1950年)

 藍地に円を染め抜き、台形状の富士の真上に太陽を配し、その両脇に一片ずつ雲を配している。富士の山頂は赤く、山頂だけ朝日を浴びたシーンをイメージしているのだろう。

 富士の日の出という壮大な風景を、シンプルな形にまとめ上げた作品である。

 

富士の日の出文のれん(1950年)

 

富士と雲文のれん(1967年ころ)

 静岡市出身の芹沢銈介の作品には、富士山をとりあげたものが多数ある。中でも最もシンプルなものがこの作品である。紺地に、山頂とそれを襟巻きのように取り囲む雲だけが染め抜かれている。富士山が、ぽっかりと雲から頭を突き出した様は、なんともユーモラスである。

 

富士と雲文のれん(1967年ころ)

 

苗代川文着物(1955年)

 一番奥に苗代川の登り窯が見え、煙が上がっている。手前には建物が二棟あり、その周りに、松、藤、梅、ぼたん、笹、蔦、菖蒲、紅葉、葦などがあしらわれている。紅型を強く意識しつつも、細部へのこだわりや繊細な気配り、複雑な要素を破綻なくまとめ上げる構成力、全体に漂う品格など、芹沢の仕事の魅力が遺憾なく発揮されている。

 

苗代川文着物(1955年)

 

「春」編に合わせて開催する開館40周年記念事業

「出張!芹沢銈介美術館」

 芹沢銈介や美術館の魅力を発信するため、美術館を飛び出して、

市内各所で出張展示を実施します。

〈第1弾 概要〉

会期:6月18日(金)~29日(火)

場所:JR静岡駅地下情報発信コーナー「しずチカ」

 

芹沢銈介誕生日&開館記念日プレゼント企画

芹沢銈介誕生日と開館記念日、それぞれ当日にご観覧されたお客様にオリジナル絵はがきをプレゼントします。

〈配布日〉

日程:5月13日(木)(芹沢銈介誕生日)・6月15日(火)(芹沢銈介美術館開館記念日)

 

絵はがき(イメージ)

この他にも、記念講演会やワークショップなど、さまざまなイベントを計画中です。

詳細が決定次第、美術館ウェブサイトやTwitterにてお知らせします。

〇美術館ウェブサイト:https://www.seribi.jp/

〇公式Twitter:@seribi_shizuoka

 

●静岡市立芹沢銈介美術館について

明るいのに静か。なつかしいのにモダン。芹沢銈介に出会う場所。

 静岡市立芹沢銈介美術館は、染色界の重鎮・芹沢銈介より、郷里の静岡市に作品とコレクションが寄贈されたのを機に、弥生時代の遺跡として有名な登呂公園の中に建設されました。1981年の開館以来様々な企画展示、作品の保存収集、調査研究を通して、芹沢の芸術を広く紹介し、その偉業を後世に伝えるべく活動を続けています。

わが国では珍しい染色作家の美術館として、日本内外から多くの染色ファンを集めています。

 また、建築家・白井晟一の設計による建物も訪れる人々の注目する所です。弥生時代の遺跡として名高い登呂公園の一隅に位置し、その遺跡の雰囲気に自然に融け込むように、石、木、水という天然素材を選んで構成されたこの建物は、白井晟一の個性が遺憾なく発揮された代表作です。石を積み上げた量感ある外壁。ゆるやかな銅板葺きの屋根。そして手斧の跡も温かい白木の楢材の組天井を持つ展示室が池を巡るように配されて、鑑賞の場にふさわしい、ゆったりとした空間を演出しています。美術館のキャッチコピーは“明るいのに静か。なつかしいのにモダン。芹沢銈介に出会う場所。”ぜひ心と体を癒してください。

 附属施設として、芹沢の住居と工房があった東京・蒲田から移築した「芹沢銈介の家」があり、毎週日曜日、祝日に公開しています(8月は毎週土曜日も公開)。

 

芹沢銈介美術館 外観芹沢銈介美術館 展示室

●静岡市生まれの染色家・芹沢 銈介(静岡市名誉市民)について

 芹沢銈介は、1895年静岡市葵区本通に生まれました。

 東京高等工業学校(現・東京工業大学)工業図案科卒業後、

生涯の師である柳宗悦と、沖縄の染物・紅型(びんがた)に出会ったことを契機に、型染を中心とした染色の道を歩み始めます。

 芹沢には色彩と模様に対する天与の才能があり、従来の染色の枠組みにとらわれない、新鮮で創意あふれる作品を次々と制作しました。芹沢は非常に多作で、また染色にとどまらない幅広い仕事をしましたが、生涯を通じて明快かつ温和な作風を貫いており、多くの人々に愛好されました。

 その評価は国内にとどまらず、1976年にはフランス政府から招聘をうけてパリで大規模な個展を行い大成功をおさめました。

1956年に重要無形文化財「型絵染」の保持者として人間国宝に認定、1967年に静岡市名誉市民に選ばれ、また1976年には文化功労者となり、1984年4月、88歳で惜しまれつつ永眠しました。

スリップウェアを手にする芹沢銈介

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プレスリリース添付画像

童児文のれん(1970年)

沖縄笠団扇文部屋着(1960年)

笹文のれん(1972年)

芭蕉文着物(1961年)

天の字のれん(1965年)

片身替り梅竹文のれん(1953年)

富士の日の出文のれん(1950年)

富士と雲文のれん(1967年ころ)

苗代川文着物(1955年)

絵はがき(イメージ)

芹沢銈介美術館 外観

芹沢銈介美術館 展示室

スリップウェアを手にする芹沢銈介

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