EY調査、BEPS2.0への対応がCFOと税務担当責任者の最重要課題

EY Japan

・調査対象となったCFOおよび税務担当責任者の90%が、BEPS2.0による影響を「重大」または「中程度」と予測、ただし影響分析を完了している企業は30%のみ

・51%が人材のモチベーションを高め、燃え尽き症候群を回避するのに苦慮していると回答

・95%が、今後2年間に税務と財務の業務をコソーシングする可能性の方が高いと回答

 

EYは、最新の税務・財務に関する「EYタックス・アンド・ファイナンス・オペレート(TFO)調査」を発表したことをお知らせします。本調査によると、急速に変化する規制環境は、税務・財務部門にとって大きな課題となっています。このような課題の中で、税務・財務部門は、その機能の変革に対する取り組みを続ける一方、経済環境の激変に伴う予算削減の可能性に直面しています。本調査は、日本を含む32の国・地域のCFO、税務・財務専門家の責任者1,600名を対象に実施されたもので、変革が進む税務・財務部門の数が5年前の84%から96%の企業へと増加する一方で、直面するプレッシャーはますます厳しくなり緊急性が高まっていることを示しました。

 

規制への対応が課題を深める:

多くの大手グローバル企業は、各国政府が経済協力開発機構(OECD)/G20税源浸食・利益移転(BEPS)2.0のルールを実施する中、抜本的な改革に備えています。これには第2の柱のグローバルミニマム課税も含まれています。本調査では、回答者の90%がBEPS2.0により「重大な」または「中程度の」影響を受けると予想していますが、BEPSの影響分析を完了している企業は30%しかないことがわかりました。

 

BEPS2.0以外にも、さまざまなコンプライアンスの複雑さが税務・財務部門に圧力をかけています。これには、米国法人代替ミニマム税や、環境税、サステナビリティ税、EU炭素国境調整メカニズム、各国の電子請求書への移行ペースの加速などが含まれます。最後に、企業は、当局からの税務・財務情報の正式・非公式な要求の急増にも直面しています。 

 

EYグローバル バイス チェア(タックス)のマルナ・リッカーのコメント:

「私たちは今、デジタル、経済、地政学、グリーン&クリーンへの動きなど、さまざまな要因によって、100年前の「グローバル税法」の前例のない見直しの真っ只中にいます。税務担当責任者は、データと最新のテクノロジーを駆使して、税務・財務部門を変革することを検討する必要があります。そうすることで、変化する法規制への対応が容易になり、税務・財務部門は組織に、より戦略的な価値を提供できることになるでしょう」

 

新しいテクノロジーの力の活用に苦慮:

多くの推進要因により、税務・財務部門が近代的でデータ活用型の業務に転換してきていますが、とりわけ、ますます多くのリアルタイムのデータを求めるようになった税務当局への対応の必要性が挙げられます。企業はまた、税務・財務部門が事業全体の方向性について価値の高い戦略的アドバイスを提供し、しかも迅速かつ効率的に行うことを望んでいます。しかし、回答者の48%は、データとテクノロジーの持続可能な計画の欠如がこのビジョンを達成するための最大の障壁であると述べています。

 

また、税務・財務担当責任者は、生成人工知能(AI)のような新しいテクノロジーが自分たちの仕事に影響を与えるかどうかについても懐疑的です。85%の回答者が、生成AIツールが税務部門において有効性と効率性の向上に役立つとは考えていないと回答しています。 

 

EY グローバル タックス・アンド・ファイナンス・オペレートリーダーのデイブ・ヘルマーのコメント:

「適切なデータの収集と整理は、ますます重要になってきています。企業が直面する無数の課題の中で、クリーンなデータとそのデータへのテクノロジーの応用は、組織が規制変更をモデル化し、正確なコンプライアンスを達成するための重要なツールです」

 

人材難に直面する税務部門:

本調査では、税務担当責任者がさまざまな人材問題に取り組んでいることが明らかになりました。担当責任者の51%が、人材のモチベーションを高め、チーム内の燃え尽き症候群を回避することに中程度から深刻な問題を抱えていると回答しています。一方、回答者の63%は、従業員が今後3年間で新しいデータ、プロセス、テクノロジーのスキルを活用して税務の専門的スキルを強化する必要があると述べています。また29%は、世界中の税に関する法規制の変更を監視、評価、導入できる高度なスキルを持った専門家が十分にいないと回答しています。

 

注目すべきは、業務量の25%以下をコソーシングしている回答者は、それ以上の割合でコソーシングしている回答者よりも、これらの問題に苦慮していると報告する傾向が強いことです。

 

ソリューションとして急増するコソーシング:

このようなさまざまな圧力が相まって、企業は近代的で機動的な税務運用モデルを構築するための選択肢を分析するようになり、その結果、外部プロバイダーとのコソーシングが望ましい方法として浮上してきています。現在、企業の95%が税務・財務業務をコソーシングする可能性の方が高いとし、これは2020年から22%ポイント増加しています。一方、35%の企業が、データ、テクノロジー、シェアードサービスセンターの提供において優れた能力を持つプロバイダーとのコソーシングが、自社の運用モデルに加えるべき最も重要な変更であると回答しています。

 

回答者の半数以上(59%)が、プロバイダーと提携して複数国の税務コンプライアンスと法定報告業務をコソーシングする最も大きなメリットは、チームを発展させ、より戦略的な活動に取り組む機会を提供できることであると述べており、18%がコスト削減を最大のメリットとして挙げています。 

 

ヘルマーのコメント:

「当初、税務・財務部門を近代化する原動力となったあらゆる圧力は、今後さらに加速し、強まるでしょう。法規制が一層増え、労働力の人口動態のシフトが継続し、テクノロジーのブレークスルーが続いていく可能性があり、そのすべてが経済的・地政学的不確実性によって悪化するかもしれません。

企業は正確なコンプライアンスを実現し、効率的に価値を高めるための計画を必要としています。データ、テクノロジー、グローバルな専門知識が、こうした成果を生み出す核となるものです。そして、この3つを1つにまとめることで、税務・財務部門がさらに戦略的で不可欠なビジネスパートナーとなるために必要な変革がもたらされるのです」 

 

EY Japan タックス・アンド・ファイナンス・オペレートアドバイザーの福澤 保徳(ふくざわ やすのり)のコメント:

「第2の柱を含むBEPS2.0は多国籍日系企業にとっても税務管理のゲームチェンジャーになり得ます。第2の柱対応においては、各社ごとに違う、企業とサービスプロバイダー間の役割分担を明確にしたうえでのコソーシングが適切なソリューションとなります。日系多国籍企業独自の課題である“一元化されていないデータやプロセス”を一番よく理解している企業とそれを前提とした適切なデータ、プロセスおよびテクノロジーの活用を提言できるサービスプロバイダーとのコラボレーションが欠かせません。BEPS2.0におけるコソーシングの活用を他の税務機能の見直しにもつなげていく必要があります。そうすることにより、AI、DX、地政学的リスクの顕在化などで今後ますますビジネスの先が見えにくい環境下、より付加価値の高い税務部がビジネスを力強く支えていくことにもつながります」

 

本調査について:

2023年EY タックス アンド ファイナンス オペレート サーベイ(TFO)は、オックスフォード・エコノミクスが2023年4月から5月にかけて実施しました。

この匿名調査は、税務・財務部門が今日の急速に変化する環境にあってどのような影響を受けているかを理解するために、32の国・地域、18業種にわたる1,000社を超える大企業の経営幹部1,600名を対象に実施されました。

 

本ニュースリリーの詳細は以下よりご覧ください。

EY調査、BEPS2.0への対応がCFOと税務担当責任者の最重要課題 | EY Japan

 

※本ニュースリリースは、2023年6月21日(現地時間)にEYが発表したニュースリリースを翻訳したものです。英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先します。

 

英語版ニュースリリース:BEPS 2.0 readiness is top of mind for CFOs and tax leaders, survey finds

 

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