忘年会に「参加する」と「参加しない」が拮抗

酒好きほぼ100人に聞くアンケート「酒飲みのミカタ」

酒文化研究所

 7月上旬から延長を繰り返した緊急事態宣言が9月末にすべて解除されました。10月からは飲食店で酒類を提供できるようになり、10月25日には営業時間の制限もなくなりました。緊急事態宣言中は「飲みに行きたい」「旅行したい」「久しぶりに友達と会いたい」という声が多く聞かれましたが、解除された今、お酒好きな方々は外飲みをどのくらい楽しんでいるのでしょうか?

 今回の酒好きほぼ100人に聞く酒飲みのミカタは、飲食店での制限が緩和されてからのお酒好きな方々の酒ライフの変化を聞きました。

 

飲食店で飲んだ人はまだ45

 10月1日に飲食店で酒類を提供できるようになってから4週間目(調査期間10/25~10/28)までに、飲食店でお酒を楽しんだ方はどれくらいいるのでしょうか? 回答時までの飲食店での飲酒回数を聞いたところ、「飲んでいない(46%)」と「飲んだ(45%)」がほぼ同数でした。このほかに、もともと外では飲まないという方が9%あります。

 

 飲食店で飲んだ方の内訳を見ると、「1度だけ」が18%でもっとも多く、「2~3回」13%と続きますが、「4~5回(8%)」や「6回以上(6%)」と週に2~3回のペースで外飲みを楽しんだ方も14%にのぼります。

 ちなみに同じ期間に旅行に行った人は24%、コロナ禍で会えなかった人と久しぶりに会った方は36%でした。

外飲み・旅行・再会を躊躇するが55

「『飲食店で飲む』『旅行する』『久しぶりに人と会う』ことを、躊躇する気持ちがありますか?」という質問では、「かなりある(17%)」と「少しある(37%)」が合わせて54%にのぼりました。緊急事態宣言は解除されたものの、素直に外に遊びに出る気分になれない方が多いことがわかります。

 

 躊躇する理由は、「コロナ禍は完全に終息したわけではないから」という声が多く、同じ意味合いで「第6波が来るから」「緩和後に再燃している海外の事例を見ると気を緩められない」「感染した時の治療薬がまだないから」「(自分はよくても)他の人に迷惑をかけられないから」などの意見が寄せられました。このほか「行きたい気持ちはあるが職場で止められている」や「(医療従事者なので)うしろめたさを感じる」という声がありました。

〈具体的な声〉

・ぶり返しが怖い、不特定多数と会うのはやはり感染拡大の恐れがあり、家族に移したら…と思うと出られない(女性:30代)

・まだ安心できない気持ちと飲食店さんを応援したい気持ちで迷う。(女性:40代)

・行きたい気持ちはあるが、これからまたピークを迎えると聞いており、もう少し様子を見たい。お店も友達も慌てなくても逃げないので。(女性:50代)

・まだ完全に「安全」と宣言がなされていないから。(男性:20代)

・行きたい気持ちは大いにあるが、職場から禁じられている。(男性:40代)

・飲食店は残念ながら怖いイメージがある。感染率が低いままなら、それ以外はマスク着用で安心できる。(男性・50代)

・高齢で持病のある家族がおり、旅行や飲食で感染の危険性を上げたくない。(男性:50代)

 

現時点で積極的に飲みに出る人は34

 一方で躊躇する気持ちは「まったくない(9%)」と「あまりない(25%)」という方は、合わせて34%です。理由として「ワクチンを接種したから」「新規感染者が増えていないから」「感染防止対策で十分対応できると思うから」という意見があげられました。現時点では積極的に遊びに出ている(外飲み・旅行・再会)のはこの方々と見てよさそうです。

ただ、彼らも、「自分自身はまったく躊躇はないが、相手によって考え方が違うので、(飲みに行くことを厭わないのか)確認する必要がある(男性:30代)」という声があるように、コロナ以前と同じように自由に飲みに出るわけにはいかなようです。

 

忘年会に「参加する」と「参加しない」が4割強で拮抗

 次にこの年末に忘年会に参加するかどうかを聞いてみました。「参加する」が42%だったのに対して「参加しない」は45%と拮抗しています。「参加する」と回答した方の内訳を見ると「1回」が24%で最多で「2回」が11%、「3回以上」という方が7%です。

 

 寄せられたコメントから参加しない理由を探ると、コロナ禍が完全に終息していないことに加えて、「会社行事の色が強い忘年会や懇親会などへの参加は減り、本当に一緒に飲みたい人とのみ酒席を囲むことが多くなると思う。(男性:40代)」とコロナ禍に伴う働き方や暮らし方の変化が反映されていることが窺われます。

 

忘年会の会場選びは感染防止対策を重視

 

 忘年会に参加した時の感染予防対策についてはどうでしょうか。もっとも多いのは「手指の消毒の励行(57%)」です。2番目は「会場の感染対策が不安なら参加しない(47%)」で、安心して飲食できる会場であることが忘年会の店選びの最重要項目になると考えられます。「飲食しない時はマスクを着用する(41%)」「大皿料理や鍋は菜箸を使うよう促す(35%)」「一次会で切り上げる(33%)」はコロナが完全に終息するまで、飲み会のニューノーマルとして定着しそうです。

 

コロナ禍前より外飲みが「減る」が「増える」を大きく上回る

 

 続いてコロナ禍が終息した後での、飲食店で飲む機会の変化をどう予測しているかを見てみましょう。「今後自由に活動できるようになったら、あなたが飲食店で飲む頻度はコロナ前と比べてどう変わると思いますか?」という問いで、もっとも多かったのは「変わらない」でほぼ半分の47%でした。コロナ禍が終息すれば、元のように飲食店に飲みに行くようになると考えています。

 次に多いのは「少し減る」の25%、そして「減る」の17%と続きます。両者を合わせると42%です。反対に「増える」は4%、「少し増える」は7%で飲みに出る頻度が高まるという予想は11%にとどまります。昨今、飲食店から、コロナ禍が終息しても飲食店の利用がコロナ前に戻るとは思っていない(減少する)という声が聞かれますが、お酒好き自身も飲み方の変化を同じように見ていることがわかります。

 

巣籠りでの暮らし方が根強く残る

最後にコロナ禍が終息した後の暮らし方や酒の飲み方の変化についての予測を見ます。もともと家飲みが中心の方からは「変化はない」という声が多数寄せられましたが、在宅勤務になったり、テイクアウトなど新しいサービスを利用するようになったりした人では、すでにこれが日常になっており、今後も続くという声が目立ちます。

慣れた家飲みを続ける

・家飲みの気楽さに慣れてしまって、よほど目的や魅力がないと外飲みしなくなりそう。(女性:50代)

・終息しても家で楽しむ飲み方をすると思う。たまにオンラインで友だちと話しながら。(女性:50代)

・宅飲みが増えたので、このまま家で飲むようになりホームパーティーも増える。(男性:20代)

・在宅勤務が継続すると思うので、今のまま家飲み中心になる。(男性:40代)

テイクアウト・お取り寄せ・ネットショッピングの利用を継続する

・コロナ禍で充実したテイクアウトやお取り寄せをこれからも利用すると思う。(女性:40代)

・あまり酒屋に行かずネット購入していたので、今後もネット購入を継続しそう。(男性:60代)

外飲みの変化:深夜帯は減少、ひとり飲み増加、地元飲み増加

・飲み会の数は戻ると思うが、早く終わる。(50代:男性)

・とりあえず宴会は激減すると思う。これからは独り呑みの時代。カウンター席がズラッと並んでいる店がいい(50代:男性)

・コロナ禍以降自宅近くのお店に行くことが増えて、終息後も変わらないかなと思います。(女性:50代)

 

【調査概要】

調査時期:2021年10月25日~10月28日

調査方法:インターネットアンケート

サンプル数:129人(お酒好きな人)

 

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