【報告書公表】2035年エネルギーミックスへの提案(第1版)

自然エネルギーによる電力脱炭素化を目指して

2023年4月11日

公益財団法人 自然エネルギー財団は、本日、「2035年エネルギーミックスへの提案(第1版):自然エネルギーによる電力脱炭素化を目指して」を公表いたしました。

 

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2035年エネルギーミックスへの提言(第1版)

自然エネルギーによる電力脱炭素化を目指して

 

IPCCは3月20日に第6次評価統合報告書を公表し、1.5度目標実現への窓を閉ざさないために、2035年までに二酸化炭素排出量を2019年比で65%削減することを世界に求めました。

 

今回の財団の報告書は、IPCC報告書の公表以降、日本で初めて、65%削減の実現をめざして2035年に電力の80%以上を自然エネルギーで供給することを提起し、その可能性と課題を明らかにしたものです。

この報告書では、太陽光発電、陸上・洋上風力発電などについて、現在の開発状況を具体的に分析し、導入加速に必要な7つの提案を行っています。電力の80%を自然エネルギーで供給すれば、発電に必要な化石燃料費を8割削減し、年間4兆円を軽減できます。

 

G7は昨年の首脳会議で「2035年までに電力部門の全て、または大部分を脱炭素化する」ことに合意しました。IPCCの第6次報告書は、このG7合意の重要性を改めて明らかにしており、日本でいかに電力脱炭素化を達成するか、議論を急ぐ必要があります。

 

自然エネルギー財団では、今回の報告書での電力脱炭素化の提案に続き、熱・燃料も含めた全てのエネルギーの転換、二酸化炭素排出削減の課題についての検討を進め、その中で更なる自然エネルギー拡大の可能性も追求していきます。

 

今回の報告書が2035年へのエネルギー転換に関する日本での議論を喚起し、その過程で2030年までの排出削減と自然エネルギー導入の一層の加速を可能とすることを期待しています。

 

 

主な内容

(1) 規制改革の実施、推進施策の導入により、2035年までに太陽光発電を現在の3.5倍にあたる280GWに、風力発電を13倍にあたる60GWまで増加することが可能である。

(2) これにより、2035年に電力の80%を自然エネルギーで供給することができる。発電部門からの二酸化炭素排出量は73%削減される。このとき、火力発電に要する燃料費は年間4兆円削減される。

(3) 自然エネルギーが世界に比べ割高だった日本でも、太陽光発電コストは2030年に5円/kWh程度、陸上風力発電は6.6円/kWh程度となり、洋上風力発電も10円を下回ると予測される。この水準は政府が推進する原子力発電、CCS付き火力発電、石炭アンモニア混焼発電より安価で あり、太陽光発電・風力発電の大量導入が経済的にも妥当な選択である。

(4) 自然エネルギーの導入加速を実現するためには、

1. エネルギー基本計画を早急に改正し、2035年自然エネルギー電力目標を80%以上に

2. 陸上・洋上風力発電の開発期間を半減する規制改革の実施

3. 住宅を含む新築建築物への太陽光発電設置義務の全国展開

4. 北海道と本州をむすぶ広域送電網の本格的な増強の着手

、などの取組が重要である。

 

 

目次

第1章 ⼆つの危機の克服をめざすエネルギー転換の加速

第2章 太陽光発電の導⼊可能性

第3章 ⾵⼒発電の導⼊可能性

第4章 ⾮変動型⾃然エネルギーの導⼊可能性

  第1節 バイオエネルギー発電の導⼊可能性

  第2節 ⽔⼒発電の導⼊可能性

  第3節 地熱発電の導⼊可能性

第5章 2035年の電源構成

  第1節 2035年の電⼒需要の⾒通し

  第2節 各電源の供給可能量の⾒通し

  第3節 脱炭素化電⼒ミックスの姿

第6章 脱炭素化電⼒ミックス実現への提案

終わりに

(補論)脱炭素電源のコスト⽐較

 

 

自然エネルギー財団とは

 

自然エネルギー財団は、東日本大震災および福島第一原子力発電所の事故を受けて、孫正義(ソフトバンクグループ代表)を設立者・会長として2011年8月に設立されました。安心・安全で豊かな社会の実現には自然エネルギーの普及が不可欠であるという信念から、自然エネルギーを基盤とした社会を構築することを目的として活動しています。

https://www.renewable-ei.org/

                                                                                                                                   

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