勤務先の理念・価値観 20代6割 「聞いたことがない」「説明できない」

理念を仕事の判断基準にできている層は働きがい・就業継続意向が高い傾向

GPTW Japan

2026年8月28日

世界約170ヶ国で「働きがいのある会社」に関する調査・分析を行う働きがいのある会社研究所(Great Place To Work® Institute Japan、本社:東京都港区、代表取締役社長:荒川陽子)は、20代の会社員を対象に「20代会社員の企業理念浸透と就業継続意向に関する実態調査」を実施しました。  

 

調査結果のポイント

・20代会社員の約6割が、勤務先の理念・価値観について「聞いたことがない」もしくは「内容を説明できない」

・理念・価値観を理解していても、3人に1人以上が「仕事の判断基準にできていない」  

・理念を実務に結びつけて伝えられていると感じる層と、そうでない層で、判断基準化に65.5pt差

・理念を仕事の判断基準にできている層は、働きがいが51.4pt、就業継続意向が38.3pt高い傾向 

 

背景

深刻な採用難が続く中、多くの企業が若手社員の定着に向けて、待遇改善や働きやすい環境の整備に取り組んでいます。一方、若手社員が自分の仕事の意味や、会社が目指す方向とのつながりを理解できているかという点は、十分に検証されていません。

企業理念や価値観は、会社が目指す方向や大切にする考え方を示すとともに、社員が仕事の進め方や意思決定に迷った際のよりどころにもなり得ます。一方で、理念を掲げ、内容を伝えるだけでは、社員が日々の仕事とのつながりを理解し、実際の判断や行動に生かせるとは限りません。

そこで、株式会社働きがいのある会社研究所は、「20代会社員の企業理念浸透と就業継続意向に関する実態調査」を実施しました。本調査では、理念・価値観の認知・理解に加え、日々の仕事とのつながりや、仕事における判断への活用状況を確認し、働きがいおよび就業継続意向との関連を分析しました。

 

調査概要

 

調査期間  2026年7月31日~8月1日 
調査方法 

インターネット調査

調査対象  20代の会社員 
調査人数  330名
モニター提供元  RCリサーチデータ 

※回答比率は小数点第二位を四捨五入しているため、回答比率の合計は100.0%にならない場合があります。

 

調査結果① 20代会社員の約6割が、勤務先の理念・価値観について「聞いたことがない」もしくは「内容を説明できない」

「勤務先の理念・価値観について、どの程度理解しているか」を尋ねたところ、「聞いたことがない」が38.2%と最も多い回答となりました。これに「聞いたことはあるが、内容はあまり説明できない(19.7%)」という回答の比率を合計すると57.9%となり、20代会社員の約6割が、勤務先の理念・価値観について「聞いたことがない」もしくは「内容を説明できない」と回答していることが明らかになりました。

一方で、内容を具体的に説明できるほど「十分に理解している」層は、18.2%にとどまる結果となりました。

 

 

 

調査結果② 理念・価値観を理解していても、3人に1人以上が「仕事の判断基準にできていない」  

前問で勤務先の理念・価値観を「十分に理解」または「ある程度理解」していると回答した139名に、「仕事で判断に迷ったとき、勤務先の理念・価値観を判断基準にできているか」を尋ねました。「あまりできていない(30.9%)」と「できていない(2.9%)」の各回答を合計すると33.8%となり、この結果から、勤務先の理念・価値観を理解している20代の会社員の3人に1人以上が、仕事で迷った際の判断基準にはできていないことが判明しました

 

 

調査結果③ 20代会社員の5割以上が、経営層や上司は「理念・価値観を日々の仕事や意思決定に結びつけて伝えていない」 

「勤務先では、経営層や上司が、理念・価値観を日々の仕事や意思決定に結びつけて伝えていると思うか」を尋ねたところ、「あまりそう思わない」が39.7%と最も多い回答となりました。これに「全くそう思わない(15.2%)」という回答の比率を合わせると54.9%となり、この結果から、20代会社員の5割以上が、勤務先の経営層や上司は「理念・価値観を日々の仕事や意思決定に結びつけて伝えていない」と感じていることがわかりました。


調査結果④ 理念を実務に結びつけて伝えられていると感じる層と、そうでない層で、判断基準化に65.5pt差

経営層や上司が理念・価値観を日々の意思決定に結びつけて伝えているかについて、 「伝達されていると思う層(とてもそう思う+ややそう思う)」と「伝達されていないと思う層(あまりそう思わない+全くそう思わない)」に分けて、前問の「仕事で判断に迷った際にどの程度勤務先の理念・価値観を判断基準にできているか」を比較しました。

「伝達されていると思う層」では、「判断基準にできている(『できている』『ある程度できている』の合計)」と回答した割合は76.5%で、「伝達されていないと思う層」では「判断基準にできている」と回答した割合は11.0%となり、65.5ptの大きな差がある結果になりました。このことから、経営層や上司が理念・価値観を実務や意思決定に結びつけて伝えているかどうかが、20代会社員が仕事で迷った際に「理念・価値観を判断基準にできるかどうか」に大きく影響していることがわかりました。


 

調査結果⑤ 20代会社員の約半数が、現在の勤務先で働きがいを「感じていない」

「現在の勤務先で働きがいを感じているか」を尋ねたところ、「やや感じている」が39.1%と最も多い回答となったものの、「とても感じている」という回答は13.9%にとどまりました。また「あまり感じていない(32.7%)」と「全く感じていない(14.2%)」の各回答の比率を合計すると46.9%となり、この結果から、20代の会社員の約半数が、現在の勤務先で働きがいを、程度の差こそあれ「感じていない」ことが判明しました。


調査結果⑥ 理念を仕事の判断基準にできている層は8割以上が働きがいを「感じている」、できていない層と51.4pt差

「仕事で判断に迷った際に勤務先の理念・価値観を判断基準にできているか」の各回答を、「判断基準にできている層(できている+ある程度できている)」と「判断基準にできていない層(あまりできていない+できていない)」に分けて、 前問の「現在の勤務先で働きがいを感じているか」を比較しました。

「判断基準にできている層」では、働きがいを「感じている(『とても感じている』『やや感じている』の合計)」と回答した割合が83.6%に達しました。一方で、「判断基準にできていない層」では働きがいを「感じている」と回答した割合が32.2%にとどまり、両者の間に51.4ptの大きな差がある結果となりました。この結果から、理念や価値観を仕事で迷った際の判断基準にできている層ほど、現在の勤務先に対して働きがいを感じている傾向にあることがわかりました。  

 

調査結果⑦ 20代会社員の4割以上が、現在の勤務先で「働き続けたくない」

「現在の勤務先で今後も働き続けたいと思うか」を尋ねたところ、「できれば働き続けたい」が40.0%と最も多い回答となったものの、「ぜひ働き続けたい」という回答は16.4%にとどまる結果となりました。また「あまり働き続けたくない(31.8%)」と「全く働き続けたくない(11.8%)」の各回答の比率を合計すると43.6%となり、この結果から、20代の会社員の4割以上が、現在の勤務先で「働き続けたくない」と考えていることが明らかになりました。

調査結果⑧ 理念を仕事の判断基準にできている層は約8割が現在の勤務先で「働き続けたい」、できていない層と38.3pt差

「仕事で判断に迷った際に勤務先の理念・価値観を判断基準にできているか」の各回答を「判断基準にできている層」と「判断基準にできていない層」に分けて、前問の「現在の勤務先で今後も働き続けたいと思うか」を比較しました。

今後も「働き続けたい(『ぜひ働き続けたい』『できれば働き続けたい』の合計)」と回答した割合が79.1%に達しました。一方で、「判断基準にできていない群」では「働き続けたい」と回答した割合が40.8%にとどまり、両者の間に38.3ptの大きな差がある結果となりました。この結果から、理念や価値観を仕事に迷った際の判断基準にできている層ほど、現在の勤務先に対する就業継続意向が高い傾向にあることがわかりました。  

 

代表取締役社長 荒川 陽子 コメント

 

企業理念・価値観は、会社のホームページやオフィスの壁に貼られたポスターの中だけに存在するものではありません。社員一人ひとりが日々の仕事の中で意味を見いだし、判断や行動の「よりどころ」として機能することが重要です。

調査結果が示す現実は深刻です。 20代会社員の約6割が理念・価値観を「聞いたことがない」もしくは「説明できない」と回答する一方で、理念・価値観を判断基準にできている人は、できていない人と比べて:

 ・働きがいを感じている率が大きく異なる

 ・就業継続意向が明らかに高い

つまり、理念・価値観の浸透度は、若手人材の定着率と直結しているということです。

問題の根本は「伝え方」にあります。 約55%の20代会社員が「経営層や上司は理念・価値観を日々の仕事や意思決定に結びつけて伝えていない」と感じており、この伝達の有無が判断基準の形成に大きく影響しています。一方的な発信では機能しません。

求められるのは、経営層や上司による「翻訳」です。 具体的な業務判断の場面で「この判断を私たちは行う、なぜなら我社の〇〇という価値観に基づいているから」と示すこと。社員が経営層や上司の判断プロセスの中に会社の価値観を繰り返し見ることで、自らも判断に迷った時に同じ価値観を指針として使えるようになります。その結果として、仕事に一貫性と意味が生まれ、働きがいや就業継続意向の向上につながるのです。

まずは経営層や上司自身が、判断に迷った時に理念・価値観に立ち返る習慣をつくること。その姿を社員が繰り返し見ることが、理念・価値観を『生きた指針』に変える最初の一歩です。

今回の調査結果は、その重要性を数字で証明しました。ぜひ、この結果を組織内での実践へのきっかけにしてほしいと思います。

 

会社概要

会社名:株式会社働きがいのある会社研究所(Great Place To Work® Institute Japan)

所在地:〒108-0023 東京都港区芝浦3-16-16 住友不動産田町ビル東館 4F

設立 :2009年4月1日

資本金:7,500万円

代表取締役社長:荒川 陽子(あらかわ・ようこ)

会社URL:https://hatarakigai.info/

 

Great Place To Work®について

Great Place To Work®は、約170ヶ国で年間21,000社以上の働きがい(エンゲージメント)を調査し、一定水準に達した企業を「働きがいのある会社」認定・ランキングとして各国の有力メディアで発表している世界的な調査機関です。30年間のデータに裏付けされた方法論を用いて評価を行う認定・ランキング制度は、企業における採用ブランディングやIR・人的資本開示の目的で広く活用されています。日本においては、株式会社働きがいのある会社研究所がGreat Place To Work®よりライセンスを受け、Great Place To Work®  Japan(GPTW Japan)を運営しています。

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