【注意喚起】 ネット通販の落とし穴 「ポチる」前に確認すべき4つのポイント
~ネット購入品の事故増加を受けて新たな規制が開始されます~
インターネットで製品を購入するとき何を基準にしていますか。「安さ」で判断して購入する方も多いかと思いますが、実はその製品、低価格と引き替えに安全性が確保されていないかもしれません。
2014年度から2023年度までの10年間に独立行政法人製品評価技術基盤機構[NITE(ナイト)、理事長:長谷川 史彦、本所:東京都渋谷区西原]に通知された製品事故(※1)では、インターネットで購入した製品(以下、ネット購入品。)による事故が1617件あり、ネット購入品による事故の割合は年々増加傾向にあります。また、近年海外の事業者が国内の輸入事業者を介さずにインターネット販売するケースが多くなっており、製品起因の火災等の事故も発生しています。
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NITE(ナイト)は、ネット購入品の事故事例や購入の際に注意するポイントを紹介いたします。また、新たに海外からのインターネット販売における規制が盛り込まれた消費生活用製品安全法等(※2)の一部を改正する法律(2025年12月25日施行)の概要を紹介いたします。
■インターネットで購入の際に気を付ける4つのポイント
○ 他の製品と比べて極端に安価ではないか確認する。
○ 信頼できる販売元かどうか確認する(国内の連絡先が実在するか等 )。
○ 「PSマーク」の近くに事業者名の表記があるか確認する。
○ リチウムイオン電池搭載製品(※3)は廃棄方法を調べてから購入する。
■消費生活用製品安全法等の一部を改正する法律の概要
○ 海外事業者の規制対象化(国内管理人の選任)
○ インターネットモール等に対する出品削除要請等の創設
○ 届出事項の公表制度の創設
○ 法令違反行為者の公表制度の創設
(※) 本資料中の全ての画像は再現イメージであり、実際の事故とは関係ありません。
(※1)消費生活用製品安全法に基づき報告された重大製品事故(死亡、重傷、火災等に至った製品事故)に加え、事故情報収集制度により収集された非重大製品事故を含みます。
(※2)消費生活用製品安全法(消安法)、電気用品安全法(電安法)、ガス事業法(ガス事法)、液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律(液石法)。
(※3)バッテリー等の本体から取り外しができる製品も含みます。
事故の発生状況
NITEが受け付けた製品事故情報のうち、2014年度から2023年度までの10年間に発生したネット購入品の事故件数1617件について、事故発生状況を以下に示します。
年度別の事故発生件数
図1は、NITEが受け付けた製品事故情報のうち、2014年度から2023年度までの10年間に発生した事故について、製品の購入方法が判明したものを分類したグラフです。ネット購入した製品による事故の割合は、2016 年度までは10%未満でしたが、その後年々増加し、2022 年度以降は約30%を占める状況となっています。
図1:ネット購入品の製品事故件数の推移(2014~2023年度)
ネット購入品で事業者不明の事故上位10製品
ネット購入品による事故のうち、販売元が海外であった等により製造輸入事業者が特定できなかった「事業者不明」の事故が多い上位10製品を「事業者判明」の事故件数と合わせて図2に示します。「バッテリー※4」が突出して多くなっており、3番目に多い「照明器具」についても事業者不明の43件のうち約7割がリチウムイオン電池搭載製品による事故となっています。
図2:ネット購入品の事故で事業者不明の件数の多い上位10製品(2014~2023年度)
(※4)「バッテリー」はリチウムイオン電池以外の充電式の電池を内蔵する製品や電池単体も含みます。
ネット購入品で事業者不明であった事故上位10製品の原因別件数
ネット購入品で「事業者不明」の事故件数の上位10製品の原因別の件数を図3に示します。ほとんどの製品で「製品起因」による事故の割合が多くなっています。
図3:ネット購入品で事業者不明の事故の上位10製品の原因別件数(2014~2023年度)
※「バッテリー」は調査中の4件を除く
ネット購入品で事業者不明であった事故上位10製品の被害状況
ネット購入品で「事業者不明」の事故件数の上位10製品の被害状況別の件数を表1に示します。いずれの製品も火災の割合が多く、拡大被害※5も多く発生しています。
表1:ネット購入品で事業者不明の事故の上位10製品の被害別状況※6(2014~2023年度)
(※5)製品本体のみの被害(製品破損)にとどまらず、周囲の製品や建物などにも被害を及ぼすこと。
(※6)()は被害者数。物的被害(製品破損または拡大被害)があった場合でも人的被害のあったものは、人的被害に区分している。また、人的被害(死亡・重傷・軽傷)が複数同時に発生している場合は、最も重篤な分類で事故件数をカウントし、重複カウントはしていない。
高リスクな製品を購入しないために気を付ける4つのポイント
他の製品と比べて極端に安価ではないか確認する。
例として家電製品では、電気用品安全法等に定められた安全性の基準を満たすための試験等を実施しているため、通常その分の費用が製品価格に反映されています。極端に安い場合は、そのような安全性に対しての試験が実施されていなかったり、材質や設計等に必要なコストをかけていなかったりする可能性があり注意が必要です。
信頼できる販売元かどうか確認する (国内の連絡先が実在するか等 ) 。
○説明文などが不自然な日本語表記ではないか
翻訳ソフトの文章をそのまま使用する等により製品説明が不自然な日本語表記となっていたり、メーカー名の記載がなかったりする場合は注意が必要です。
また、商品説明の他にレビューにおいても、高評価のレビュー内容が不自然な日本語になっている場合や販売数に対してわずか数日間で多くの高評価のレビューがある場合はやらせレビュー(さくらレビュー)※7の可能性がありますので注意してください。
(※7)やらせレビューとは、“使用したことがないのに雇われて高評価の偽レビューをする”といったもので、高評価を付けるとその報酬に金券類がもらえるものも存在しています。
○販売元の問い合わせ先が実在しており、日本語で対応が可能か
不具合があった際に、日本語で対応できなかったり、連絡がつかなかったりするケースが発生しています。販売元の情報を確認し、サポートが日本語に対応しているかどうか、連絡先(電話番号や住所)が海外になっていないか、また、連絡先が実在するか確認するようにしましょう。
なお、海外から直接個人輸入された電気用品安全法等で規制対象となっている製品については、必要な検査をせずにPSマーク※8をつけているケースもあり、安全基準を満たしていない場合があります。
(※8)PSマークとは、安全基準への適合を含む消費生活用製品安全法等の規則に準じた対応ができている製品に表示されるマークです。消安法ならPSC、電安法ならPSE、ガス事法ならPSTG、液石法ならPSLPGマークとなります。また、それぞれのリスクレベルに応じ、円にPSマークと、菱形にPSマークがあります。
「PSマーク」の近くに事業者名があるか確認する。
電気用品安全法等で規制対象となっている製品は、国内の製造輸入事業者が技術基準を満たしていることを確認したのち、PSE等のPSマークを表示することができます。PSマークの近くに製造輸入事業者名(略称や登録商標の場合もあります)が必要となります。
また、“PSEマーク取得”等の記載があるものについても注意が必要です。PSマークは取得するものではなく、技術基準適合等の義務を果たした証として、事業者が自ら表示するものとなります。
リチウムイオン電池搭載製品は廃棄方法を調べてから購入する。
海外から直接個人輸入されたリチウムイオン電池搭載製品は、廃棄が困難となることがあります。自治体や家電量販店等で廃棄(回収)可能な製品か、“購入する前に”確認するようにしましょう。廃棄方法についての詳細は(本資料の別紙5)をご確認ください。
なお、ごみ収集車等の火災の原因になるため、一般のごみに混ぜないでください。
ごみ収集車にモバイルバッテリーが挟まれて発火ごみ処理場の破砕機にバッテリーが挟まれて発火
■製品事故以外の消費者庁による注意喚起
ネットでの購入に関するトラブルや注意点について、製品事故以外に関しても消費者庁が注意喚起を行っています。
○出典:消費者庁「インターネット通販トラブル」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/caution/internet/trouble/internet.html
消費生活用製品安全法等の一部を改正する法律の概要
2024年6月26日に公布された消費生活用製品安全法等の一部を改正する法律の中で、インターネット取引の拡大への対応についての概要を紹介いたします。(2025年12月25日施行)
海外事業者の規制対象化(国内管理人の選任)
海外事業者がインターネットモール等を利用するなどして、「消費生活用製品安全法等の規制対象製品(PSマーク対象製品)」を国内の輸入事業者を介さず国内消費者に直接製品を販売する場合、当該海外事業者を消安法等において届出を行える対象として明確化するとともに、規制の執行を担保すべく、当該海外事業者に対し、国内における責任者(国内管理人)の選任・届出を求める。
図1:海外製品輸入の現状のビジネス形態(イメージ)
また、PSマーク対象製品を取り扱わないため国内管理人の選任が必要ない場合を含め、海外事業者が国内の輸入事業者を介さず国内消費者に直接「消費生活用製品」を販売し、国内で当該製品による重大製品事故(死亡、重傷、火災等)が発生した場合、それを認知した日から10日以内に当該海外事業者には消費者庁へ事故報告を届出する義務が生じます。
インターネットモール等に対する出品削除要請等の創設
インターネットモール等において提供される消費生活用製品について、国内消費者に危険が及ぶおそれがあると認められ、かつ、その製品の出品者によってリコール等の必要な措置が講じられることが期待できないときは、インターネットモールの運営事業者等に対し、当該製品の出品削除の要請等をできるようになります。
届出事項の公表制度の創設
消費者やインターネットモール等の情報の非対称性を解消するため、届出事業者の氏名や特定製品の型式の区分、国内管理人の氏名等を公表する制度を新設します。
法令違反行為者の公表制度の創設
法律や法律に基づく命令等に違反する行為を行った者の氏名等について、公表することができる制度を新設します。
独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE) 製品安全センターの概要
NITE 製品安全センターには、消費生活用製品安全法などの法律に基づき、一般消費者が購入する消費生活用製品(家庭用電気製品やガス・石油機器、身の回り品など)を対象に毎年1千件以上の事故情報が寄せられます。製品安全センターでは、こうして収集した事故情報を公平かつ中立な立場で調査・分析して原因究明やリスク評価を行っています。原因究明調査の結果を公表することで、製品事故の再発・未然防止に役立てています。
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このプレスリリースを配信した企業・団体
- 名称 独立行政法人製品評価技術基盤機構
- 所在地 東京都
- 業種 政府・官公庁
- URL https://www.nite.go.jp/
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