社会的なつながりの強さと脳波の密な関係を発見

初対面ペア同士の脳波は同期する

早稲田大学

社会的なつながりの強さと脳波の密な関係を発見 初対面ペア同士の脳波は同期する ―

 

詳細は 早稲田大学Webサイト をご覧ください。

 

< 発表のポイント >

◆ 他者とインタラクション(協調動作課題)をしている時、しばしばお互いの脳波が同期するが、社会的つながりがほとんどない同性の初対面ペアの方が、社会的つながりが既にある同性の知り合いペアより、お互いの脳波が密に同期していることを発見した。

◆ 初対面ペアの方が、知り合いペアよりも気を配るようなインタラクションを行う(知らない相手を理解するためにインタラクションにエンゲージする)ため、お互いの脳波がより密に同期した可能性が示唆された。

◆ この知見により、自閉スペクトラム症などインタラクションを苦手とする人たちへの新たなアプローチの提案が可能となり、臨床・産業への応用が期待できる。

 

概要

早稲田大学人間科学学術院の栗原 勇人(くりはら ゆうと)助手、大須 理英子(おおす りえこ)教授および同大人間総合研究センターの髙橋 徹(たかはし とおる)招聘研究員の研究グループ(以下、同研究グループ)は、言葉を介さない協調動作課題をする2者間の脳波の同期性に着目し、初対面ペアの方が知り合いペアより、お互いの脳波が密に同期することを明らかにしました。

これまでの研究では、恋人同士や親子同士など、社会的つながりの強い2者間の脳波同期が着目されてきましたが、今回の研究では、同性の初対面ペアや知り合いペアなど、社会的つながりの弱い(ほとんどない)2者間の脳波同期に着目し、社会的つながりがほとんどない初対面ペアで、協調動作課題をしている時の脳波同期が高いことを発見しました。この結果から、社会的なつながりの強さと脳波同期は線形的な関係ではなく、非線形的な関係である可能性が示唆されました。

図:初対面同士で協調動作課題をすると、お互いの脳波が同期する

 

本研究成果は、『Scientific Reports』(論文名:The topology of interpersonal neural network in weak social ties)にて、2024年2月29日(木)に掲載されました。

 

■研究の波及効果や社会的影響

本研究の結果は、初対面ペアの方が知り合いペアよりお互いの2者間脳波が密に同期していることを明らかにしました。この結果は、従来の「社会的なつながりが強いほどお互いの脳活動が同期する」といった線形的な関係である考え方から、協力課題をしている時においては、「社会的つながりが低いとき、あるいは高いときは2者の脳活動が同期し、社会的つながりが中程度のときは、2者の脳活動が低い」といった非線形的な関係である考え方に拡張させた重要な発見です。

社会的つながりがほとんどないペアでは、お互い気を配り合いながら協力する(お互いのエンゲージメントが高い)可能性があるため、エンゲージメントが高いインタラクションを行う時、2者間の脳波が同期する可能性が示唆されます。この知見は、自閉スペクトラム症などインタラクションを苦手とする人たちへの新たなアプローチを提案できる可能性があります。例えば、2者の脳波同期をリアルタイムにフィードバックし、そのフィードバックを参考に2人で適切な同期状態になるように調整する(2者間脳波同期のニューロフィードバック※7)システムを提案することが可能です。

 

■今後の課題

今後は、エンゲージメントが高いほどお互いの脳波が同期するかどうか検証をしていく必要があるため、初対面ペアや知り合いペアから拡張し、様々な社会的つながりをもつペアを対象としたインタラクション実験を通じて検証していきます。先行研究と本研究から、初対面など社会的つながりがほとんどないペアと恋人や親子など社会的つながりが強いペアでは、どちらも2者間脳波同期が高い結果が示されているため、エンゲージメントの高さに着目して、脳波同期の発生機序を検討していきます。さらに、2者間脳波同期のニューロフィードバックなどのインタラクション支援システムが、2人の社会的つながりの向上・改善に有効か検証し、臨床・産業応用に向けた検討を進めていきます。

 

■論文情報

雑誌名:Scientific Reports

論文名:The topology of interpersonal neural network in weak social ties

執筆者名(所属機関名):栗原 勇人(早稲田大学人間科学学術院)、髙橋 徹(早稲田大学人間総合研究センター)、大須 理英子*(早稲田大学人間科学学術院)*責任著者

掲載日時:2024年2月29日(木)

掲載URL:https://doi.org/10.1038/s41598-024-55495-7

DOI:doi.org/10.1038/s41598-024-55495-7

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