細胞用電動ナノ注射器「電気浸透流ナノポンプ」を開発
細胞治療に向けた新たな細胞内物質導入機器
<発表のポイント> ○導電性高分子と金属から成る複合ナノチューブシートを開発 ○このシートに電気を掛けると物質輸送が3倍以上促進する電気浸透流ポンプ現象を発見 ○タンパク質(GFP)を導入効率84%、細胞生存率98.5%で細胞内に導入可能となり、再生医療や細胞治療に役立つ医療機器としての活用が期待できる |
早稲田大学大学院情報生産システム研究科の三宅 丈雄(みやけ たけお)教授らの研究グループと、理化学研究所生命機能科学研究センターの木川 隆則(きがわ たかのり)チームリーダーおよび美川 務(みかわ つとむ)専任研究員らの研究グループは、導電性高分子で被覆された金属製ナノチューブシートを開発し、電気を掛けることで電気浸透流※1が発生し、細胞膜を通過する物質の輸送速度を促進させることを発見しました。さらにこの電気浸透流現象を利用することで、安全かつ効率良く細胞内に物質を導入できることを確認しました。本導入技術は、物理的にナノチューブを細胞に挿して利用するため、導入する物質の大きさ・形状・電荷を選ぶ必要がありません。そのため、さまざまな機能性物質を細胞内に導入することで新たな細胞の種を作り、再生医療や細胞治療に応用することが期待されます。
この研究は、科学研究費補助金、科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業さきがけ「電子・イオン制御型バイオイオントロニクス」(JPMJPR20B8) および研究成果展開事業SCORE大学推進型「高効率な細胞内物質導入スタンプおよび顕微鏡搭載システムの事業化検証」(JPMJST2053)による成果であり、2021年9月9日に科学誌「Small Science」にオンライン版で公開されます。
論文名:High-Efficient and Dosage-Controllable Intracellular Cargo Delivery through Electrochemical Metal-Organic Hybrid Nanogates
細胞用電動ナノ注射器「複合ナノチューブ電気浸透流ポンプ」
■論文情報
雑誌名:Small Science
論文名:High-Efficient and Dosage-Controllable Intracellular Cargo Delivery through Electrochemical Metal-Organic Hybrid Nanogates
執筆者名(所属機関名):Bowen Zhang(1) #, Dinuo Zheng(1), Shi Yiming(1), Kazuhiro Oyama(1), Masahiro Ito(2), Masaomi Ikari(2), Takanori Kigawa(2), Tsutomu Mikawa(2),
Takeo Miyake(1,3) *
所属機関名:
1:早稲田大学 理工学術院
2:理化学研究所
3:JSTさきがけ
# 筆頭著者、*責任著者
掲載日(中央ヨーロッパ時間):2021年9月9日(木)
DOI:10.1002/smsc.202100069
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- 名称 早稲田大学
- 所在地 東京都
- 業種 大学
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