高知産ベータグルカンが長寿に役立つ「酪酸」を生成する腸内細菌叢を強化

日本とインドの共同研究で BMJ Open Gastroenterology に論文を発表

酪酸は、腸内細菌が生成するアンチエイジングや長寿に重要な成分であることが知られています。この度、アウレオバシディウム・プルランス(黒酵母)が産生したベータグルカン「ニチグルカン」を経口で摂取することにより、腸内細菌による酪酸の生成が促進されることが動物モデルでの研究でわかりました。この研究は、有限会社ジーエヌコーポレーションと日印再生医療センター(インド)、メディニッポンヘルスケア(インド)が共同で実施したもので、研究結果の論文が BMJ Open Gastroenterology 誌に掲載されました。

 

ジーエヌコーポレーションは、以前より、ニチグルカンを使った臨床や非臨床の試験を行っており、このベータグルカンが腸内細菌叢と健康指標の再構築に有益であることを確認していました。今回、「日本で最も百寿者が多い京丹後市のコミュニティと京都市都市部のコミュニティの決定的な違いは、腸内の善玉あるいは有益な腸内細菌糞によって作られる酪酸レベルの違いである」という 京都府立医科大学の内藤裕二教授 の研究報告に基づき、酪酸についての研究を行うことにしました。

 

研究では、ニチグルカン製品であるアウレオバシディウム・プルランスAFO-202 株(製品名「Nichi BRITE」)とN-163 株(製品名「Neu REFIX」)の2種類のベータグルカンを、脂肪肝の一種である NASH モデルのマウスに与え、腸内細菌叢、メタボローム、アミノ酸の解析を行いました。その結果、2つのベータグルカンを摂取したグループは、外部からの代謝物の補給なしに、酪酸を生成する腸内細菌が最も多かったことが全ゲノム解析により確認され、酪酸のレベルが上昇することがわかりました。また、腸内細菌とメタボロームの再構築、さらに臨床パラメータの改善も確認しました。

 

ヒトの腸内には何兆もの細菌が存在し、腸―脳軸を介してヒトの免疫系や神経系に大きな影響を与えています。腸内環境の改善のために、糞便微生物群移植(FMT)や善玉・有益微生物群のプロバイオティクスによる補給などが行われていますが、「肥沃な土壌を維持し、雑草のない十分な栄養を与えることが、良質な野菜や果物を育てるために重要である。同様に、 腸管上皮細胞の良い状態を維持 し、病原性微生物のない最適な栄養と強い免疫バランスを与えることが、良質な腸内細菌叢、つまり健康を育む環境を保つ重要な要素である」と著名なウイルス学者である山本直樹名誉教授(東京医科歯科大学)は 論文で述べています

 

今回、代謝調節物質であるAFO-202 株のベータグルカンと免疫調節物質であるN-163 株のベータグルカンが相乗的に作用することにより、腸管上皮細胞の良い状態を保ち、酪酸の生成を促進することがわかりました。臓器線維化や肝硬変を引き起こす NASH などの代謝性疾患が世界的に増加している中、日本で25年以上にわたり安全に消費されてきたベータグルカンが健康長寿に貢献する可能性を秘めているということで、ニチグルカン製品は世界各機関からの注目を集めており、ジーエヌコーポレーションではさらなる共同研究を計画しています。

 

*この記事は英語でのプレスリリース(https://www.ncrm.org/media/pr25May23.htm)を日本語に要約したものです。

*The Hindu Business lineに掲載の記事はこちらからご覧ください。 (https://www.thehindubusinessline.com/business-tech/how-a-healthy-gut-adds-years-to-your-life/article66955399.ece

 

 

参考資料

1. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6769410/

2. http://dx.doi.org/10.1136/bmjgast-2022-000985

3. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37166884/

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プレスリリース添付画像

腸内環境を土壌と植物に例えた図

左:論文執筆者の市山浩二博士(技術顧問)、右:山本直樹名誉教授(東京医科歯科大学)

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