外科手術領域へ参入/簡便・迅速・全血測定を実現する血液凝固分析装置を発売

アークレイ

2019/03/01

アークレイ株式会社

アークレイ株式会社(以下、アークレイ)は、血液凝固分析装置「スポットケムHS

HS-7710」を2019年3月1日(金)に発売します。

手術室などで簡便・迅速に測定することが可能で、全血検体を使用することで、

血液凝固能を包括的に把握できます。アークレイは「スポットケムHS HS-7710」

の発売を機に、外科手術領域へ参入し今後事業を拡大していきます。

生体には外傷等により体内から血液が失われることを防ぐため、血栓※1を形成し出血を

止める働き(血液凝固)と固まった血栓を溶かす働き(線溶)が備わっており、それぞれ

がバランスよく機能しています。周術期(術前・術中・術後)における重大な合併症の

主な原因は出血にあり、周術期の30日以内の死亡原因の約半数が出血に関連しています。

このため、止血管理の一環として血液凝固検査が行われています。

しかし、従来の一般的な凝固検査で行われる項目(プロトロンビン時間検査※2、フィブ

リノーゲン検査※3など)は、中央検査室で遠心分離後の血漿検体を用いて行うため、

検査結果が出るまで時間を要していました。また、血漿成分以外の凝固因子の状態を

把握できないため、生体内の状態を正確に反映していない点が課題としてありました。

アークレイがこのたび発売する「スポットケムHS HS-7710」は、患者さまの血液凝

固能を包括的に把握するための装置です。全血検体と試薬カートリッジ、ピペットチ

ップをセットするだけの簡単操作で、全自動測定を開始できます。心臓手術や肝移植、

産科など大量出血のリスクが高く、迅速・的確な止血管理が求められる外科手術の現

場や集中治療室などで、変動する凝固状態の把握にご活用いただけます。

アークレイはこれまで糖尿病検査を中心に血液や尿の分析システムを開発し、臨床検

査事業を拡大してきました。「スポットケムHS HS-7710」は国内メーカーとして

初めて開発に成功した包括的血液凝固分析装置で、本装置の発売を機に外科手術領域

へ参入し、今後事業拡大を図っていきます。

*本装置は国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED)の支援を受けるなど

 してソニー株式会社で研究開発された技術※4を応用し、アークレイが開発しました。

<主な特長>

○全血検体を使用

 遠心分離後の血漿を用いた一般的な凝固検査と異なり、全血検体を使用することで生体

 内に近い(血液そのものの)凝固能の評価が可能。出血要因を的確に把握することが

 できます。また、検体の前処理も不要で、処理時間の短縮にもつながります。

○簡便測定

 5種類の試薬カートリッジを使用し、最大4項目まで同時測定できます。また、装置に

 検体の自動分注、試薬攪拌、温調機能を備えているため、全血検体、試薬カートリッジ、

 ピペットチップをセットするだけで、全自動測定を開始できます。

○凝固時間・強度と線溶時間を測定

 凝固時間の測定(血液が凝固しやすい、しにくい)と凝固塊(血餅)の強度(出血しや

 すい、しにくい)に加え線溶時間(血栓が溶ける時間)を測定し、的確な輸血製剤投与

 の判断指標に用いることができます。

○病態の変化を視覚的に把握

 凝固能の時間変化を波形で装置パネルに表示。項目間や過去データとの比較など、

 病態の変化を視覚的に捉えられます。

<検査項目>

 目的別に5種類の試薬カートリッジを組み合わせ、凝固開始時間、最大凝固強度、

 線溶時間を測定します。

 検査項目と機能

 IN(内因系凝固検査):内因系凝固因子を刺激し、凝固を引き起こす

 HN(ヘパリン中和検査):ヘパリンを中和した上で内因系凝固因子を刺激し、

              凝固を引き起こす

 EX(外因系凝固検査):外因系凝固因子を刺激し、凝固を引き起こす

 LI(線溶阻害検査):線溶阻害下で外因系凝固因子を刺激し、凝固を引き起こす

 CA(カルシウム再加凝固検査):キレートされたカルシウムを再添加し、

                 凝固を再開する

<測定原理(誘電スペクトル法)>

 凝固~線溶の過程において、血液に電極を入れて誘電率を測定すると、凝固に応じて

 誘電率が上昇します。この仕組みを活かし、試薬カートリッジ中の成分により、凝固

 (もしくは線溶)が進む全血検体に交流電圧をかけ、凝固(線溶)反応中の誘電率を

 モニターします。誘電率の上昇(下降)のカーブから、凝固開始時間や凝固塊の最大

 強度などを算出します。

<語句解説>

 ※1 血管の中で血液が固まった状態を指します。

 ※2 外因系と呼ばれる血液凝固因子の活性を測る検査です。血中の量が減少すると、

    血液凝固時間が長くなります 。

 ※3 血液凝固因子のひとつであるフィブリノーゲンの血中濃度を測定します。

 ※4 AMEDの先端計測分析技術・機器開発プログラムで、血液凝固の誘電スペクトル

    法を開発

<製品概要>

 名称:血液凝固分析装置「スポットケムHS HS-7710」

 発売日:2019年3月1日(金)

 仕様:

   測定対象)クエン酸添加ヒト全血(Hct:20~60%)

   測定項目)包括的全血凝固能

   測定原理)誘電スペクトル法

  測定時間)最大75分(測定条件による)

  検体架設数)1検体(採血管)

  試薬架設数)最大4試薬カートリッジ

  必要検体量)1mL(1アッセイ)~2mL(4アッセイ)、最大3mL

   測定環境)温度:10~30℃、湿度:20~80% RH(非結露)

   外形寸法)380(幅)× 500(奥行)× 460(高さ)mm

  重量)約27kg

  電源)AC100V±10%、50/60Hz

  消費電力)150VA

 販売価格:希望納入価格6,800,000円(税別)

 届出番号:25B1X00001000057

 分類:クラスⅠ(一般医療機器) / 特定保守管理医療機器

 この製品は「アークレイマーケティング株式会社」が販売します。

 「アークレイマーケティング株式会社」はアークレイの日本国内の販売統括会社です。

本プレスリリースは発表元が入力した原稿をそのまま掲載しております。また、プレスリリースへのお問い合わせは発表元に直接お願いいたします。

プレスリリース添付画像

スポットケムHS HS-7710

試薬カートリッジ

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