自己複製する最小のRNAを発見

原初のRNAから進化の過程を紐解いていく 生命の起源に迫る成果

早稲田大学

2023年7月5日

自己複製する最小のRNAを発見

原初のRNAから進化の過程を紐解いていく 生命の起源に迫る成果

 

詳細は 早稲田大学Webサイト をご覧ください。      

 

◆発表のポイント

○RNAが最初の生命システムであるという仮説において、単純で短いRNAから生命の大きな特徴でもある自己複製ができるRNAがどのように生まれたかは謎とされてきました。

○本研究では、わずか20塩基の短いランダム配列のRNA集団から特定のRNA配列と構造が自発的に出現すること、またそれらのRNAを基に、特定の20塩基のRNAが自己複製することを世界で初めて実証しました。

○自己複製という生命に普遍的な現象が、原始の地球に供給された単純な生体分子でも容易に起きた可能性を示しており、生命の起源の解明につながることが期待されます。

早稲田大学理工学術院専任講師の水内 良 (みずうち りょう) と東京大学大学院総合文化研究科教授の市橋 伯一 (いちはし のりかず) らの研究グループは、原始地球にも存在しえた短いランダム配列のRNA※1集団から自発的に出現したRNA配列・構造を詳しく調べることで、自己複製する、すなわち自分のコピーの合成を触媒する最小のRNAを発見しました。

図1 短いランダムなRNA集団に起きる化学反応を調査するという独自のアプローチにより 最小の自己複製RNAを発見

 

本研究成果は、英国の王立化学会(Royal Society of Chemistry)が発行する学術雑誌『Chemical Science』(論文名:Minimal RNA self-reproduction discovered from a random pool of oligomers)にて、Accepted Manuscriptとして2023年6月20日(現地時間)にオンライン版で公開されました。

 

■ 研究の波及効果や社会的影響

本研究では原始の地球にも存在しえた短いRNAが自己複製できることを初めて実証しました。この発見は機能をもたない原初のRNA集団と自己複製体の出現の間のミッシングリンクを埋める鍵となり、生命の起源過程の理解を推し進めると考えられます。今後、本研究で発見した自己複製RNAを基に持続的な複製や進化を実現できれば、単純な分子の複製体がいかにして情報や機能を拡張していくかを検証できます。そのため本研究は生命の起源過程を紐解いていくための足がかりになると考えています。

 

■今後の課題

 本研究では原始地球にも存在しえた自己複製RNAを発見しましたが、持続的な複製や進化はまだ見られておりません。今後は様々な環境条件の調査や分子進化工学の知見を取り入れて、これを実証したいと考えています。また自己複製RNAはランダムなRNA集団に濃縮したRNA配列 (図1) に基づいていますが、そのRNAが最初にどのような機構で生じたかは明らかでありません。例えば、様々なRNAが複雑に相互作用して生じた可能性が考えられるため、この点についても調査を進めていきたいと考えています。

 

■用語解説

 ※1 RNA

RNAはリボ核酸 (Ribonucleic acid) のことであり、 DNA(デオキシリボ核酸:Deoxyribonucleic acid)とともに遺伝情報を保存可能な分子です。これらはヌクレオチドとよばれるリン酸基、糖、塩基からなる単量体が重合した (いくつも繋がった) 分子です。重合には方向性があり、両端は5′末端および3′末端とよばれます。原始生命はRNAを遺伝子の担体として利用していたと考えられています。

 

■論文情報

雑誌名:Chemical Science

論文名:Minimal RNA self-reproduction discovered from a random pool of oligomers

執筆者名(所属機関名): 水内良 (早稲田大学)、市橋伯一 (東京大学)

掲載日(現地時間):2023年6月20日(火)

掲載URL:https://doi.org/10.1039/D3SC01940C

DOI:10.1039/D3SC01940C

※記事にされる場合にはhttps://doi.org/10.1039/D3SC01940Cの掲載をお願いいたします。

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