『血糖負債』メディアセミナー ~開催レポート~

高血糖の継続による「血糖負債」にご注意 血糖コントロールの重要指標HbA1cを改めて学ぶ

2021年6月28日

一般社団法人 日本生活習慣病予防協会

~開催レポート~

『血糖負債』メディアセミナー
高血糖の継続による「血糖負債」にご注意 血糖コントロールの重要指標HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)を改めて学ぶ

 

 

 一般社団法人日本生活習慣病予防協会は、コロナ禍での生活変化により、生活習慣のリスクについても関心が高まっていることを背景に、順天堂大学大学院 医学研究科代謝内分泌内科学 教授 綿田 裕孝 氏、株式会社リンクアンドコミュニケーション 最高公衆衛生責任者 佐々木 由樹 氏(公衆衛生学修士、管理栄養士)をゲストにお招きした「『血糖負債』メディアセミナー」を2021年6月11日(金)にオンラインにて開催致しました。

 

 当協会が実施した「コロナ禍における生活習慣病リスクに関する調査※」では、半数以上の医師が「糖尿病を診断する基準として重要な『HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)』の数値が悪化している」と回答し、8割の医師が「糖尿病リスクが高まっている」と実感する一方、一般生活者のHbA1c計測に対する認知率は4割に届かないなど、血糖対策への正しい認識は浸透していない現状が浮き彫りになりました。

※糖尿病の診断基準HbA1c値に関する医師100人と一般生活者3,000人を対象とした意識・実態調査(2021年5月11日発表)

http://www.seikatsusyukanbyo.com/calendar/2021/010444.php

   

 こうした背景を踏まえ、本年度当協会では、健常な方々を対象にHbA1cの重要性について情報発信を強化することにし、その一環として本セミナーを実施致しました。たとえ糖尿病を発症していないとしても、HbA1cの値が高い状態が続いていると、さまざまな健康障害を招くリスクが高まります。この状態を「血糖負債」とし、これをいかに未然に防ぐかが鍵となります。今回のセミナーでは、冒頭、当協会理事長 宮崎 滋が主催者挨拶とともにコロナ禍におけるHbA1cに関する調査結果(上記)について報告し、<第1部>では「血糖負債が生む諸問題とHbA1cを意識して生活することの重要性」と題して順天堂大学大学院の綿田教授が、血糖負債の概念やその指標となるHbA1cについて講演を行い、<第2部>「コロナ禍でのHbA1c管理~HbA1cと上手に付き合うテクニック~」ではヘルステック企業、株式会社リンクアンドコミュニケーションの佐々木氏がコロナ禍におけるHbA1c管理のポイントなどについて講演致しました。

 

 

左から『血糖負債』メディアセミナーで挨拶する当協会理事長 宮崎 滋、講演を行う順天堂大学大学院 教授 綿田 裕孝 氏および株式会社リンクアンドコミュニケーション 佐々木 由樹 氏

 

 

<第1部>「血糖負債が生む諸問題とHbA1cを意識して生活することの重要性」

 

  順天堂大学大学院 医学研究科代謝内分泌内科学 教授 綿田 裕孝 氏

 

 血糖値は、空腹時と食後では大きく変動しますので、長期的な状態を把握するためには、「過去 1 ~ 2 カ月の血糖の指標」となる HbA1c を測定する必要があります(図 1 )。

 HbA1cとは、ヘモグロビンの総量に対する糖化した(ブドウ糖が結合した)ヘモグロビンの割合を示すものです。ヘモグロビンの寿命が120日程度あるため、HbA1cは短期間では大きく変動しないので長期的な状態が把握できるのです。

 

 

■図1:「血糖」に関する三つの指標

 

 

未病状態でも溜まる、「血糖負債」

 人間ドックの判定区分でHbA1cは、6.5%以上で「要医療」と診断されますが、「軽度異常(5.6~5.9%)」や「要経過観察(6.0~6.4%)」の未病状態でも、それが長く続けば続くほど、体は少しずつむしばまれていきます。このように高血糖が長期にわたることで健康リスクが蓄積していくことを「血糖負債」といいます。「血糖負債」は、例えるなら、蛇口から出る水(血糖)が水槽にたまっていくようなもの。放置すれば知らず知らずのうちにたまっていきがちです。しかもたまった負債を元に戻すのは容易ではないので、日頃からHbA1cを正常域に近づけておくことが重要です(図2・3)。

 

 

■図2:HbA1cによる健康状態の判定

※日本人間ドック学会「2021年度 判定区分表」より作成

 

 

 

■図3:HbA1cと「血糖負債」の関係

 

やせていても要注意、コロナによる重症化リスクも高める!

  ところで、糖尿病は、やせていればかかりにくいと思われがちですが、私たちの研究(※1)によって、やせた若い女性でも正常体重の中年男性でも「血糖負債」を抱えるケースがあることが分かっていますので、「太っていないから大丈夫」という先入観にとらわれずに注意が必要です。 

 さらに、「血糖負債」に起因する糖尿病の有病者は、新型コロナウイルス感染症後の重症化リスクが高いことや、血糖管理状態が良好であれば死亡率が低下することも分かってきています。

 

 

深刻な健康被害が多岐にわたる懸念

 「血糖負債」については、酸化ストレス、 AGEs (終末糖化産物)、慢性炎症、インスリン抵抗性、細胞老化などのリスク要因をもたらし、「動脈硬化・心筋梗塞・脳梗塞」や「がん」「認知症」「肌荒れ・老け顔」「糖尿病」など、さまざまな健康被害を生じさせることが懸念されています(図4)。

 「血糖負債」については、「食事療法」「運動療法」、さらに、必要に応じて「薬物療法」を追加することがその解消方法となります。いずれにせよ、「血糖負債」は、ほんの少し高い状態でもそれが長く続くと健康を損なうリスクが高まりますので、「見過ごさず対策を打つ」ことが重要です。

 

 

■図4:「血糖負債」がもたらすリスク

 

※1:2021年2月16日.順天堂大学ニュースリリース「食後高血糖となる耐糖能異常が痩せた若年女性に多いことが明らかに」より

 

 

<第2部>「コロナ禍でのHbA1c管理~HbA1cと上手に付き合うテクニック~」の内容

 

  株式会社 リンクアンドコミュニケーション 最高公衆衛生責任者 佐々木 由樹 氏

 

 私たちが行った調査によると、現場の管理栄養士が糖尿病患者への食事指導時に「確認する検査値」「重要視する検査値」は、共にHbA1cがトップで、いずれもほぼ全員が「確認する」と回答しています。

 一方、患者については、「HbA1cの意味を理解している人が多い」と回答した管理栄養士はわずか7%にとどまるという結果が出ました。

 

コロナ前後で HbA1c は悪化!

  また、コロナ前後では、患者のHbA1cは、6割以上(62%)の管理栄養士が「悪化している(かなり悪化/悪化)」と回答し、「血糖負債」蓄積のリスクが高まっています(グラフ1)。

 このような「血糖負債」に影響を与える要因としては、「運動不足」( 39 %)、「生活リズムの乱れやストレス」( 28 %)、「食生活の変化」( 22 %)などが挙げられました(グラフ 2 ・ともに 2021 年 5 月当社調べ)。

 

 


■グラフ1:コロナ前後のHbA1cの変化

 

 

 


■グラフ2:HbA1cの変化に影響を与えている原因

 

 

「 血糖負債」対策のための食事と運動とは?

 特に、食事については、「量ではなくカロリーを減らす」、「主食に未精製穀類を取り入れる」「1日に野菜を4〜5皿(300〜400g)、果物を1日1〜2回(200g)とる」「血糖値が上がりすぎないような食べ方をする」ことなどがポイントです。間食を食べる習慣のある人は、たんぱく質やミネラルなどの栄養が摂れるヨーグルトを、フルーツと一緒に食べるのも推奨されます。

 運動については、「少し息がはずむ運動を、1日20分(週2.5時間)」行うことがポイントです。できれば毎日、難しい場合は、週3回を目標に始めてみましょう。

 このように、食事や運動で日常的に「血糖負債」対策を行うことが重要です。

 

 

 

『血糖負債』メディアセミナー実施概要

 

■主 催: 一般社団法人 日本生活習慣病予防協会

■日 時: 2021年6月11日(金)14:00~15:15

■実施方法: ウェブ会議システム(Zoom ウェビナー)を用いて開催

■対 象: 産業医、保健師、看護師、管理栄養士、栄養士、メディア関係者等

■プログラム:

 14:00 オープニング

 14:02 主催者代表挨拶(一般社団法人 日本生活習慣病予防協会 理事長 宮崎 滋)

 14:12 <第1部>「血糖負債が生む諸問題とHbA1cを意識して生活することの重要性」

     (順天堂大学大学院 医学研究科代謝内分泌内科学 教授 綿田 裕孝 氏)

 14:42 <第2部>「コロナ禍でのHbA1c管理~HbA1cと上手に付き合うテクニック~」

 (株式会社 リンクアンドコミュニケーション 最高公衆衛生責任者 佐々木 由樹 氏)

 15:02 質疑応答

 15:15 終了

 

順天堂大学大学院 医学研究科代謝内分泌内科学 教授 綿田 裕孝 氏 プロフィール

平成2年3月大阪大学医学部卒業、平成9年4月大阪大学大学院修了 医学博士、平成9年7月米国カリフォルニア大学サンフランシスコ校ホルモン研究所 研究員、平成19年4月順天堂大学医学部内科学代謝内分泌学講座 准教授、平成22年6月順天堂大学大学院医学研究科代謝内分泌内科学教授、令和2年4月順天堂大学医学部副医学部長。併任職として順天堂大学大学院医学研究科 先進糖尿病治療学講座(寄付講座)教授、順天堂大学大学院医学研究科 糖尿病治療標的探索医学講座(寄付講座)教授など。日本糖尿病学会(常務理事、糖尿病専門医、指導医)、日本内分泌学会(内分泌代謝科専門医、指導医、評議員)、日本内科学会(総合内科専門医、指導医、評議員)、日本糖尿病・肥満動物学会(理事)等。

 

株式会社 リンクアンドコミュニケーション 最高公衆衛生責任者 佐々木 由樹 氏 プロフィール

管理栄養士、MPH(Master of Public Health:公衆衛生学修士)。平成15年女子栄養大学栄養学部卒業、平成17年~株式会社創健ピーマップ 代表取締役、平成26年東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻卒業、平成26年~株式会社リンクアンドコミュニケーション入社、平成26・27年東京大学大学院医学系研究科 社会予防疫学 客員研究員、平成31年~株式会社リンクアンドコミュニケーション CPHO(Chief Public Health Officer:最高公衆衛生責任者)就任。著書に、『健康ダイエット手帳<男性版><女性版>』(しののめ出版、平成19年10月)『メタボ脱出法―愛する人を守るために―』(ソニー・マガジンズ、平成20年8月)など多数。 

 

一般社団法人日本生活習慣病予防協会とは

日本生活習慣病予防協会は、生活習慣病の一次予防を中心に、その成因、診断、治療、リハビリテーションに関する知識の普及啓発、生活習慣病に関する調査研究を行うことを目的に、2000年に設立。2012年より公益性を高めるため一般社団法人化致しました。

設立当初より、健康標語『一無、二少、三多(いちむにしょうさんた)』(無煙、少食、少酒、多動、多休、多接)の健康習慣を提言し、2017年に1月23日を『一無、二少、三多の日』として記念日登録し、2011年より、毎年2月を「全国生活習慣病予防月間」として、『一無、二少、三多』の健康習慣の普及を図っています。

役員は、医師を中心に構成。

 

▶一般社団法人日本生活習慣病予防協会

http://www.seikatsusyukanbyo.com/

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