圧力感知材料のインクジェット印刷技術を開発

長年の課題だったメカノクロミック材料の加工方法を発見

2022年11月9日

 都産技研(地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター)は名古屋大学(国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学)と共同で、力を加えると色が変化する特徴を持つ素材メカノクロミック材料』について、アルコールと共に加工すると特徴を消さずに微粒子化できるうえに、繰り返し利用できることを発見しました!

 

開発のポイント

アルコール共存下で、すりつぶす・擦る(こする)など、力を加えることで色が変化する特性を保ちながら、何度も繰り返し利用が可能。

産業への利用が期待されているメカノクロミック材料。加工時に特徴が消えるという製造上の問題を解決したことで電力不要な圧力センサーやタッチパネルなど応用展開に期待!!

微粒子化したメカノクロミック材料から塗料を作製することが可能にインクジェットプリンタで紙や布に印刷できるように。

 

微粒子化したメカノクロミック材料から作成した塗料

 

本技術はネイチャー系オープンアクセスジャーナルScientific Reports誌に掲載されています。

論文誌名:Scientific Reports

掲載日:2022年10月10日

論文タイトル:Inkjet printing of mechanochromic fluorenylidene-acridane

DOI:10.1038/s41598-022-21600-x、https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36217025/

特許出願済:特願2021-110345、特願2022-007891

 

都産技研では本技術の製品化を目指し、共同研究・開発を行っていただける企業を募集しています。興味のある方は下記までお問い合わせください、

 

 

本研究の概要

国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学大学院工学研究科/未来社会創造機構マテリアルイノベーション研究所の松尾 豊 教授との共同研究により、機械的刺激により見た目の色が変化(メカノクロミズム)する材料の微粒子化に成功しました。本研究では、このメカノクロミック材料を基に塗料を作製、インクジェットプリンタに適用し、繰り返し利用可能かつ柔軟性に優れた圧力感知材料を開発しました。

 

 

背景

機械的刺激に応答し色が変化するメカノクロミック材料は、その特性からセンシングデバイス等への応用展開が期待されています。しかし実際には、機械的刺激に応答してしまうために材料加工や実装自体が困難であり、具体的な応用展開事例が乏しいという課題がありました。

 

本研究によって得られた成果

本研究では見た目の色が変化するオリジナルのメカノクロミック材料(図1)について、アルコール共存下では機械的刺激を加えても色の変化が起こらないことを発見しました。さらに、発見したメカノクロミズムの制御という特性を利用して、ビーズミル処理による機械的加工を可能とし、従来の1/100以下の微粒子を得ることに成功しました(図2)。

図1. 本研究で扱うメカノクロミック材料図2.ビーズミル処理による微粒子化

また、この微粒子を基にメカノクロミック塗料を作製し、インクジェットプリンタへの適用を行いました。この実装により、任意のパターンを紙や布にプリントすることが可能となり、従来の使い捨て材料では不得手であった曲面での使用や繰り返しの利用を可能とする圧力感知材料を実現しました(図3、 (a)機械的刺激による色の変化、(b)エタノールによる回帰 )。

 

図3.インクジェットプリンタを用いて布に印刷をしたサンプル

 

今後の展開

 ◆ 汎用性の高いインクジェットプリンタへの実装を可能としたため、多様な分野への展開が期待されます。

 ◆ 開発したメカノクロミック塗料はインクジェットのみならず、スクリーン印刷やスプレー塗装、染料としての活用も可能です。

 ◆ 本研究で得られた成果を活用いただける中小企業との共同研究を募集しています。

 

本プレスリリースは発表元が入力した原稿をそのまま掲載しております。また、プレスリリースへのお問い合わせは発表元に直接お願いいたします。

プレスリリース添付画像

微粒子化したメカノクロミック材料から作成した塗料

図1. 本研究で扱うメカノクロミック材料

図2.ビーズミル処理による微粒子化

図3.インクジェットプリンタを用いて布に印刷をしたサンプル

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  • 所在地 東京都
  • 業種 その他製品
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